1日の目標歩数といえば1万歩、と長らく言われてきました。
ところが、最近になって1日に歩く理想の歩数は8000歩という説が出てきました。
2000歩というと、歩く時間にして20分ぐらいですから、大きな違いです。
ですが、歩く目的や年代にかかわらず、1日に8000歩でいいのかも気になります。
そこで本日は、1日8000歩が理想の歩数と言われだした根拠や効果から8000歩達成する方法まで、詳しくお伝えしていきます!
目的が違うと1日の理想歩数も変わる

歩く目的は、健康維持だったり、ダイエットだったり、人によって様々。
1日の理想歩数も、やはり目的に応じて変えたほうが、より高い効果が望めます。
- 健康維持が目的なら、1日の歩数は8000歩が理想です
- ダイエットが目的なら、1日の歩数は、今までどおり1万歩が理想です
また、年代によっても、ウォーキングの効果を高めるためには、”歩く”という運動の強度を変える必要があるようです。
運動強度についてお伝えする前に、まずは、目的別の理想となる歩数について、詳しく見てきましょう。
健康維持に理想的な1日の歩数
病気を予防し健康を維持するための理想は、1日8000歩を歩くことです。
ですが、8000歩を歩きさえすればいいわけではありません。
大切なのは、「中強度の運動負荷」(ある程度の負荷)を感じる速さで歩くこと。
中強度の運動負荷で8000歩もしくは約20分を目安に歩いて、ようやく健康維持の目的が達成できるのです。
残念ながら、友達とおしゃべりしながら、のんびり歩いても、期待するほどの運動効果が得られていないということですね。
ここで、気を付けたいのは、歩けば歩くほど健康によいという思い込みから、歩きすぎて膝の関節を傷めてしまうこと。
そこまで無理をしていなくても、翌日に疲れが残る、膝が痛いなどの異常がある場合は、何が何でも8000歩と思わずに、少し減らして1日7000歩で切り上げましょう。
健康維持のために歩いているのに、調子を悪くしては元も子もありません。
毎日のご自身の体調を見ながら、無理なく歩くことを優先してくださいね。

また、1日8000歩(中強度運20分)が理想となるのも64歳以下の場合。(運動強度と年代の関係については、後ほど、詳しくお伝えしますね。)
65歳を超えると、無理をしないことが優先ですので、健康維持に必要な歩数が変わってきます。
年代別の理想歩数
- 65歳以上の人は、1日に6000~7000歩(中強度運動10~15分)が理想
- 75歳以上の人は、寝たきり防止・病気の予防のために1日5000歩(中強度運動7.5分)が目標
1日の歩数が4000歩(中強度運動5分)以下という生活を続けていると、色んな病気のリスクが出てきてしまいます。
この後、1日の歩数・運動時間を増やす方法もお伝えしていますので、明日から実施してみてくださいね。
ダイエットには1日に1万歩が理想!
ウォーキングの目的がダイエットという場合、今までどおり1日1万歩が理想の歩数です。
また、メタボと診断された、もしくは自覚している人は、1日1万歩を目標に歩いてください。
歩く時間の目安は30分と、8000歩より10分長くなります。

