夏ともなれば、冷蔵庫に麦茶が冷やされているご家庭が多いことと思います。もちろん我が家もそう!というか我が家では冬でもやかんで麦茶を沸かして飲んでいます(笑)。
そもそも夏の飲み物として麦茶が根付いたのは江戸時代のことだそうです。麦茶の原料の大麦の収穫期が6月のため、夏が麦茶の旬だったのですね。
最近では、酷暑の熱中症予防として、麦茶がさらに定着した感があります。その定着に一役買っているのが、麦茶はミネラル豊富!というイメージではないでしょうか。
ですが、実際のところ、麦茶にどんなミネラルがどれだけ含まれているのでしょう?緑茶のカテキンのような健康によい成分も入っているのでしょうか?
本日は、とても身近なお茶である麦茶の栄養成分についてお届けしますね。
麦茶に含まれるミネラルは?
色々なデータより何より、やはり文部科学省が5年ごとに出している「日本食品標準成分表」で、麦茶に入っている栄養成分を確認してみましょう。
麦茶100gの栄養成分表
麦茶50gを1500mlの水で沸かし、沸騰後5分放置して作った麦茶を分析した栄養成分です。
エネルギー | 1kcal | |
水分 | 99.7g | |
たんぱく質 | 微量 | |
炭水化物 | 0.3g | |
ミネラル | カリウム | 6mg |
カルシウム | 2mg | |
リン | 1mg | |
亜鉛 | 0.1mg | |
食物繊維総量 | -g |
文部科学省「日本食品標準成分表」(2015年版七訂)から抜粋
え?なんかミネラルの量、少ないと思いませんか??私は正直、すくなっ!と思いました(笑)。
ミネラルの少なさにも驚いたのですが、食物繊維とビタミン類にいたっては、ゼロということなので含まれていないのです。原料の大麦は、鉄分も食物繊維も豊富な食品ですが、お茶にするとそこまでは煮出せないということなのでしょう。
ただ量は少なくても、ミネラルは人間の体内で作り出せない栄養素です。特に夏場は汗を一緒に失いがち。水分と一緒にミネラルを補給できる点が麦茶の優れた点ですね。
ここで少し、麦茶に含まれるミネラルの役割についても見ておきたいと思います。
麦茶に含まれるミネラルの役割
カリウム
カリウムの一番の役割は、ナトリウム(塩分)を排出し、細胞全体の水分バランスを整えることです。結果、高血圧の予防にもなりますし、筋肉の働きを良くすることにもなります。
ちなみに、厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」(2015年)によると30~49歳の成人女性は1日に2,000mgのカリウムを取ることが基準とされています。麦茶だけでは到底取れない量です(笑)。
ナスやトマトはカリウムの多い夏野菜です。また大豆もカリウムの多い食品。ナスのお味噌汁なんて夏場のカリウム不足には持って来いですね。
カルシウム
丈夫な骨には欠かせないミネラルですね。体内で最も多いミネラルですが、カルシウムの99%は骨や歯に存在しています。また、不足すると神経が過敏になりイライラしやすくなります。
意識してとらないと不足が心配されるミネラルの代表です。30~49歳の女性では1日に650mgの摂取が基準となります。
リン
リンは、カルシウムやマグネシウムとともに骨や歯となるミネラルです。
多くの食品に含まれているだけでなく、加工食品の添加物にも使われているので、不足よりも取り過ぎが心配されているミネラルです。
亜鉛
体の活動を支える酵素を作るのに不可欠なミネラルです。不足すると、味覚に異常が出ることが知られていますが、皮膚や髪の健康にも影響が。美容的にもしっかり取るようにしたいですね。
亜鉛も普通の食生活をしていれば不足を心配することはありません。
気を付けないといけないのは、加工食品のウェイトが高いという時。加工食品は亜鉛の吸収を悪くしてしまいます。
どのミネラルも体に不可欠ですが、残念ながら麦茶のミネラルは決して多くはありません。
ですが、最近は、ビタミン・ミネラルといった昔から知られている栄養素ではないポリフェノールなどに注目が集まっていますよね。緑茶でいえば、カテキンが有名です。麦茶には、そうした成分が無いのか見てみましょう。
麦茶に含まれるポリフェノール類
炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを5大栄養素と言いますが、それに次ぐ栄養素として注目されているのがポリフェノールに代表されるフィトケミカルと呼ばれる成分です。
ポリフェノール類は植物が本来供えている色素や灰汁(あく)であることが多く、大麦を原料とする麦茶にもポリフェノール類はもちろん含まれています。
- カテコール
- 没食子酸(ぼっしょくしさん、または、もっしょくしさん)
- ゲンチシン酸
「麦茶の抗酸化性と抗酸化成分」(日本食品化学工学会誌1999年2月)から引用
あまり耳慣れない名前が出てきましたね。それもそのはずで、ポリフェノール類はポリフェノールだけでも実に約5,000種類もあるので知らないものの方が多いのです。
ポリフェノールが注目されている大きな理由は、活性酸素を取り除くという抗酸化作用にあります。活性酸素は、老化やがんなど、ありとあらゆる体の不具合の原因になる厄介な存在です。それを取り除いてくれるのですから、それはありがたい成分ですよね。
昔から飲まれてきた麦茶には、やはりそれなりに栄養成分が含まれていました。ただ、ちょっと煮出し方を変えると栄養成分を多く抽出することが出来ます。続いて説明したいと思います。
麦茶の栄養成分を引き出すには
麦茶は、丸粒のものと細かく砕かれている挽砕(ばんさい)のティーバッグがありますね。
基本、丸粒は煮出し用、挽砕されているティーバッグは水出し用ですが、どちらも栄養的には変わりがありません。
さきほどご紹介した麦茶の栄養成分を多く抽出しようと思ったら、丸粒でもティーバッグのどちらでもいいので、沸騰したお湯で長めに煮出すようにします。ちょっと濃い目にすると栄養成分が多くなるということですね。
また、長めに沸騰させることで、雑菌も殺菌されますので、麦茶の持ちも風味も良くなりますので、これはお得な話ですね。
麦茶はカフェインやタンニンを含みませんので、濃くしても眠れなくなる心配もないので安心です!
まとめ
夏の定番ともいえる麦茶には、4つのミネラルが含まれていましたが、量はいずれも少ないものでした。
- カリウム 6mg
- カルシウム 2mg
- リン 1mg
- 亜鉛 0.1mg
ただ、ミネラルは体内で作ることが出来ない栄養素ですので、ミネラルの量が少しであっても汗で失った水分と一緒に補給できる飲み物が麦茶です。
また、緑茶のカテキンのように麦茶にも、カテコールなどのポリフェノール類が含まれていますので、抗酸化作用も期待できます。
麦茶の栄養成分を多くするためには、丸粒でもティーバッグのどちらでもいいので、沸騰したお湯で長めに煮出します。こうすると、栄養成分が多くなるだけでなく、雑菌も殺菌されるので、麦茶の持ちも風味も良くなりますので、いいこと尽くしですよ!