1年中で、昼が最も長くなる日、それが夏至ですね!
夏至とは反対に、昼が最も短く、夜が最も長くなる日が冬至。
冬至には、柚子湯やかぼちゃなど、誰もが知っている風習が多くありますが、夏至にはこれといった風習が思い浮かんできません。
とはいえ、やはり夏至も大きな節目です。
そんな夏至ですが2023年はいつからいつまででしょうか。
本日は夏至にまつわる事柄についてお届けしていきます。
夏至の由来と時期
夏至とは、日本が太陰暦だったころに、季節の移り変わりを知るために使っていた二十四節気という区分の一つです。
夏至の日は、夏至の期間の始まる日(節入り日)のことです。
夏至という場合、節入り日の当日のみを指すこともありますが、本来は約15日間の夏至の期間を意味します。
2023年の夏至はいつ?
- 2023年の夏至の日時(節入り日時)は6月21日(水)24時
- 2023年の夏至の期間は6月21日(水)から7月6日(木)まで
年によって1日前後しますが、例年6月21日ごろから始まり、次の二十四節気・小暑(げし)の前日にあたる7月6日ごろまでが夏至の時期になります。
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夏至とはこんな季節
夏至は、立夏から数えて4番目の夏の二十四節気です。
北半球では、1年で最も昼間の時間が長い日が夏至の日です。
たしかに、夏至の時期は夜の7時になっても、空がまだ明るいので、日の長さを実感することができますね。
この日から、また冬至に向かって、少しずつ昼の時間が短くなっていきますが、暑さはこれからが本番です。
長い日照時間に、大気がゆっくりと温められ、気温は8月にピークを迎えます。
夏至にあたる七十二候
二十四節気をさらに5日ごとの季節に分類した七十二候では、夏至は次のような季節に分けられます。
乃東枯(なつかれくさかるる)
6月21日から6月25日ごろは、冬至の時期に芽吹いた「靭草(うつぼぐさ)」が枯れる時期になります。
「乃東(だいとう)」とは、靭草の昔の呼び名で、中国で使われている名称(漢名)です。
靭草は、また「夏枯草(かこそう・なつかれくさ)」とも呼ばれます。利尿や消炎作用がある生薬として用いられます。
夏の花が色鮮やかな時期に枯れることから、「夏枯草」と言いますが、実際に枯れるのは8月に入ってから。
夏至の時期には、靭草も薄紫の花を咲かせます。
菖蒲華(あやめはなさく)
6月26日から6月30日ごろは、菖蒲(あやめ)が花を咲かせる頃。
アヤメが咲くと本格的な梅雨になると言われます。
ところで、アヤメには、とても似ているために見分けが難しい花がかきつばたと花菖蒲。
この3つの花、ともにアヤメ科に属しているため、花が似ているのも無理はありません。
さらに、花が咲く時期も、かきつばたは5月と少し早く咲きますが、アヤメと花菖蒲は同じ夏至の頃と、ややこしさに拍車をかけています(笑)。
ここで3つの花の見分け方のポイントをご紹介しましょう。
- アヤメは、花びらに網目の模様があり、アヤメという名前の由来にもなっています
- 花菖蒲は、花の付け根の色が黄色です
- かきつばたは、花の付け根に一筋の線が入っています
端午の節句の菖蒲湯(しょうぶゆ)で使われる菖蒲は、アヤメや花菖蒲とは全く違う植物でサトイモ科の薬草。
アヤメや花菖蒲のような華やかな花ではなく、穂のような素朴な花を咲かせるのだそうですよ。
半夏生(はんげしょうず)
7月1日から7月6日ごろは、「烏柄杓(からすびしゃく)」が生える時期です。
「半夏(はんげ)」は、烏柄杓の中国での名称(漢名)。
サトイモ科の多年草で、田畑に生える雑草ですが、毒を含んでいます。
夏至の時期、地面には毒気があり、烏柄杓が毒を持つのは地面の毒を吸うからと考えられていました。
烏柄杓が生えてくると、烏柄杓から放たれる毒気に汚染されないようにと井戸に蓋までしたそうです。
一方で、根や茎には、吐き気やつわりをおさめる効能があるとして生薬として用いられたというから不思議な話ですね。
また、七十二候の「半夏生(はんげしょうず)」から生まれたのが雑節(ざっせつ)の「半夏生(はんげしょう)」。
同じ漢字で、“ず”が付くか付かないかだけなので、アヤメと花菖蒲以上にややこしいですね(笑)。
雑節(ざっせつ)の「はんげしょう」は、夏至の日から数えて11日目、つまり七十二候の「はんげしょうず」の始まる日と同じです。
そして、「はんげしょう」は、農家には田植を終える節目の日です。
梅雨もそろそろ終わりを迎えるこの時期は、半夏雨(はんげあめ)と呼ばれる大雨が降りやすいとされてきました。
梅雨の終盤の大雨をさけるためにも、半夏雨までには田植えを終わせないといけなかったのかもしれませんね。
夏至の時期の気象データ
夏至が1年で昼間の時間が最も長い日というのは、確か小学校で習ったような記憶があります。
今まで知識として持っていただけでしたが、夏至と冬至では、どれだけ昼間の時間に違いがあるのかを数値で確認してみましょう。
下記の6都市の2021年の夏至と冬至の昼間の時間とその差を調べて表にしましたのでご覧ください。
都市 | 夏至 | 冬至 | 差異 |
札幌 | 15:23 | 9:00 | 6:23 |
東京 | 14:35 | 9:45 | 4:50 |
名古屋 | 14:32 | 9:48 | 4:44 |
大阪 | 14:29 | 9:50 | 4:39 |
福岡 | 14:23 | 9:56 | 4:27 |
沖縄 | 13:47 | 10:30 | 3:17 |
*国立天文台「こよみの計算」から
東京でだと夏至と冬至では昼間の時間が4時間50分も違うのですね!