ただし、歩数計が1万歩カウントしていたとしても運動としては不十分なこともあります。
ダイエットが目的の場合も、中強度の運動負荷を意識することが効果的な歩き方です。
では、先ほどから繰り返し触れている「中強度の運動」について、詳しく見ていきましょう!
効果を上げるために必要な運動の強さ
運動の強さを表すときに、メッツ(METs)という単位が使われます。
何もせずに安静にしている時に消費されるカロリー(代謝)を1として、安静時の2倍のカロリーを消費する運動や活動をメッツ2、3倍はメッツ3と考えます。
中強度の運動というときのメッツは、3~5が該当します。
“近所の散歩”の場合は、2.5メッツに設定されていて、低強度になってしまいます。
問題は、中強度といっても3~5という幅があること。
60代以上の人にとっては、3メッツの運動は中強度の負荷でも、20代から50代にとっては、3メッツは低強度にしかならないのです。
年代別の歩く速さ
- 「なんとか会話できる程度の早歩き」はメッツ3程度となり、60代以上の人が心がけたい運動の強さ
- 50代以下の人は、大股で「会話はできるが歌は歌えない」ぐらいの早歩きが中強度の負荷
中強度の内容が分かると8000歩でも、けっこうな運動になることが分かりますね。
ですが、1万歩よりは20%減なのは確かです(笑)。
では続いて、8000歩が理想とされる根拠についてお伝えしていきますね。
1日8000歩でいいのはナゼ?
長らく1日には1万歩を歩くのが理想と言われてきました。
それを1日8000歩でいいですと提唱されたのは、医学博士の青栁幸利さん。
青栁博士は、2000年から群馬県中之条町で、65歳以上の住民5000人を対象に健康実験を行われてきました。
その研究成果から導き出された1日8000歩、20分という目標数値を2014年に「中之条研究」として発表されたのです。
今まで、それほど長期間・大規模な健康実験が無かったこともあり、「中之条研究」は信頼できる数値として注目されています。
「中之条研究」について詳しく知りたいという方は、青栁幸利さんの著書をご覧ください
↓
青柳幸利 SBクリエイティブ 2016年01月07日
1日にしっかり歩くとこんな健康効果がある!
歩く目的が健康維持のためでもダイエットのためでも、運動としての効果を得るためには、歩数×運動の強度がポイントとなってきます。
60代以上なら「なんとか会話ができる」、50代以下なら「会話はできても歌は歌えない」程度の速さで歩くことで、骨と筋肉に適度な刺激が与えられ、骨密度と筋肉量の維持に繋がります。
免疫アップ
運動不足が続いて、筋肉量が減ると、体温を作る機能も衰えます。
体温が1度下がると、免疫が30~40%も低下するといわれています。
私も平熱が35度台は、がん細胞には天国のような環境と聞いたことがあります。
運動不足から、そこまで健康に影響があるのかと思うとちょっと怖い話ですよね。
反対に、筋肉を維持するための運動を続けて、平熱を1度上げることができた場合、免疫が60%もアップできるそうです!

不眠症予防
また、体温は質の良い睡眠にも関係があることが分かっています。
なぜなら、就寝時の体温よりも起床時の体温が低いことが、熟睡の条件の一つだからなのです。
体温は、朝の起床後から上がり始め、夕方にピークを迎え、夜に向けて下がり始めます。
「眠気」を感じるためには、この体温の降下が必須なのです。
若いときは体温も高く上昇と下降もスムーズですが、年齢とともに体温は低くなり、1日の体温のリズムも乱れがちになります。
中高年に、夜に目が覚めるなど、睡眠で悩む方が増えるのも、こうした体温の問題があるからなのです。
また、不眠は認知症の原因とも言われます。
中強度の運動負荷で
1日8000歩を歩くだけで、
- 筋肉量と骨密度の維持
- 体温が上がって免疫アップ
- よく眠れて認知症を予防
という3つの健康効果が期待できるのです。
まさに一石三鳥な話ですよね。

しっかり歩くことで、予防できる病名リストです。参考にどうぞ!
- うつ病
- 認知症
- 心疾患
- 脳卒中
- がん
- 動脈硬化
- 骨粗鬆症
- 要介護・要支援状態
いよいよ次は実践編です。
1日8000歩、分かっちゃいるけど・・・とお思いの方、これを読めば気が楽になって、よし!やろう!という気になれますよ~。
1日の理想歩数を歩くには

