芒種と書いて、ぼうしゅ”と読みます。
芒種とは、田植えの時期を表しており、稲を育てるうえでとても大切な時期なのです。
そんな芒種は、2021年はいつからいつまででしょうか。
本日は芒種にまつわる事柄についてピックアップしてお届けしていきます。
芒種の由来と時期
芒種(ぼうしゅ)とは、日本が太陰暦だったころに、季節の移り変わりを知るために使っていた二十四節気という区分の一つです。
芒種の日は、芒種の期間が始まる日(節入り日)のことです。
芒種という場合、節入り日の当日のみを指すこともありますが、本来は約15日間の期間を意味します。
2021年の芒種はいつ?
- 2021年の芒種の日(節入り日)は6月5日(土)です
- 2021年の芒種の期間は6月5日(土)から6月20日(日)までです
年によって1日前後しますが、例年6月5日ごろから始まり、次の二十四節気・夏至(げし)の前日にあたる6月20日ごろまでが芒種の時期になります。
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芒種とはこんな季節
芒種は、立夏から数えて3番目の夏の二十四節気です。
芒とは、また見慣れない漢字ですが、稲や麦などの穀類の穂先のとがった部分のことで、“のぎ”と読みます。
芒(のぎ)のおかげで、動物に食べられることを防ぐと同時に、動物の毛に絡まって遠くまで運んでもらって発芽することを可能にしています。
芒種は、稲に代表される先のとがった穀類の種まきの時期を表しています。
稲の場合は、種をまくというより、苗代田や育苗ハウスで育てた苗の田植の季節になりますね。
6月に入って、お天気は徐々に雨が多くなり、やがて各地で梅雨入りします。
五月雨は、旧暦5月(芒種の時期)の雨のことですので、本来は梅雨を意味しています。
ジメジメと急に湿度が上がりだしますが、農作物を育てるためにも欠かせないのが梅雨の雨ですね。
芒種にあたる七十二候
二十四節気をさらに5日ごとの季節に分類した七十二候では、芒種は次のような季節に分けられます。
蟷螂生(かまきりしょうず)
6月5日から6月9日ごろは、かまきりの幼虫が羽化し成虫になる時期です。
かまきりといえば、大きな前足の鎌が特徴的な肉食の昆虫ですね。
同じ場所に産み付けられたピンポン玉ぐらいの卵の塊から数百匹の幼虫がかえり、すぐさま兄弟間で弱肉強食の生存競争が始まることで知られます。
また、時には自分より大きなカエルなどにも立ち向かうほど、かまきりは攻撃的な虫です。
そんなかまきりの攻撃性を示す逸話が、「蟷螂(とうろう)の斧を以て隆車の隧(わだち)を禦(ふせ)がんと欲す」。
蟷螂の斧
荘公が乗っている車にかまきりが前足を上げて向かってきました。
その姿を見た荘公が、かまきりの勇敢さをたたえ
「この虫が人間であったならば、必ず天下の武将となるにちがいない」
と言って、かまきりを避けて車を通しました。
この話が、後世に弱者が自分の力を考えずに強敵に向かうことのたとえに変化し、「蟷螂の斧」と略して使われるようになりました。
かまきりの勇敢さを称えた当初の意味に由来を持つのが、京都の夏を彩る祇園祭りの山車である「蟷螂山(とうろうやま)」。
御神体であるかまきりの人形が、からくりで動く様子を見ようと宵山でも人気の山車です。
南北朝の頃、蟷螂山町の辺りに四条家という公卿が住んでいました。
その一門の一人が南朝方について戦死してしまいます。
その武勇をたたえて、四条家の御所車にかまきり(蟷螂)を載せて巡行したのが蟷螂山の始まりと言われています。
腐草為蛍(くされたるほたるとなる)
6月10日から6月15日ごろは、腐って朽ちた草などの下でふ化した蛍が光を放ちながら飛び交う季節です。
蛍が発光するのは、子孫を残す繁殖のため。
蛍の繁殖期は、とても短く羽化してからわずか2週間という短さです。
その短い期間、オスとメスは、光を出してお互いの居場所を知らせ合い、次に命を繋ぎます。
日本には約40種類の蛍が生息していますが、この時期に見られるのはゲンジボタル。
静岡県の糸井川流域を境に、西日本では2秒に1回、東日本では4秒に1回と光る間隔に違いが見られます。
蛍も西日本のほうがせっかちなのでしょうか?(笑)
梅子黄(うめのみきばむ)
6月16日から6月20日ごろは、梅の実が熟して薄黄色に色づく時期という意味です。
梅の実が熟す頃に雨が降ることから、6月の雨季を梅雨と呼ぶようになりました。
