『中性洗剤を使ってください』と指定されていることありますよね。
はいはい、いつもの中性洗剤ですねと、軽く流してましたが、なぜこんなにわざわざ指名される洗剤なんでしょう?
最近は、クリーニング屋さんから帰ってきた衣類の匂いが気になるようになったので、家で洗えるものは出来るだけ家で洗うようにしているんですね。
間違った洗剤で洗うと洋服がおじゃんになることは知っていても、洗剤はとりあえず『おしゃれ着洗い』使っておけば間違いないやろ程度の認識しかなかったので、今後のためにちゃんと調べてみることにしました。
では、中性洗剤とはどんな洗剤なのか、種類・用途、注意点について説明していきます。
中性洗剤、3つのポイント
中性洗剤を語るうえでポイントとなるのは3点です。
- 酸の強さであるpHが中性
- 洗う手肌は対象の素材に優しい
- 素材を選ばず使えるかわり、ひどい汚れには弱い
この3つのポイントについて順に説明していきますね。
酸の強さpHが中性
まず中性洗剤という名前そのものずばり、中性の意味から始めますね。
これは小学生の時に習ったリトマス試験紙を思い出してください。
リトマス試験紙を液体に浸せば、あら不思議、赤くなったり青くなったりしましたよね。
リトマス試験紙が赤になれば酸性、青になればアルカリ性と、浸した溶液の酸の強さpH(ペーハー)を知るために理科で習いましたよね!
この酸の強さpHは、値は0から14まであり、6.0~8.0の間が酸性でもないアルカリ性でもない『中性』に分類されます。
もう勘のいいあなたならお分かりですね。
そうです、中性洗剤は、水に溶かした時の酸の強さpHが6.0以上8.0未満の洗剤です。
参考にpHの強さと洗剤の種類をまとめたのが下の表です。
洗剤の種類とpH(ペーハー)
pH | 洗剤の種類 |
3.0未満 | 酸性 |
3.0以上6.0未満 | 弱酸性 |
6.0以上8.0未満 | 中性 |
8.0超11.0以下 | 弱アルカリ性 |
11.0超 | アルカリ性 |
人の手肌にも洗う対象にも優しい
人間の皮膚は、pH4.5~6.0の弱酸性が健康な状態です。
アルカリ性の洗剤は、逆に肌にとっては刺激で、肌荒れの原因になったりします。
逆に物質にとっては、酸が強いと溶けたり変質したりと刺激が強すぎます。
つまり!中性の洗剤は、人の肌にも物にも優しい洗剤ということなのです!
衣類の洗濯で中性洗剤を使ってくださいとあるのは、シルクやウールといったデリケートな素材の色合いや風合いを中性洗剤なら保てるからなんですね。
このpHの違いが、洗う対象への優しさだけでなく、落とせる汚れの種類とも密接に関連しています。
中性洗剤で落とせる汚れ
洗剤が酸の強さで分けられるように、洗剤で落とす汚れも酸の強さで分類できます。
さきほど、手肌や物に優しいという話の時に、酸性にはアルカリ性が刺激という話をしましたが、これが対汚れとなるとアルカリ性の汚れには酸性の勝った洗剤、酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤をぶつけてやればよいという論法になります!
汚れの種類と落とせる洗剤の種類
- 酸性の洗剤が強い汚れは
台所や洗面台のシンクの水垢のような固くて白っぽい“ガチガチ”はアルカリ性の汚れですので、酸性の洗剤で中和してやることで落とすことができます。
- アルカリ性の洗剤が強い汚れは
油や手垢などの皮脂といった“ベタベタ”する汚れは酸性ですので、アルカリ性の洗剤で中和させて落とします。
- 中性洗剤が強い汚れは
中性洗剤は、酸性洗剤やアルカリ性洗剤のような強い洗浄力を持ちません。
中性洗剤が強いのは、言ってしまえば“軽い”汚れです。
ひどい汚れや時間がたってガンコになった汚れは中性洗剤では落とせません。
つまり中性洗剤は、酸性洗剤やアルカリ性洗剤ほど強い洗浄力が無いから、汚れを落とす対象を傷めることがないということなのです。
では、中性洗剤は何で汚れを落としているのかですが、そこで配合されているのが界面活性剤です。
中性洗剤の主成分、界面活性剤
中性洗剤を語るうえで外せないのは、主成分である界面活性剤です。
ちょっと専門的な話になりますが、界面活性剤は、分子レベルで見ると、水と相性の良い性質(親水基)と油と相性が良い性質(親油基)を持っています。
油と水は、本来一緒にはならないものですが、界面活性剤には水と油が混ざり合うようにする力があります。
洗濯を例に界面活性剤が汚れを落とす作用を説明してみますね。
界面活性剤が汚れを落とす3つの作用
- 浸透作用~汚れと繊維の間に水が入り込みようにします
- 乳化・分散作用~汚れが水の中に溶け出して混ざりやすくします。
- 再付着防止作用~繊維から落ちた汚れが、再度繊維に付かないようにします。
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油のついた手を水で洗ってもきれいになりませんが、石けんで洗うときれいになるのは、石けんに界面活性剤が含まれているからなんですよ。
中性洗剤で落ちる汚れが分かったところで、続いて使う上で注意することがあるかを確認しますよ。
中性洗剤を使う上での注意点
素材を傷めないことから用途が広いことは中性洗剤の長所です。
掃除用でいえば、材質を傷める心配がないとして、金属面・塗装面、プラスチック、ゴム類などに使える万能ぶりです。
でも、やはり使ってはいけない材質があるので、そこは購入した商品の注意書きを必ず確認して使う事!
中性洗剤で落とせない汚れを落とせるんじゃないだろうかとゴシゴシこすったりすると素材を傷めることになります。
そういう見極めも中性洗剤を使う上で必要ですね。
ということで、中性洗剤だから特にこれだけは気を付けて!という注意点はありませんでした。
そういう取り扱いのしやすさが、用途と種類の多さにもなっているんですね。
中性洗剤の種類
洗う対象を傷めないことと安全性の高さから中性洗剤は、色んな用途に応じた種類があります。
中性洗剤の説明の最後として、こんな用途別に作られているということを整理したのがこちらです。
(花王さんとライオンさんの該当商品も一緒に整理してます~)
中性洗剤の種類 | 花王とライオンの商品(2017年8月現在) | |
洗濯用 | 花王・エマール ライオン・トップシリーズの液体洗剤(部屋干しトップ除く) | |
食器洗い用 | 花王・ファミリーフレッシュ・キュキュット ライオン・ママレモン・チャーミーシリーズ | |
掃除用 | 台所用洗剤 | なし |
拭き掃除用 | 花王・フローリングマジックリン | |
浴室用洗剤 | 花王・バスマジックリン ライオン・お風呂のルック | |
トイレ用洗剤 | ライオン・ルック まめピカシリーズ |

まとめ
pH、学校卒業以来ウン年ぶりに使いました(笑)
汚れも酸の強さで分類できるのは面白いですよね。
汚れの種類の数だけ洗剤があるのも納得です。