お墓参りの作法と改まって考えると、きちんと誰かに教えてもらった記憶がないと思いませんか。
なんとなく、親や親せきの大人たちのしていることを見よう見まねでお墓参りをしていたなと思います。
住んでいる地域や宗派によっても違う点がありますので、この作法だけが正しい!ということはありませんが、してはいけないことは共通のようです。
この機会に、お墓参りの作法について、いつ行けばいいのか、持ち物や服装に決まりがあるのかを一緒に確認してみたいと思います。
■目次
お墓参りにはいつ行けばいいのか
日本が、まだ農村主体の社会だったころ、お墓は集落の近くにあり、墓参りは日常生活に溶け込んだものでした。
それが近代化とともに都市部で暮らす人がどんどん増えていくようになり、お墓が生活の場から離れたところにあるものに変わっていきます。 お墓のある故郷から離れる人も増えましたが、都市部では霊園墓地は車での移動が必要な郊外にあるのが一般的になりました。
そうした変化をうけて、お墓は年に数回お参りするものになっていきます。
では、続けてお墓参りには、どういう時期に行けばいいのかを見ていきましょう。
多くの人がお墓参りをする時期
現在は、多くの人にとっては、正月・お盆、春夏のお彼岸、命日・年忌法要がお墓参りに行く時期と考えていると思います。
ただ、それ以外の日にお墓参りをしてはいけないということはありません。
裏返すと、お盆やお彼岸といった日に、絶対お墓お参りしないといけないということもありません。
大切なのは、亡くなった人や先祖をしのんでお墓にいくという気持ちがあるということ。
決められた時期に限らず、人生の節目などに、見守ってくださってありがとうございますとお墓に報告に行くのも良いですよ。
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お墓参りをする時間帯
お墓参りをする時間は、朝一番でないといけない、午前中に行かなければいけないと聞いたことがありませんか。
これは、ご先祖様へのお参りが、ほかの何よりも優先するという過去の価値観が慣習として残っているためで、何時までにお墓参りに行かなければならないという決まりやしきたりはありません。
もちろん、お墓のある霊園などに、お参りできる時間の決まりがあれば、それには従いましょうね。
お墓参りに必要な持ち物と服装
ここからは、お墓参りに持っていくものと服装の決まり・タブーはあるのかです。
どれだけ知っていたか、ちょっとドキドキしますね。
お墓参りの持ち物
お線香やお花など最低限必要なものから、あれば便利(主に掃除系ですが)な持ち物をご紹介しますね。
- 生花
- お線香
- ろうそく
- マッチ
- お供えのお菓子・飲み物、半紙
- 数珠
- ひしゃく・手桶
- 掃除用品
詳しい説明が必要なものもありますので、下記を確認してくださいね。
- 生花
同じ花を左右対称二組、一対で用意します。
もし、一組だけという場合、墓前に向かって左側に供えます。
風で倒れないよう、低く組んでもらいましょう。花ばさみを持っていくと便利です。
花立てに入れたら、思っていたより高かった場合や、前の人のお花が残っていて組み合わせるときなどに使えます。
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- お線香
お線香は、束にしたものを持っていきます。
お線香を墓前で上げるときは、束で火をつけて、一緒に行った人で分けてお供えします。 - ろうそく
- マッチ
忘れがちなので注意! - お供えのお菓子・飲み物、半紙
お墓によっては、お供えはダメというところもあるようですが、お供えOKという場合、半紙をひいてお供えします。
お参りが終わったら、お墓が汚れたりカラスが来たりするので、そのままにしておかないようにしましょう。
仏様の“おさがり”として、お参りした人で分けて、その場で食べてもいいですし、持って帰るか捨てて帰ります。
お酒をお供えした場合、墓石のシミの原因になるので、絶対お墓にかけないようにしてください。 - 数珠
お墓で読経してもらう場合は必要ですが、普段のお参りではなくても良いとされています。
ただ、正式には、合掌するときには必要なものですので、気になるようなら持っていくほうが良いかなと思います。 - ひしゃく・手桶
お寺や霊園のお墓の場合、備え付けのものがあることが多いです。
そうではない集落の共同墓地のような場合は、用意していきましょう。 - 掃除用品
小さいほうき、タオル、雑巾、やわらかいスポンジなど。
あれば便利なのが、歯ブラシです!
