お茶の種類は数ありますが、夏ともなれば麦茶の出番ですよね。我が家でも、7月に入ると麦茶を冷やすためのポットを戸棚から出してくるのですが、そのポットを見ると、“あぁ、もうそんな季節か”と感じます。
そもそも夏に麦茶が飲まれるようになったのは、麦茶の原料である大麦の収穫が6月だからなのですが、調べてみると、これがとても理にかなっています。夏の水分補給としても、もちろんのこと、冷房が原因で夏に起こりやすいむくみの解消にも麦茶は最適だからなのです。
ただ、最近の研究で、麦茶には夏だけの飲み物にしておくにはモッタイない様々な効能があることが分かってきました。
本日は、麦茶の効能と、効果を引き出す麦茶のつくり方について、じっくりお伝えしていきたいと思います。
麦茶の5つの効能
まずは、麦茶の効能にはどんなものがあると言われているのかを見てみましょう。
- 利尿作用によるむくみの改善
- 血液をさらさらにし血流を良くする
- 抗酸化作用で老化やがんの予防
- バクテリアの定着を防ぎ歯周病・虫歯を予防
- 胃の粘膜を保護し胃炎・胃潰瘍を予防
この段階で、すでに夏以外でも体にとっても良い効能があることが分かりますね(笑)。それぞれについて、具体的にはどういう効果があるのかをシェアしていきますね。
利尿作用
麦茶の原料である大麦は、中医学(薬膳)では、次のような効果があると言われてきました。
胃を整え、腸の動きを良くして消化を助ける(腹部の張りを無くす)
麦茶が夏に飲まれるようになったのは、先ほども述べましたが、大麦の収穫が6月で夏が旬の時期だったからですが、きゅうりやナスなどの夏が旬の野菜も、体を冷やす効能があると言いますので、食べ物の旬というのは本当に大切ですね。
余分な熱を冷ましてくれる麦茶は、夏の暑さによる熱中症予防として効果的ですが、最近は冷房による冷えで悩む人も増えてきました。また普段から冷え性を感じるという人もいらっしゃると思います。
そういう場合は、冷蔵庫で冷たくした麦茶ではなく、常温もしくは温めて飲むようにしてください。体が冷えると胃腸の動きも鈍り、むくみが出ますので、その改善効果が期待できますよ。
利尿作用のある成分としては、カリウムが有名ではないでしょうか。
実際、夏野菜の多くはカリウムを多く含みでおり、その利尿作用から水分と一緒に熱を放出し、夏の暑い時期に体を冷やしてくれます。
ところが、麦茶に入っているカリウムは、100mgに6mgとわずかなのです。麦茶による利尿作用がカリウムによるものではないことが分かりますね。
ただ、カリウムには、ナトリウム(塩分)を水分と一緒に排出する働きもあります。ナトリウムの排出が進むと脱水症状の心配も出てきますので、カリウムの少ない麦茶は夏の水分補給に適していると言えますね。
血流を良くする
2004年にカゴメ総合研究所から、麦茶には血液をサラサラにして血流を改善する効果があることが報告されました。
なんと、その効果は、大麦を焙煎することで生まれる麦茶ならではの香ばしい香りの成分・アルキルピラジンによるものなのです。
血流が良くなると、体の冷えも改善されますが、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす血栓の予防にもなる点が素晴らしいですね!
老化やがんの予防
えぇ?麦茶でがん予防?と思いますが、こちらは麦茶に含まれるPクマル酸という成分による効能です。2003年に静岡大学の衛藤教授の研究で明らかになりました。
Pクマル酸には、老化やがんの原因である活性酸素を取り除く抗酸化作用があります。シミやしわの影にも活性酸素は潜んでいますので、麦茶には肌を美しく保つ効果も期待できますね!
