キャベツと言えば、千切り。フライ物に付け合わせに添えたり、サラダの主役としてマヨネーズやドレッシングをかけたりと、キャベツは調理らしい調理をしなくても食べられる野菜ですよね。
その手軽さもあってか、我が家のフライ物率が高いからか、キャベツは口にする機会が多い野菜です。
そんな口にする機会が多いキャベツですが、どんな栄養が多いのかは案外知らないものです。イメージとしては、食物繊維が多めでビタミンCが含まれるという気がしますが、実際のところはどうなのでしょうか?
気になって調べたところ、キャベツにはカルシウムが多いことも分かりましたし、なんとがん予防に効果があるとアメリカが認めた野菜でした!
本日は、キャベツの栄養について調べてみて分かったことをお伝えしていきますね。
■目次
キャベツの栄養成分表
栄養のお話ですので、やはり最初に栄養成分表を確認したいと思います。キャベツに多く含まれている栄養成分を表にしましたのでご覧ください~。
キャベツ100gの栄養成分表
エネルギー | 23kcal | |
水分 | 92.7g | |
炭水化物 | 5.2g | |
ミネラル | ナトリウム | 5mg |
カリウム | 200mg | |
カルシウム | 43mg | |
マグネシウム | 14mg | |
リン | 27mg | |
ビタミン | β-カロテン当量 | 50μg |
K | 78μg | |
ナイアシン | 0.2mg | |
葉酸 | 78μg | |
C | 41mg | |
食物繊維総量 | 1.8g |
文部科学省「日本食品標準成分表」(2015年版七訂)から抜粋
最初でも触れましたが、キャベツにはカルシウムが含まれているんですね!それに食物繊維も少ない!これも完全にイメージと違いましたので驚きました。
ご覧いただいた栄養成分の中から、含まれている量が多いものや、効果が高い栄養成分について、詳しく説明していきますね。
キャベツに含まれる効果の高い栄養
キャベツは、大根やブロッコリーと同じアブラナ科の仲間で、淡色野菜の中でもトップクラスに入るほどビタミンCが豊富な葉物野菜です。
また、5大栄養素(脂質・タンパク質・炭水化物・ビタミン・ミネラル)ではありませんが、キャベツの栄養を語るうえで欠かせないのがビタミンUことキャベジンの存在です。
他にもキャベツや大根・ブロッコリーといったアブラナ科の野菜に含まれているという『イソチオシアネート』という成分があるのですが、こちらはがん予防に効果が高い酵素として注目されています。
キャベツの栄養から、ビタミンU(キャベジン)やビタミンCなど6つを特に効果が高い栄養成分としてご紹介していきますね。
- ビタミン様物質のビタミンU(キャベジン)
- ビタミンC
- ビタミンK
- ミネラルのカルシウム
- ミネラルのカリウム
- 酵素のイソチオシアーネ
それぞれの栄養素がどんな役割を果たしているのか、順番に見ていきましょう!
ビタミン様物質のビタミンU
キャベツから発見されたことから、キャベジンとも呼ばれる栄養成分がビタミンUです。体内でビタミンと同じような働きをするのですが、体内で合成できることと、不足しても欠乏症が起こらないため、ビタミン様物質というものに分類されています。
キャベジンという胃腸薬があることからも分かるように、ビタミンUは胃腸の働きを正常にする効果のある成分です。ヨーロッパでは昔から、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の時の妙薬としてキャベツが食べられていたそうですよ。
- ビタミンUの主な効果
- 胃酸の分泌を抑える
- 傷ついた胃腸の粘膜を修復する
- 肝臓の働きを良くする
肝臓は、血液中の老廃物を取り除く解毒作用を担っているだけでなく、体の組織を作るたんぱく質やコレステロールを合成する重要な臓器ですね。肝臓に運ばれたビタミンUは、たんぱく質の合成をサポートし、肝臓内の余分な脂肪の代謝を促進します。
胃腸に良い成分として注目されがちですが、ビタミンUには、こんな一面もあったんですね!