お墓の細かい汚れを落とすのに使えます。スコップも雑草の根が深くなっているときは便利ですね。
お墓参りの服装
お墓参りの作法の中で、気になる人も多い服装ですが、新盆や一周忌のような特別な忌日に行くお墓参りの服装はもちろん喪服という以外、服装にもこれといった決まりはありません。
ちょっと拍子抜けですね(笑)
もちろん、露出の多い服装や、派手な色・スタイルなどはお墓参りにはふさわしくないですが、普段の服装であれば大丈夫です。
服装とが違いますが、香りの強い香水はお墓参りに行くときはつけなようにしましょう。
お墓参りの作法・マナー
持ち物も揃いました。
いよいよお墓にお参りです。
ですが、ここでも特別な作法や堅苦しい決まりごとはありません。
繰り返しにはなりますが、大切なのは、亡くなった人やご先祖様に感謝して手を合わせること、これにつきます。
基本的な心得と順番を守って、すがすがしい気持ちでお参りをしましょう。
では、お墓にお参りする作法と順番を説明していきますね。
お墓参りの作法と順番
お墓についたら
お寺にお墓があるという場合、本堂のご本尊様にお参りし、ご住職に挨拶をします。
お彼岸の時期、時間があるようなら「彼岸会法要」にも参加できれば、なお良しです。
お墓の掃除をする
お墓と周囲を丁寧に掃き清め、雑草・枯草を取り除き、花立て・香炉をきれいにします。
タオルややわらかいスポンジで丁寧に拭きます。洗剤は、墓石にシミをつけることもありますので使わずに水だけで拭いてください。
墓石についたコケや汚れを、雑巾・歯ブラシで取り除きます。必要な場合、再度拭いてください。
お供えをします
お花、お菓子などをお供えします。
ひしゃくに新しい水を汲んできて水鉢にそそいだら、ローソクに火をともしてお供えします。
お参りをします
お参りは、故人との縁が深い人から順番になります。
線香は、束で火をつけて、1本(宗派によっては3本)ずつお供えしていきましょう。
線香を消さないよう気をつけながら墓石に水をかけます。
お参りの姿勢は、墓石より低い姿勢となるようしゃがみ、軽く両手を合わせます。
全員のお参りが済んだらお墓参りは終わりです。
お供えのお菓子や飲み物など、お墓に残したままにならないようして帰りましょう。

人間の口は、悪口などで汚れているとされているので、間違っても、息で吹き消してはいけませんよ。
お墓ではお願い事をしない!
お墓参りは、亡くなった人やご先祖様をしのんでするものです。
神社へのお参りではないですし、ご先祖様は神様ではありませんのでお願いごとをしないようにしましょう。
- 日々見守ってくれていることへの感謝
- 子どもの誕生や入学、就職、結婚などの報告
- 新たな決意、目標などの決意を報告
- 故人をしのぶ思い出話
などをするようにしましょう。
お墓に水をかける?かけない?
お墓に水をかけるか、かけないか。
我が家は、水をかけずにタオルで拭きあげていますが、これも地域の歴史や習慣によって異なるようです。
お墓に水をかけるのは仏様の慈悲の心
仏教に、生前の行いによって、六つの世界のどれかに生まれ変わるという考えがあります。
その中の一つに、餓鬼界(がきかい)があり、そこに行ってしまうと飢えと渇きに苦しめられるとされています。
お墓に水をかけることで、餓鬼界にいるご先祖の渇きが癒されます。
また、お墓の周りをうろつく飢えた餓鬼(がき)たちは、お墓にかけられた水は飲むことができるため、これら餓鬼への施しにもなり、仏様の慈悲の心に沿った行いとなります。
一方、お墓に水をかける行為は、ご先祖様の頭から水をかけるに等しいから失礼だという考えもあります。
どっちなんだろうか?と悩まれる場合は、お墓がお寺にある場合は住職や、お身内の方に聞いてみるのが良さそうです。
いずれにしても、お墓をきれいに掃除して守っていくという気持ちとお参りするという行為が大切です。
まとめ
調べる前は、間違ったことをしていないかと気になることは多かったのですが、こうでなければならないといった細かい作法は意外なほどなかったです。
こうして生きているのは、ご先祖様が命をつないでこられたからという感謝の気持ちが何より大切なことなのだと改めて思いました。