立春と書いて、“りっしゅん”と読みます。
立春と節分は、同じ日と混同されることもありますが、節分は立春の前日、つまり大寒の最終日の日のことです。
本来は立夏・立秋・立冬の前日も節分なのですが、近年では立春の前日だけを指すようになっています。
立春が、二十四節気では1年の始まりの節気ということからも特別扱いも納得できますね。
そんな立春ですが、2023年はいつからいつまででしょうか。
日程はもちろん、立春という季節についてもピックアップしてお届けしていきます。
立春の由来と時期
立春とは、日本が太陰暦だったころに、季節の移り変わりを知るために使っていた二十四節気という区分の一つです。
立春の日というのは、この立春という時期の始まる日(節入り日)のことです。
立春という場合、節入り日の当日のみを指すこともありますが、本来は約15日間の期間を意味します。
2023年の立春はいつ?
- 2023年の立春の日(節入り日)は2月4日(土)
- 立春の期間は2月4日(土)から2月18日(土)
年によって1日前後しますが、例年2月4日ごろから始まり、次の二十四節気・雨水の前日にあたる2月18日ごろまでが立春の時期です。
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立春とはこんな季節
立春に入ると「寒明け」です。
暦の上の季節は、立春の日から春が始まり立夏の前日までが春。
さらに、立春は二十四節気が始まる節気でもあり、かつては1年の始まりでもありました。
茶摘みに歌にある八十八夜や、台風の厄日として知られる二百十日・二百二十日などは、立春を起点に数えた日数が名称になったもの。
また、元日1月1日が冬のさなかなのに、「新春」「初春」と祝うのも、立春が1年の始まりだった名残です。
旧暦は、月の動きを基準とし、二十四節気は太陽の動きを基準とした暦です。
毎年日にちがずれるのがあたりまえなのですが、約30年に1度、旧暦の元日と立春が同じ日になることがあります。
旧暦1月1日と立春が同じ日になることを朔旦立春(さくたんりっしゅん)といい、大変縁起の良いこととされます。
ちなみに
暦の上では春といっても、2月は寒さがまだまだ厳しい時期です。
その一方で、時折、春を感じさせる陽射しが差し込む日もあり、九州や太平洋側の温暖な地域からは梅の開花の便りも届き始めます。
立春にあたる七十二候
二十四節気をさらに5日ごとの季節に分類した七十二候では、立春は次のような季節になります。
東風解凍(はるかぜこおりをとく)
2月4日から2月8日ごろは、春に吹く東寄りの風が川や湖に張りつめた氷をとかし始める時期です。
七十二候でも最初の候にあたり、いよいよ春が近いことをあらわします。
「東風」は、“こち”と読み、昔から俳句や和歌に詠まれてきました。
東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしと手 春を忘るな
(東風が吹いたら その香りを遠く離れる私のもとまで届けておくれ 梅の花よ。 私がいなくなっても春を忘れてはいけないよ)
学問の神様・菅原道真が、大宰府に左遷される道真の心境をよんだ歌としてあまりにも有名な一首です。
黄鶯睍睆(うぐいすなく)
2月9日から2月13日ごろは、ウグイスの美しい鳴き声が春を告げるかのように響き始める時期です。
その年に初めて聞くウグイスの声は「初音(はつね)」と言いますが、気象庁でもウグイスの初鳴き日を観測しているほど、春の訪れを象徴する現象です。
魚上氷(うおこおりをいずる)
2月14日から2月18日ごろは、気温の上昇で川や湖の氷が割れ、氷の下に閉じ込められていた魚が水面に跳ね上がる時期とされています。
水の中も徐々に温かくなりますので、魚が泳ぐ姿も水中に見られるようになっていきます。
立春の時期の気象データ
春を告げる梅とウグイス。
実際には、梅とウグイスの取り合わせは見られることが少ない光景ということをご存知でしょうか。
梅に緑色の小鳥がよく止まっていますが、あの小鳥はウグイスではなくメジロなのです。