緯度の高い札幌では6時間半近くも違ってきます。
たしかに、日の出と入りには季節の変化を感じることがありますが、こんなに夏至と冬至で昼間の時間が違うとは思っていなかったので、驚いています。
ここで、むくむくと1年通じてどれだけ昼間の時間が変化していくのか気になってきました(笑)。
ここは、自分の生活感覚との照らし合わせもあって、京都の1年間の昼間の時間の変化をグラフにしています。
*2020年の二十四節気の節入り日の昼間の時間を国立天文台「こよみの計算」からお借りしてきました
"きれいに釣り鐘式のグラフだわ"と元の数値をボーっと見ていて、意外なことにまた気づいてしまいました。
夏至・冬至というからには、日の出と日の入りも一番早い・遅いかと思ったら、必ずしもそうでもないのですね。
- 日の出が一番遅いのは、冬至ではなく小寒、日の入りが一番早いのも冬至ではなく大雪
- 日の出は、夏至と芒種が同じ時刻で一番早く、日の入りも夏至と小暑が一番遅い時刻
単純に、日の出と日の入りが一番早い遅いの組み合わせで、昼間の時間が一番長かったり短かったりしないというのは、私としては大発見でした!(え?中学の地学で習うことですか?)
夏至の時期の雑学
夏至と対になる冬至には、柚子湯やカボチャなど食べると良いとされる物も多かったですが、夏至は農家が田植の忙しい時期だからか、そうした風習が多くありません。
夏至の期間にくる雑節の半夏生(はんげしょう)には、豊作を祈って食べる物が風習として伝わる地域があります。
いくつか代表的なものをご紹介しますね。
半夏生に豊作を祈って食べる物
- 関東の「焼き餅」⇒収穫した小麦から作った焼き餅で豊作を祈願する
- 関西の「タコ」⇒タコの足が吸い付くように、稲が大地に根付くことを願う
- 奈良県の「半夏生餅」⇒田植えが無事に終わったことを感謝して、田の神様にお供えして、皆で食べる
- 香川県の「半夏うどん」⇒田植えを終えた半夏生には半日の骨休みをとり、その時に新麦でうどんを作り食べる
私は関西のタコぐらいしか知らなかったので、地域性があって面白いなと思いました(笑)。
夏至祭
緯度が高く、太陽の陽射しが貴重な北欧では、各地で「夏至祭」が開かれます。
日本でも三重県二見浦の夏至祭が有名ですね。
二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)の夏至祭
三重県・二見興玉神社の境内にある夫婦岩は、伊勢神宮を参拝した人の多くが訪れる場所です。
夏至の時期になると、夫婦岩の間を朝日が昇ってくるのです。
夏至の当日の午前3時30分から行われるのが、夏至祭の神事。
日の出の時刻(午前4時40分ごろ)に合わせて禊神事が始まります。
まさに夏至だけに見ることができる特別な光景ですね。
北欧の夏至祭
日照時間が短い北欧では、夏至は冬至と並んで大切な日です。
スウェーデンやフィンランドでは、夏至に最も近い土曜日と、その前日の金曜日が祝日となるぐらい大切にされています。
夏至を祝うために、各地の町や村では中心の広場に、樹木の葉や花で飾り付けた柱をおいて、その周りでたき火をたき、一晩中踊りあかします。
また、北欧の夏至祭には、恋や結婚にまつわる言い伝えが多いという特徴があります。
- スウェーデン⇒女性が7種類の草花を枕の下に置いて寝ると恋が叶う
- フィンランド⇒女性が7種類または9種類の花を摘んで枕の下に置くと、未来の夫との出会いが約束される
- ロシア・ウクライナ・ベラルーシ⇒夏至祭でかぶっていた花の冠を一緒に川に流して、離れなかったら2人は結ばれる
- リトアニア⇒恋人同士が手を繋いで広場のたき火を飛び越えると、2人は結婚できる
なんだか微笑ましいですね!
夏越の祓(なごしのはらえ)
夏至の間にあるのが、6月の末日(晦日・みそか)は、各地の神社で行われる「夏越の祓」の日です。
「夏越の祓」は、12月の大晦日(おおみそか)と同じく、「大祓(おおはらえ)」の日。
半年間の罪や厄災を人形(ひとがた)に託して祓い清めます。
そして、茅草で作った輪をくぐる「茅の輪くぐり」をして残り半年の無病息災を祈るのです。
まとめ
「夏至」は、昔使われていた季節の区分、二十四節気の一つで、立夏から数えて4つ目の夏の節気です。
年によって1日前後しますが、例年6月21日ごろから始まり、次の二十四節気・小暑の前日にあたる7月6日ごろまでが夏至の時期です。
ちなみに
夏至の日は、1年で昼の時間が最も長い日です。
1年で昼間が最も短い冬至の日と昼間の時間を比べると、東京では4時間50分も違いがあります。
たしかに、夏至の時期は夜の7時でも外はまだ明るいですね。
梅雨も終わりを迎える時期ですが、徐々に暑さも湿度も増してきます。
いよいよ夏が始まりますね!
- 次の二十四節気は小暑(しょうしょ)です。
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小暑2023年はいつ?一目でわかるカレンダーで詳しく紹介!
小暑と書いて、“しょうしょ”と読みます。 小さく暑いと書くだけあって、小暑は一年で最も暑い暑中の前半にあたります。 二十四節気の中には、どういう季節なのか分からない名称が多い中、小暑は分かりやすい名称 ...