以前は日傘と言えば、素材は麻と綿、色は白が主流でしたが、最近は素材も色もバリエーションがうんと増えましたね。
せっかく選ぶなら、涼しさも十分感じられて、UVカット効果の高い色の日傘を選びたいですよね。
そこで本日は、日傘の色による効果の違いについて詳しくお伝えしていきます。
日傘を買い替え予定の方は、ぜひ参考になさってください!
■目次
紫外線も暑さも防ぐ日傘
日傘をさす最大の目的は、日焼けの防止(紫外線カット)。
また、直射日光をカットする日傘には暑さ除けという、夏に嬉しい効果があります。
つまり、日焼け防止(紫外線カット)と暑さ除けが日傘の2大効果です。
結論から先にお伝えすると、この2大効果が最も期待できるのは日傘の色は黒色です。

ですが、最近の素材の進化は著しく、本当の意味で紫外線も暑さも遮断する日傘は、遮光性100%の生地で作られた日傘。
日傘の素材の遮光性が高ければ、日傘の色は何色でも効果に差がなくなっています。
太陽光と色の関係
太陽光は、波長の長さによって、紫外線と可視光線、赤外線という3つの光に分かれますが、それぞれ性質が異なります。
太陽光の性質
- 紫外線 ⇒ 人の目に見えない光。カルシウム代謝に欠かせない反面、浴びすぎると肌や目に悪影響がある。
- 可視光線 ⇒人の目で見ることのできる光。
- 赤外線 ⇒人の目で見えない光。熱量を持つ光で物質を温める力がある。
紫外線は、日焼け、シミ・しわの原因ですが、長年浴び続けると、皮膚がんや白内障を引き起こすほど人体にとっては有害な光線です。
赤外線は、熱を持つ光線で、夏の陽射しの暑さの正体です。
また、最近では赤外線による肌への影響もあることも分かってきました。
赤外線は紫外線より波長が長く、紫外線よりも肌の奥深くに到達する率が高いため、肌の乾燥をすすめ、しわやたるみといった老化を進めてしまうのです!
日傘をさすことで紫外線・赤外線も遮ることができるのですが、日傘の色によって効果に差があります。
紫外線を通さない日傘の色は何色?
紫外線は、色によって、通り抜ける率(透過率)が異なります。
実践女子大学の実験によると、日傘の色別の紫外線の透過率は、
- 紫外線を最も通したのは白色
- 紫外線を最も通さなかったのは黒色
という結果でした。
よく白色は光を反射し、黒色は光を吸収すると言いますが、光を吸収する色ほど紫外線を通しません。
つまり、日傘の色の中では、黒色が一番紫外線をカットしてくれるということになります。
ただ、白色の日傘でも、日傘なしの状態よりは紫外線を85%カットします。(黒色の日傘は95%カットします)
カット率を見れば、まずは日傘をさすことが大事なのがよく分かりますね。
ちなみに
- 白色>黄色>紫色>赤色>青色>緑色>黒色
の順番です。
(参考:『日傘の紫外線および日射防御性』 実践女子大学生活科学部紀要大44号から)
赤外線からの暑さを和らげる色は?
夏に黒色の服を着て日の当たるところにいたら、ジリジリと暑くて大変だったという経験をお持ちの方は多いのでは?
これは、黒色は、光を吸収するだけではなく熱も一緒に吸収するため起こります。
そのため、涼しさを求めるなら、黒色よりも白色の日傘と考えがちですが、実は違うのです。
実践女子大学の実験によると、確かに傘の表面温度は黒色が一番高く、白色が一番低いという結果が出ました。
しかし、傘の中、つまり人の顔付近の温度は、白色が一番高く、黒色が一番低いという驚きの結果が!

実験結果を詳しくお伝えすると、
- 日傘の中の温度は、白い日傘より黒い日傘の方が5℃低い
- 白い日傘でも、日傘がないときより顔の高さは10℃涼しい
やはり日傘は、夏に欠かせない暑さ対策ですね。
ちなみに
- 白色>黄色>青色>赤色>緑色>紫色>黒色
という結果です。
(参考:『日傘の紫外線および日射防御性』 実践女子大学生活科学部紀要大44号から)
可視光線のまぶしさから目を守る色は?
夏の強い日ざしは、まぶしさも最強です。
よくディーゲームで野球選手が目の下を黒く塗っていることがあります。
日傘の色でも、黒色が圧倒的にまぶしさを軽減します。
しかも、色によるまぶさしの軽減は、紫外線や暑さ防止よりも差がはっきり出ます。
- 白い日傘は、日傘なしよりも24%明るさが減る
- 白い日傘は、日傘なしよりも33%明るさが減る
- 黒い日傘は、日傘なしよりも80%明るさが減る
これだけ差が大きくなる原因は、太陽光は直接届く光と空気中に散乱する光が半分半分という点にあります。
(*)環境庁「紫外線環境保健マニュアル2015」から
日傘の下にいても、白い日傘は地面からの照り返しや乱反射する光をさらに反射してしまうため、傘の中が明るくなってしまうのです。
ちなみに
- 白色>黄色>赤色>緑色>紫色>青色>黒色
となりました。
(参考:『日傘の紫外線および日射防御性』 実践女子大学生活科学部紀要大44号から)
日傘の色では、紫外線・暑さ・まぶしさのどれをとっても、白色の効果が最も低く、黒色の効果が最も高いことが分かりました。
また、日傘は、傘の下に光を通さないことで、紫外線・暑さ・まぶしさを軽減しています。
であれば、遮光性が100%の生地の日傘であれば、色は何色でも関係がないということも納得できますよね。
しかも、遮光性の日傘は、表が白色であっても、足元や横から入ってくる光が傘の中に向かって反射しないよう内側は黒色というものがほとんどです。
今まで綿や麻のUV加工された日傘を買っていたので、”いつのまに、こんな物が!”と驚いています(笑)。
日傘を使えば日焼けしない?
日焼け防止効果の高い日傘があれば、日焼けの心配から解放されるわけではありません。
空中の光は、紫外線など太陽光は上から降り注ぐ光が半分、地面からの照り返しや空気中で散乱する光が半分です。
このうち、日傘で防げるのは、上から射してくる半分の光のみ。
日傘の内側が黒ければ、地面や横から傘の中に差し込む光が、さらに反射することは防げますが、空気中に散乱している光までは防ぎようがないのです。
日焼けを防止するなら、日傘をさすだけではなく、日焼け止めもきちんと塗ること。
この2つが揃ってようやく紫外線対策が、万全になります。
まとめ
日傘に求める効果は、
- 紫外線による日焼けの防止
- 赤外線の暑さ除け
- 可視光線の眩しさ緩和
です。
実践女子大学が行った『日傘の紫外線および日射防御性』実験では、紫外線・暑さ・まぶしさのどれをとっても、
- 黒色が最も効果の高い
- 白色が最も効果の低い
という結果でした。
ですが、日傘は、傘の下に光を通さないことで、紫外線・暑さ・まぶしさを軽減します。
光を100%遮る生地で作られた日傘であれば、日傘の色は何色でも効果に差が出ません。
つまり、
- 最も機能的な日傘は、遮光性の高い生地で作られた日傘(何色でもいい)であり
- 次に選ぶなら、UVカット加工もしくは加工なしの生地の場合は黒色の日傘
です。
日焼けはシミ・しわの元ですから、きちんと日傘を選んで予防していきたいですね。