なすもほぼ年中、冷蔵庫に入っているといえる身近な野菜ですね。
焼く、炒める、煮る、揚げる、漬けると調理方法もなすは本当に多彩です。
特に油との相性は抜群!
素揚げしたなすをつゆの素に入れ、小口切りのネギを散らすと美味しいんですよね!
ですが、いざなすの栄養と聞かれると、はて?と首をかしげてしまいます。
フカフカとした白い果肉のせいか、特にビタミンが豊富なイメージもありません。
でも、昔から食べられてきた野菜ですから、絶対栄養はあるはずです!
本日は、そのなすに含まれる栄養と効果について調べてきた内容をご紹介していきます。
新鮮ななすの選び方や保存方法などの情報もお伝えしますので最後までお付き合いくださいね!
■目次
なすの栄養成分表
栄養と言えば、やはり栄養成分表です!
まずは、なすに含まれるビタミンやミネラルがどんなものなのかを確認していきます。
なす100g(可食部)あたりの栄養
エネルギー | 22kcal | |
水分 | 93.2g | |
タンパク質 | 1.1g | |
炭水化物 | 5.1g | |
ミネラル | カリウム | 220mg |
カルシウム | 18mg | |
マグネシウム | 17mg | |
リン | 30mg | |
鉄 | 0.3mg | |
マンガン | 0.16mg | |
ビタミン | B1 | 0.05mg |
B2 | 0.05mg | |
葉酸 | 32μg | |
C | 4mg | |
食物繊維 | 2.2mg |
文部科学省「日本食品標準成分表」(2015年版七訂)から抜粋
なすは、100gのうち水分が93.2gにもなるのですね。
ビタミンも決して多いとは言えない量でしたが、なすには栄養成分表では確認できない栄養と効果があることが分かってきています。
なすの栄養とその効果
果肉が白くてフカフカのなす。
実に90%は水分なのには驚きました。
また、残りの10%に含まれているビタミンやミネラルが多いかというと、やはり多いとは言えない野菜です。
ところで、ポリフェノールってご存知ですよね?
ポリフェノールは、赤ワインを多く飲むフランスの地域に心臓病の死亡率が少ないことから発見された抗酸化物質です。
このポリフェノールこそが、なすの栄養の真価ともいうべき存在なのです!
なすに含まれる栄養素
なすに含まれる栄養の中で、量が多いもしくは効果が高いのは次の4つになります。
- ミネラル成分のカリウム
- 炭水化物である食物繊維
- 果肉に含まれるポリフェノールのクロロゲン酸
- 皮に含まれるポリフェノールのナスニン
それぞれの栄養素がどんな役割を果たしているのか、順番に見ていきましょう!
ミネラル成分のカリウム
30歳から49歳の成人女性が、1日にとるカリウムは1200mgが目安とされています。
そして、なす100g(可食部)に含まれるカリウムは220㎎。
なすの品種にもよりますが、料理の本などで、なすは1本約80gと書かれていますので、なす1本で1日のカリウム約15%をとることができる計算です。
カリウムの役割は、一言で説明すると細胞の水分とミネラルバランスを保つことです。
体内でナトリウムが増えると減らすために尿として体外に排出するのもカリウムです。
これが、カリウムの利尿作用と呼ばれるものです。
余分な水分を抱えるナトリウムが多い状態は、腎臓にも負担がかかり血圧も高くなりますが、カリウムがこれらを正常に保ってくれるのですね。
おしっこをすると、冬場なんかはぶるっと来ますよね。
これは尿と一緒に熱も放出しているからなのですが、この放熱の仕組みが夏場には体を冷やしてくれるのです。
なすをはじめとする夏野菜がカリウムを多く含み、夏場の火照った体を冷やす力があるというのは、本当に自然の摂理のすごさを感じます。
しかし、最近は冷房のために夏場でも冷えを感じるという人が増えてきました。
その一方で水分の摂りすぎで食欲がわかず夏バテしてしまうことも。
そんな複雑な状況にならざるを得ないのが昨今の日本の酷暑ですが、なすと一緒に体を温める食材であるしょうがやニンニクを食べると、余分な水分を排出しつつ体の冷えの改善もできるので夏バテに効果的です。
この他の効果として、カリウムにカルシウムをとどめる働きもありますので骨粗しょう症予防にもいいんですよ。
- 筋肉の脱力感
- 手足のしびれ
- 不整脈や頻脈
- 腸管の麻痺
炭水化物である食物繊維
便通をよくする効果がある食物繊維には、水に溶けるものと溶けないものの2種類があり、それぞれ役割が違っています。
なすに含まれる食物繊維は、可食部100g中に2.2gです。
(30~49歳の成人女性は1日に18g以上の食物繊維の摂取が推奨されています。)
その内、腸の善玉菌を増やして腸内環境を改善する水溶性の食物繊維が0.3g。
腸内の老廃物と悪玉菌を吸着して腸をきれいにする役割のある不溶性食物繊維が1.9gという比率で含まれています。
この数値は、同じ夏野菜のトマトときゅうりと比べると約2倍にもなるので、なすは腸内環境を整える野菜としては夏野菜の中ではトップクラスに位置しています。
ポリフェノールの一種、クロロゲン酸とナスニン