「入梅」と書いて、“つゆいり”と読ませるほど、梅の実と6月の雨は結びつき深く考えられていたのですね。
芒種の時期の気象データ
蛍の初見日を取り上げようかとも思いましたが、芒種の時期の気象を代表するのは、やはり梅雨入り。
気象庁のデータをお借りして、最近3年の梅雨入りがいつだったのかを表にまとめてみました。
地域 | 平年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
沖縄 | 5/9 | 6/1 | 5/16 | 5/16 |
九州北部 | 6/5 | 6/5 | 6/26 | 6/11 |
近畿 | 6/7 | 6/5 | 6/27 | 6/10 |
東海 | 6/8 | 6/5 | 6/7 | 6/10 |
関東甲信 | 6/8 | 6/6 | 6/7 | 6/11 |
東北北部 | 6/14 | 6/11 | 6/15 | 6/25 |
*気象庁のデータから作成
いつもニュースで沖縄の梅雨入りが流れるたびに、「はやっ」と思いますが、沖縄以外はそんなにばらけていないのですね。
もっと、九州から東北まで順番に梅雨入りしているのかと思っていました(笑)。
雨が続くと、気分も落ち込んできますが、この時期にしっかり雨が降らないと、夏に水不足の心配が出てきます。
やはり降るべきときに降ってくれる雨に感謝ですね。
芒種の時期の雑学
田植も始まり、芒種から本格的に農業の繁忙期に入ります。
秋の稲刈りまで農家の人たちは気の抜けない毎日なのだろうなぁと思います。
そんな時期だからなのか、芒種の時期には特に何かを食べるとか行うといった風習はありません。
ですが、調べてみると、芒種の期間に平安時代に始まった厄除けのためにお菓子を食べる「嘉祥」という風習がありました。
6月16日は嘉祥の日
6月16日は、「嘉祥(かしょう)の日」です。
明治時代まで、嘉祥の日には厄除けと健やかな毎日を願ってお菓子を食べる風習がありました。
「嘉祥の日」の始まりは、848年にまでさかのぼります。
疫病が大流行したこの年の夏、任明天皇が元号を「承和(じょうわ・しょうわ)」から、「嘉祥(かしょう・かじょう)」に改めました。
この時に厄除けと健康招福を願って、6月16日に16個の菓子や餅を神前に供えて「嘉祥の儀式」を執り行われたことに由来しています。
江戸時代にも、6月16日には江戸城の大広間に将軍御目見えが許された大名・旗本が集まって、お菓子をもらう「嘉祥頂戴」というしきたりがありました。
庶民の間でも、武士を真似て6月16日には16文で菓子や餅を16個買って食べる「嘉祥喰」が盛んだったといいます。
1979年に全国和菓子協会が、明治以降、忘れられていた嘉祥の日を「和菓子の日」に制定。
老舗の虎屋さんでは、嘉祥菓子を復元されて、この時期限定で販売されています。
6月6日は稽古始の日
能や歌舞伎、狂言などの伝統芸能の世界では、6歳になる年の6月6日に稽古を始めると上達すると言われています。
そのため、6月6日は稽古始の日として、能や歌舞伎以外でも「邦楽の日」「生け花の日」「楽器の日」などに定めている習い事が多いのです。
能を生み出し大成させた世阿弥が、「風姿花伝」という書物の中で芸事は数え年7つ(満6歳になる年)から始めると良いと書き残したからなのですね。
また、指を折って数を数えていくと、6の時は、5で握った手から小指だけを立たせますよね。
その形が、「子が立つ」。
つまり、「子どもが独立する」ので、6月6日が稽古始に縁起が良いとされたという説もあります。
まとめ
「芒種」は、昔使われていた季節の区分、二十四節気の一つで、立夏から数えて3つ目の夏の節気です。
年によって1日前後しますが、例年6月5日ごろから始まり、次の二十四節気・夏至の前日にあたる6月20日ごろまでが芒種の時期です。
ちなみに
芒種の「芒(のぎ)」は、稲の穂先にある針のようにとがった先のこと。
芒種は、稲のように穂先の尖った穀類の種まきをする時期です。
気候としては、ちょうど梅雨の時期。
「梅雨」という言葉は、“梅の実が熟す頃の雨”から来ています。
また、梅の実が熟す頃に雨期に入るために「入梅(つゆいり)」と言うようになりました。
雨が続くと何となく元気も出ませんが、この時期に雨が降らないと夏の水不足も心配です。
そう思うと降るべき時に降る雨に感謝して過ごすことが出来そうですね!
- 次の二十四節気は夏至(げし)です。
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