ですが、昔から梅とウグイスはセットで扱われることが多いのも事実。
そこで、2021年の梅の開花が観測された日を調べてみました。
都市 | 観測日 |
札幌 | 4月20日 |
仙台 | 3月15日 |
東京 | 2月1日 |
名古屋 | 2月8日 |
大阪 | 2月26日 |
福岡 | 1月23日 |
那覇 | 12月30日 |
京都 | 3月10日 |
*気象庁データから作成
観測データを見る限り、梅の開花が、立春とちょうど重なるというのは珍しいことのようです。
そして、それぞれの観測日を見ると、意外に間が空いていることが分かります。
北海道まで行くと、両方の日にちは接近していますが、大阪や東京では1~2ヶ月も離れているとは驚きました。
梅の花が一歩も二歩も先に春を告げて咲くということですね。
そういえば、初詣に京都の北野天満宮に行くのですが、もう梅の花、咲いています。
ところが、京都の観測対象の梅は2月19日とかなり遅い開花日が記録されているので、こちらもちょっと意外な数値でした。
立春に関わる雑学
旧暦の一年の始まりでもある立春ですが、立春ならではの行事食は特にないようです。
風習としても冬至の柚子風呂のように広く知られている「これ!」といったものはないのも何だか不思議な感じではあります。
ですが、調べてみるとやはりありました!
春だけに「縁起のいい」内容満載です!
立春大吉
立春の早朝に禅寺の門前に、「立春大吉」と書いた御札が貼られることから、広まった厄除けの風習です。
「立春大吉」という漢字は左右対称のため、表から見ても裏から見ても“りっしゅんだいきち”と読むことができます。
立春などの季節の変わり目には、鬼が現れると考えられていました。
そこで、「立春大吉」の御札を玄関に貼っておくと、家の中に入ってきた鬼が「立春大吉」が読めるので、こちらが家の外と勘違いし、逆戻りして出ていきます。
「立春大吉」の札は、鬼の侵入を防ぎ、一年を平穏無事に過ごすための大事なおまじないなのでした。
初午大祭
初午大祭は、商売の神様として知られる稲荷神社のお祭りで、福詣とも呼ばれる京都の初春第一の祭事です。
もともとは、稲荷神社の祭神である稲荷大神が、奈良時代である711年(和銅4年)2月の初午の日に、稲荷山の三ケ峰に初めて鎮座されたことをしのぶものでした。
それが、豊作祈願と結びつき、大変賑わいのあるお祭りとなったのでした。
かつては、旧暦の2月初午に行われていました。
ちょうど現在の2月下旬にあたり春めいてくる時期ですね。
現在では、新暦の初午の日に開催されますので、初午大祭が節分前にくる年もあります。
まだまだ春には程遠い寒さ厳しい時期ですね。
立春朝搾り
立春朝絞りとは、立春の夜明け前に絞られた日本酒のこと。
立春当日に店頭に出荷されます。
出荷量も少なく、立春に限定販売される貴重品です。
日本名門酒会の企画で1998年から始まり、以降毎年実施されています。
立春朝搾りに参加した酒蔵から出荷されて、日本名門酒会に加盟している酒販店でだけで入手できるということです。
「立春」の縁起のよさと、早朝の厳しい寒さの中で搾られたお酒というのが、とてもキレの良いお酒を想像させますね。
まとめ
「立春」は、昔使われていた季節の区分、二十四節気の一つで、この日から暦の上では春が始まります。
年によって1日前後しますが、例年2月4日ごろから始まり、次の二十四節気・雨水の前日にあたる2月18日ごろまでが立春の時期です。
ちなみに
立春は、二十四節気の始まりの節気で、立春の日から立夏の前日までが暦の上での春。
また、かつては、立春は一年の始まりでもありました。
八十八夜や二百十日・二百二十日などは、立春から数えた日数で言い表されたものです。
実際は、まだまだ寒い2月の時期ですが、春の足音を感じることも増えてきます。
気候が温暖な九州や太平洋側から梅の開花が観測され、春を告げるウグイスの初鳴きも聞こえてきます。
春は、もうそこまで来ていますね。
- 次の二十四節気は雨水(うすい)です。
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