ビタミンC
ビタミンCは、ビタミンAと並んで高い抗酸化作用を持つビタミン。免疫を高めてくれるので風邪予防に必須ともいえる存在ですが、ストレスを緩和するという作用もあります。
また、肌にハリを与えるコラーゲンの合成をサポートし、シミやそばかすを予防する美白ビタミンですね。さらには、鉄分の吸収を良くするという働きもありますので、女性には嬉しいビタミンですね。
30歳から49歳の成人女性は、1日にビタミンC100mgの摂取が推奨されています。キャベツだけではビタミンCの1日当たりの推奨量は取れるというわけにはいきませんが、日常の食卓にキャベツのサラダを添えるだけでもいいですね。
*厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)
キャベツのビタミンCは、外葉に最も多く次いで芯に多く含まれます。量を食べるなら、加熱するという方法がありますが、残念ながらビタミンCは熱に弱いビタミンですので、サラダなどの生野菜として食べることがおすすめです。
ビタミンK
ビタミンKの一番の役割は、丈夫な骨づくりです。ビタミンKは、カルシウムが骨に定着するために必要なたんぱく質を活性化する働きがあり、ビタミンDとともに丈夫な骨を維持するのに欠かすことができないビタミンです。
もう一つの大きな役割は、ケガや内出血の止血作用。血液を固める因子を助けるため、ビタミンKが不足すると、血が固まらず出血が続くということになってしまいます。
30歳から49歳の成人女性が、1日にとるビタミンKは150μgが目安量とされています。
*厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)
キャベツ100gあたりに78μgのビタミンKが含まれます。キャベツが入ったサラダが一品あるだけでも違ってきますね。
カルシウム
カルシウムはご存知のように骨や歯を作るミネラルですね!それ以外にも、神経を落ち着かせる作用もあるので、イライラしていると“カルシウム不足?”と言われたりもします(笑)。
しかも、それだけ重要なミネラルなのに、不足しがちなミネラルの代表というのが困ったところです。
キャベツのカルシウムは、ビタミンCと同じく芯と外葉に多く含まれています。芯も外葉もどちらかというと捨ててしまいがちな部分ですが、これからは食べるようにしないといけませんね。
芯は、薄くスライスして塩でもむと浅漬けに、スープに入れて煮込むとホクホク感が美味しい具にと工夫すれば無駄なく食べることが出来ますよ。
カリウム
カリウムは、細胞内の水分とミネラルのバランスをとる存在ですが、特に知られているのが、余分なナトリウム(塩分)を排出してくれることです。
ナトリウムが増えると、その濃度を下げようとして体は水分をため込みます。(塩辛いものを食べた後に喉が渇くのは、そのためだったのですね。)結果、むくみも生じますが、血液の量も増えるので血圧が上がり、心臓の負担も大きくなります。
一方で、カリウムはカルシウムが体外に出ていくのを抑えるという働きがあり、骨粗しょう症予防にもプラスです。要らないものと要るものをちゃんと見分けるなんて、カリウムは、ほんと、賢いミネラルですねー。
酵素のイソチオシアネート
聞きなれない成分名が出てきましたが、キャベツとおなじアブラナ科の大根やブロッコリーなどの野菜に多く含まれる酵素の一種です。免疫の向上と、肝臓の働きがよくなって解毒力を上げる働きがあります。
キャベツには、イソチオシアネートの他にも発がん物質を抑制する酵素も含まれます。アメリカの国立がん研究所が、1990年にデザイナーフーズ・ピラミッドというがん予防に効果のある40種類の野菜・果物を発表したのですが、最も効果の高いグループにキャベツは入っているのです!
帝京大学の山崎正利名誉教授によると、毎日キャベツ1枚(30~50g)の摂取を続ければ効果は十分期待できるのだとか。しかも、イソチオシアネートは過熱に強いので、それこそ味噌汁やスープの具にすれば、生よりも多く食べることが出来ますよね!
デザイナーズフーズピラミッドとはアメリカの国立がん研究所が1990年に発表した、がん予防の効果が信頼できる約40種類の野菜・果物を1~3群に分けたリストのこと。
予算が削減されて1993年にとん挫したものの、アメリカ国民の食生活が改善し1990~95年の5年間で死亡率が2.6%減少するという成果があったそうです。
1群 | にんにく、キャベツ、大豆、しょうが、ニンジン、セロリ |
2郡 | 玉ねぎ、緑茶、玄米、トマト、ナス、ピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、オレンジ、レモン、グループフルーツ |
3郡 | マスクメロン、バジル、ハッカ、オレガノ、タイム、ローズマリー、セージ、キュウリ、アサツキ、ジャガイモ、大麦 |
キャベツを食べるこんな効果があります
ここまで、キャベツに含まれている栄養の中で特に効果の高いものを見ていただきましたが、あらためて、キャベツの効果を整理すると次の6項目になります。
- 胃・十二指腸潰瘍を予防し胃の機能を正常にする
- 免疫力を向上しがんを予防する
- 動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞の予防に有効
- 肝機能を強化し正常にする
- 骨粗しょう症を予防する
- 新陳代謝が良くなり健康な肌を作る
正直、キャベツは淡色野菜なので、ビタミンCと食物繊維ぐらいで大した効果は無いと思っていたのですが、思い込みを覆される結果となりました。
意外と食物繊維が少なかったり、カルシウムが含まれていたり。でも最大の驚きは、やはりアメリカが認めたがんを防止する力ですね。
フライの付け合わせで食べることが多かったのですが、朝食でもサラダとして食べるようにしたいなと思います。
キャベツの効果的な食べ方
ここまで、キャベツに含まれている栄養の中で、特に注目すべきものとその効果について見てきました。
ここでは、キャベツの効果的な食べ方をご紹介していきますね。
キャベツの効果的な食べ方
キャベツに含まれているビタミンU・ビタミンCには、共に水に溶けやすく加熱に弱い性質です。ビタミンUがもたらす胃を健康にする効果を考えると、やはりビタミンUが減るような食べ方は避けたいところですね。
生野菜としてサラダで食べる場合も、水にさらすと食感がシャキッと良くなりますが、長時間さらすと栄養分が溶け出ますので、さっと短時間で水切りすることがポイントです。
ただ、キャベツは煮込みや炒め物などにもよく使う野菜です。がん予防に効果のあるイソチオシアネートは熱に強い性質ですし、加熱時間をできるだけ短くすれば、そんなにビタミンC・Uも減りません!