まず朗報です。
1日に歩くと良いとされる8000歩ですが、実は、8000歩を一気にまとめて歩かなくてもよいのです!
コマ切れでいいので、ちょこちょこと積み重ねて、1日トータル8000歩(ダイエットやメタボ対策の場合は1万歩)になれば、しっかり運動効果が得られます。
ここで、一般の人がどれぐらい歩いているのか、日本人の平均歩数を厚生労働省が発表した「年国民健康・栄養調査結果の概要」2017年度版から確認てみます。
日本人の平均歩数
- 男性 7,194歩(20~64歳7,970歩、65歳以上5,919歩)
- 女性 6,227歩(20~64歳6,991歩、65歳以上4,924歩)
1日8000歩には1000~2000歩、1万歩には3000~4000歩は足りていないことが分かります。
この不足を埋めるために、簡単に出来ることが2点あるのでご紹介しますね。
なんだ、そんなことかと思いました?
でも、この“そんなこと”の積み重ねで健康維持に繋がるとすればラッキーですよね。
具体的には次のような行動を心掛ければ、意外と簡単に達成できますよ。
毎日の歩く量を増やす
これは、本当にちょっとした意識付けです。
『階段を使う』が代表的ですが、他にもこんな工夫はいかがでしょうか。
毎日の歩く量を増やす工夫
- エスカレーター、エレベーターの代わりに階段を使う
- トイレは違うフロアに行く
- 近くの買い物には自転車ではなく歩いていく
- 移動に自動車を使わず公共の交通機関を使う
- 一駅前で降りる
最後の『一駅前で降りる』は、個人的には夏と冬は無理!ですが、これらを“速歩き”で行って歩数を貯めるわけですね。

日常動作を増やす
お風呂掃除や床の拭き掃除も、中強度の運動として分数にカウント可能です。
これは女性の方に耳寄りな話です。
ある動作の10分を歩数に換算した目安を表にしましたのでご確認ください!
行動(10分) | 歩数換算(歩) |
ウォーキング | 1,500 |
普通に歩く | 1,000 |
水泳 | 2,100 |
ジョギング | 1,760 |
階段昇り降り | 1,700 |
ラジオ体操 | 1,320 |
自転車 | 1,085 |
ヨガ | 860 |
行動(10分) | 歩数換算(歩) |
雑巾がけ | 1,500 |
窓ふき | 1,200 |
買い物 | 1,130 |
電機掃除機かけ | 1,000 |
洗濯(干し・取り込み) | 1,000 |
庭の水やり | 850 |
アイロンがけ | 800 |
料理と後片付け | 800 |
なお、かかとの上げ下げやスクワットも効果の高い運動です。
この2つは睡眠効果が高いリズム運動ですのおススメです。

効果を上げるには継続を
天気が悪い日や体調不良の日は歩きたくても歩けませんよね。
そういう時は、8000歩・20分を1日で積み重ねるのと同じ要領で、1週間単位で帳尻を合わせればOKです。
とはいえ、1週間の一日だけを運動するというのはNGです。
2日以上空くと運動効果が思うように蓄積されません。
毎日、少しずつでも体を動かして、コツコツと継続していくことが、この1日8000歩・20分の効果の秘訣です。
また、今まで歩いていなかった人は、急に8000歩歩こうと無理をしないこと。
2000歩ずつ増やしていくようなイメージで取り組んでください。
2000歩増えるだけで予防できる病気は格段に増えるそうです!
くれぐれも無理のないよう頑張ってください!
まとめ
健康のために1日1万歩が理想と言われてきました。
ところが最近になって、健康維持には中強度の運動負荷で1日8000歩が理想と言われるようになりました。
1日8000歩を提唱されているのは青栁幸利さんという医学博士。
群馬県中之条町で行われた健康実験から、効果のあった数値として2014年に報告されました。
この調査から、1日8000歩を歩く効果として、免疫の向上や不眠症など、多くの病気の予防できることも分かってきました。
ただし、ダイエット目的やメタボと診断されている場合は、今まで言われてきたとおり、1日1万歩が引き続き理想!
十分な効果を上げるためには、健康維持であってもダイエットであっても、3~5メッツの中強度の運動負荷で歩くことが必要になります。
運動負荷は、年代によって数値に差があり、
- 60代以上なら「なんとか会話ができる」
- 50代以下なら「会話はできても歌は歌えない」
ぐらいの速さの大股歩行が必要な運動負荷を満たします。
8000歩のウォーキングは中強度の運動20分に置き換えても、同じように健康維持の効果が得られます。
さらには、一気に8000歩または20分の運動をする必要はなく、1日単位のトータルで体を動かすだけでも効果は十分期待できます。
これはダイエット目的の場合も同じです。
健康は一日にして成らず!コツコツ頑張ることが大切ですね!