ポリフェノールは、生活習慣病や老化をひきおこす活性酸素の発生を抑える抗酸化物質として、注目される栄養成分です。
なすには、実の部分にクロロゲン酸と、皮の部分にナスニンというポリフェノールが含まれています。
ポリフェノールの主な効果は次のとおりです。
- 血管をきれいにし、動脈硬化と高血圧を予防する
- 認知症を予防する
- がんを予防する
- 新陳代謝を高め、肌を美しく保ち、肥満を防止する
皮に含まれるナスニンは、ブルーベリーに含まれるアントシアニン系色素に分類されるポリフェノールです。
なすの皮は、ナスニンのアントシアニン系色素を含むから、あれだけ濃い紫紺色をしていたのですね。
そして、やはりナスニンには、ブルーベリーと同じく目の疲労や視力の回復する効果があります。
なすを食べるこんな効果があります
ここまで、なすに含まれている栄養の中で特に効果の高いものを説明を見ていただきましたが、あらためて、なすの効果を整理すると次の7項目になります。
- 利尿作用と夏場の火照り・のぼせ調整
- 整腸作用・便日の予防
- 血圧調整・高血圧予防
- コレステロール値の低下・動脈硬化の予防
- 新陳代謝の向上・美肌とダイエット効果
- 認知症の予防
- がんの予防
なすに栄養が無いなんて、もう言えないですよね。
なすの効果的な食べ方
食べ物の栄養は、熱に弱い物、水に溶けて流れ出る物と、調理次第で取れる量がかなり変わってきます。
また、お互いに栄養素を補ったり、効果を引き出す食材の組み合わせがあれば、逆にお互いの栄養の吸収を邪魔する組み合わせもあります。
せっかくの食べ物です。
最大限、栄養をとる食べ方をしたいですよね。
なすの栄養素を最大限活かす食べ方
- アク抜きをしない
なすを切ると切り口が変色するのはクロロゲン酸が空気に触れて酸化するためですが、酸化と同時に抗酸化作用の力も失われていきます。
またナスニンは、水溶性のため、アク抜きで水にさらすと失われます。
そのため、最近は、なすは切ったらすぐにアク抜きをせずに使うことが推奨されています!
そうすれば、クロロゲン酸もナスニンも失わずに食べることができますね。
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なすのアク抜き、時間を間違うと栄養がスカスカに!
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- ミョウバンでナスニンの摂取量アップ
なすを漬物にする際に、焼き釘やミョウバンを入れるとなすの色がきれいになると聞きますよね。
そうすることで、見た目だけではなくナスニンをとれる量も増えるんです!
ほんと、昔の人の知恵は侮れませんね。
一緒に食べるとさらに効果のある食材
ここから、なすと一緒に食べることで、より効果が期待できる食材をご紹介します。
代表的なレシピとあわせてご紹介しますので、ぜひ献立に活用してください。
動脈硬化、がん、高血圧予防を高める
- こんにゃく
- おくら
- えのきだけ
- ごぼう
【献立】なすとこんにゃくのピリ辛煮
風邪の予防、美肌づくり
- にんじん
- かぼちゃ
- ほうれん草
【献立】かぼちゃとなすの焼き浸し
貧血・糖尿病予防、肥満防止
- とうがん
- トマト
- アサリ
- シジミ
【献立】なすのトマトソースパスタ
血行促進、血中コレステロールの除去
- おから
- 豆腐
- ふき
- みそ
- エノキタケ
【献立】なすの味噌田楽
なすの旬は6月から9月
野菜は、やはり旬の時期がおいしいだけでなく栄養も満点です。
なすの旬は6月から9月。
旬の時期、夏バテ予防に効果のある野菜として、積極的に食生活に取り入れていきましょう。
そして、同じなすでも、鮮度の良い物を買って上手に保存することも大切です。
新鮮ななすの選び方
新鮮ななすを見分けるポイントは次の4点です!
- へたのトゲがとがっている
- 切り口の白いもの
- 濃い紫色でツヤがある
- 皮に傷が無くハリと弾力がある
今度、なすを買うときには、ご紹介したポイントを思い出してくださいね。
なすの保存方法
続いては、なすの保存方法ですが、なすは風を嫌います。
また冷気にあたるとしぼため、常温の室内での保存が好ましいです。
ただし、常温での保存はやはり2~3日が限度です。
献立に使うのはもう少し先かもという場合は、冷蔵庫に入れないといけませんが、冷気をきらいますので新聞紙でくるみポリ袋に入れて保存するようにしてくださいね。
まとめ
なすには、カリウム、食物繊維、ポリフェノールのクロロゲン酸とナスニンが、効果の高い栄養素として含まれています。
またこれらの栄養素は水に溶けやすいことと、切って時間を置くと失われることから、最近はアク抜きをせずに、なすを切ったらすぐに調理する食べ方が効果の高い食べ方としてすすめられています。
夏の暑い時期に体の熱をとる野菜として、生活習慣病予防・アンチエイジングに効果のある野菜として、身近ななすを食生活にとりいれていきましょう!
【参考資料】
もっとからだにおいしい野菜の便利帳
まるごと栄養図鑑