煮込む場合は、スープや味噌汁のような栄養分が溶け出た煮汁もそのまま取れるようなレシピがおすすめですよ。
一緒に食べるとさらに効果のある食品
続いてキャベツと一緒に食べると、さらに健康によい食品をご紹介しましょう!
貧血・老化の予防、肝機能の強化
- アサリ
- しじみ
- レバー
- 植物油
血行促進・動脈硬化の予防
- レモン
風邪・がん予防
- ほうれん草
- うなぎ
- ニンジン
ストレス緩和、老化防止、記憶力アップ
- カシューナッツ
- 落花生
- たらこ
キャベツの旬は2回ある!
キャベツも必ずと言っていいほど冷蔵庫にある野菜ですが、1~3月が旬の「冬キャベツ」と3~5月が旬の「春キャベツ」があります。
おいしいキャベツの選び方
おいしいキャベツを見分けるポイントは次の4点です。
- しっかりとしていてしおれていない外葉がついている
- 根元の切り口がみずみずしく変色していない
- 根元が太すぎる物は、葉の軸も硬いので避ける
- 緑の色が濃く、全体にツヤがある
冬キャベツの場合は、さらに、葉の巻きがしっかり詰まっていて重みがあるものが良いキャベツの目安です。
また、外葉が取られていて、白っぽいものは、鮮度が悪いか傷んでいる可能性が高いので選ばないようにしましょう。
できれば1玉まるごとを買うのが良いですが、もしカットされているキャベツを買う場合は、切り口が新鮮で、芯が大きすぎない物を選ぶといいですよ。
キャベツの保存方法
キャベツを保存するときは、外葉をラップ変わりにしてキャベツを包めば、乾燥を防げて長持ちします。
冬の寒い時期は、外葉の上からさらに新聞紙で包めば常温で十分保存可能です!冬以外は、外葉に包んだままポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
また使うときは、葉を1枚ずつはがして使います。切り分けてしまうと、空気に触れる面が増えて、早くに鮮度が落ちます。
ちょっと使い切れないなというときは、一度軽く塩ゆでして、ザルに上げて冷ましたものを保存袋に入れて冷凍すると調理の際にも便利に使えますよ。
まとめ
キャベツは、大根やブロッコリーと同じくアブラナ科の淡色野菜で、ビタミンCを多く含みます。
キャベツに含まれる栄養の中で、健康に効果の高い成分は次の6つです。
- ビタミン様物質のビタミンU(キャベジン)
- ビタミンC
- ビタミンK
- ミネラルのカルシウム
- ミネラルのカリウム
- 酵素のイソチオシアーネト
中でもキャベツから発見されたビタミンUは、胃の粘膜を修復し正常にする効果が高く、胃腸薬の成分としても使われています。
また、イソチオシアーネトは、アブラナ科の野菜に多い酵素で、がんを抑制する強い効果があります。アメリカの国立がん研究所が1990年にがん予防の効果がある約40種類の野菜・果物が発表されましたが、キャベツは最も効果の高いグループに属しています。
キャベツを積極的に食べることで期待される健康への効果をまとめると次のようになります。
- 胃・十二指腸潰瘍を予防し胃の機能を正常にする
- 免疫力を向上しがんを予防する
- 動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞の予防に有効
- 肝機能を強化し正常にする
- 骨粗しょう症を予防する
- 新陳代謝が良くなり健康な肌を作る
ビタミンCとUは、水に溶けやすく熱に弱いため、生野菜で食べることがキャベツの効果的な食べ方です。もし加熱する場合は、できるだけ短時間でさっと火を通すか、溶け出た煮汁も丸ごと食べることができるレシピがおすすめです。
キャベツには、思っていた以上に、色んな効果があって本当に驚きました。ざくざく刻んだり、千切りにしたり。キャベツを食べる機会をこんな風に手軽に増やそうと思います(笑)。
【参考図書】
病気と不調を自分で治す! 家庭おくすり大事典(主婦の友社)
栄養の基本がわかる図解辞典(成美堂出版)
野菜の便利帳(高橋書店)