抗酸化作用だけを考えると、実はカテキン類を多く含む緑茶のほうが期待できます。
ですが、茶の木から作る緑茶と違い、麦茶にはカフェインが含まれていません。カフェインには利尿作用があるので、緑茶は尿の量が増えてしまい水分補給の効果が薄れるため、やはり麦茶が夏には適しているのですね。
さらには、麦茶はタンニンも含みません。タンニンは鉄分の吸収を邪魔する存在なので、貧血気味という人にとっても麦茶は安心ですね。
麦茶のカフェインについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください
⇒麦茶はカフェインゼロの優しいお茶!赤ちゃんも大人も安心して飲める!
歯周病・虫歯を予防
虫歯や歯周病は、原因菌が歯にくっつくことで起こりますが、実はこちらも先ほどのPクマル酸が虫歯菌などのバクテリアの繁殖を抑えてくれます。
離乳食を始めた赤ちゃんの虫歯予防としても、麦茶はピッタリなお茶ですね。
胃炎・胃潰瘍を予防
麦茶から抽出された成分に胃の粘膜を保護する働きがあることが、1998年に静岡大学の衛藤教授と京都薬科大学の吉川教授の共同研究から報告されました。
これにより、麦茶にはストレスによる胃炎や胃潰瘍などの予防だけでなく、糖尿病の合併症の予防も期待できます。
糖尿病の人は、高血糖から脱水症状のリスクが高くなりますので、水分補給を心がける必要があります。そうした点からも、カロリーやカフェインがゼロの麦茶は適していると言えますね。
ここまで、麦茶の効能を見てきましたが、比較的最近の研究で発見された成分によるものも多いことに驚きました。まだまだ発見されていない成分や効能もあるかもしれませんが、この5つだけでも毎日飲むお茶としても嬉しい効能でしたね。
ですが、麦茶は、ペットボトルでも売られていますし、家で作るときも煮出し用の丸粒と水出し出来るティーバッグなど色々です。麦茶のつくり方で効果もずいぶん変わってきますので、続いてご紹介したいと思います。
効果を引き出す麦茶のつくり方
まず、栄養成分という点では、煮出し用の丸粒でも、煮出し用の丸粒を水でも抽出できるよう細かくしているティーバッグでも変わりはありません。
ただ、丸粒もティーバッグも5分以上やかんなどで火にかけて煮出すと、栄養成分が多くなります。また、効能でご紹介した香り成分・アルキルピラジンは、加熱する時間が長いとより引き出されます。
さらに!しっかり沸かすと雑菌も消毒されるので、2~3日の間、美味しく飲むことが出来ます。水出しだと、やはり夏は1日で雑菌が増えて味が変わりますので、効能の面からも味の面からも煮出して作ることがおすすめです。
大麦は食物繊維が豊富ですが、栄養成分表では麦茶には食物繊維が含まれていません。これも、一説では丸粒麦茶を煮出せば水溶性の食物繊維が取れるという話も聞きます。せっかくなら、質にもこだわって、国産有機栽培の丸粒麦茶を使ってみるのも良さそうですね!
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まとめ
麦茶には夏のイメージがありますが、麦茶の原料である大麦の収穫期が6月であることから、夏の飲み物として定着してきました。
実際、体の余分な熱をとりむくみを解消する効果のある麦茶は、汗をかく夏の水分補給にピッタリなお茶ですが、近年の研究で麦茶には夏に限らず体に良い効能があることが分かってきました。
- 利尿作用によるむくみの改善
- 血液をさらさらにし血流を良くする
- 抗酸化作用で老化やがんの予防
- バクテリアの定着を防ぎ歯周病・虫歯を予防
- 胃の粘膜を保護し胃炎・胃潰瘍を予防
こうした効能を引き出すためには、煮出し用の丸粒麦茶、水出し用のティーバッグのどちらともやかんで火にかけて5分以上煮出して麦茶を作ります。そうすると、香りも良くなり、雑菌も煮沸されるので2~3日美味しさが長持ちさせることもできます。
お茶は、毎日飲むものですので、カフェインやカロリーゼロの麦茶をどんどん飲むようにしたいですね!
全国麦茶工業協同組合 http://www.mugicya.or.jp/effect/index.html