サラダには必ずといっていいほど付き物のトマト。
真っ赤な姿から、いかにも栄養たっぷり、体にいい野菜というイメージがありますね。
ですが、意外とどんな栄養が含まれているのか、はっきりと知らないということありませんか。
生野菜としてだけでなく、ジュースやケチャップといった加工品や、トマトソースなどの煮込み料理として活用の幅が広いだけに、どんな栄養がトマトにあるか知っていると心強いですよね。
そこで、本日はトマトに含まれる利用と効果について調べてきました。
トマトに含まれる栄養と効果についてはもちろん、効果的な食べ方や新鮮なトマトの選び方などの情報をお伝えしていきますね。
■目次
トマトの栄養成分表
トマトの栄養と効果を詳しく見ていく前に、トマトのカロリー(エネルギー)やビタミン・ミネラルなど、どんな栄養がどれだけ含まれているかを表にまとめましたのでご覧ください。
トマト100gの栄養成分表
栄養素 | トマト(生) | ミニトマト(生) | |
エネルギー | 4.7g | 7.2g | |
水分 | 94.0g | 91.0g | |
炭水化物 | 4.7g | 7.2g | |
ミネラル | ナトリウム | 3mg | 4mg |
カリウム | 210mg | 290mg | |
マグネシウム | 9mg | 13mg | |
リン | 26mg | 29mg | |
ビタミン | A(β-カロテン当量) | 540μg | 960μg |
B1 | 0.05mg | 0.07mg | |
B2 | 0.02mg | 0.05mg | |
B6 | 0.08mg | 0.11mg | |
葉酸 | 22μg | 35μg | |
C | 15mg | 32mg | |
食物繊維総量 | 1.0g | 1.4g |
文部科学省「日本食品標準成分表」(2015年版七訂)から抜粋
栄養成分表には記載がありませんが、トマトの注目の栄養素と言えばカロテノイドの一種、リコピンです。また酸味のもとであるクエン酸や旨み成分のグルタミン酸にも是非ともお伝えしたい効果があります。
トマトに含まれる栄養成分にはどんな効果が期待できるのか、一緒に見ていきましょう!
トマトに含まれる効果の高い栄養
トマトに含まれる栄養の中で、近年注目を集めているのは、やはりリコピン。
リコピンは、トマトの赤い色の素であり、カロテノイドの一種です。ビタミンやミネラルといった栄養素ではありませんが、体の機能を活性化する成分として、ポリフェノールなどと同じフィトケミカルです。
リコピンはじめ、トマトに含まれる栄養の中で、効果が高い成分としてご紹介したいのは、次の6つです。
- カリウム
- ビタミンAに変わるβ-カロテン
- ビタミンC
- カロテノイドのリコピン
- 有機酸のクエン酸
- アミノ酸のグルタミン酸
それぞれの栄養素がどんな役割を果たしているのか、順番に見ていきましょう!
カリウム
カリウムは、体内のナトリウムを排泄して、血圧を下げる効果があります。ナトリウムが多くなると、体内のミネラルバランスが崩れて、むくみが生じます。そのナトリウムを排出してくれるので、カリウムはむくみの改善にも効果があります。
また、カリウムは、カルシウムを骨に定着させる働きもしますので、骨粗しょう症の予防にもなりますね。
ビタミンAに変わるβ-カロテン
β-カロテンは、正確にはリコピンと同じくカロテノイドの一種ですが、体内に入ると小腸でビタミンAに変換されて吸収されます。
*厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)
トマト100gに含まれるβ-カロテンは540μg(ミニトマトは960μg)です。
トマト1個は150~200gですので、トマト1/4個で1日の摂取推奨量の半分近くは取れる計算ですね。
ミニトマトだと、1個の重さが10~15gですので、3個食べれば1日の推奨量の1/3はクリアできそうです!
ビタミンAは、皮膚や粘膜、目の健康を保つために不可欠な栄養素です。胃の粘膜を健康にする健胃作用もトマトの効果の一つです。
また、抗酸化作用も高いため、有害な活性酸素を除去し、がん予防や老化の防止にも効果があります。
ビタミンC
ビタミンCは、肌や骨を構成するコラーゲンを作り出すときに必要なため、肌と骨の健康のためにはビタミンCが欠かせません。
トマトには、ケルセチンと言うフラボノイドも含まれています。ケルセチンは、ビタミンCをサポートする役割がありますので、いっそう美肌効果が期待できます。
また、ビタミンCも抗酸化力が強く、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞など血管系の疾患を予防します。
鉄の吸収率を高めるビタミンでもあるので、貧血気味の人は特に積極的にとりたい栄養素ですね。
カロテノイドのリコピン
カロテノイドの一つであるリコピンは、植物に含まれる赤やオレンジ色の色素で、トマトは皮に多く含まれています。
注目されているのは、β-カロテンの2倍、ビタミンEの100倍以上にもなるという抗酸化作用。あらゆる病気の原因となる有害な活性酸素を取り除いてくれます。
- リコピンの抗酸化作用
- アンチエイジング効果
- 動脈硬化予防
- がん予防
トマトの色が赤いほどリコピンが多く、品種では生食用よりも加工用・料理用トマトに多く含まれるのだそう。また、生野菜として食べるより、油との相性が良く、加熱・調理すると吸収率がアップします。
一日に摂ればよいとされるリコピンは15~20mg。トマトケチャップやトマトジュースといった加工品からもリコピンを取ることができます。
- リコピン15mgを取るには
- ホールトマト 1/2缶
- トマトジュース 1本弱
- トマトケチャップ 大さじ4
- トマトLサイズ 2個
- プチトマト 17個
また、ビタミンEと一緒に取ることもリコピンの吸収率を高めるとされています。ビタミンEが多いごまやアーモンドは、油分も多いですから、二重の意味でトマトと一緒に食べたい食材ですね。
有機酸のクエン酸
クエン酸は、果物に多く含まれる有機酸の一つで、トマトの酸味の90%をしめます。
クエン酸は、胃液の分泌を促進する働きがあり、お肉や油っこいものとトマトを一緒に食べると胃もたれを起こさずに済みます。
この他にもクエン酸は食欲を増進し、疲労の回復にも効果があるとされています。夏が旬のトマトは、夏バテで食欲が落ちたときに食べるととても良い野菜です。
⇒トマトは消化に良い?トマトの酸味は胃を健康にする心強い味方!
アミノ酸のグルタミン酸
グルタミン酸と言えば、旨み成分ですが、脳の働きを高めるアミノ酸としても注目されています。
脳の神経細胞間で行われる情報伝達の40%にグルタミン酸が影響しているのだとか。このため、グルタミン酸によって記憶力と集中力が高まる効果が報告されています。
実際にトマトのグルタミン酸は、アルツハイマー型認知症の治療にも使われています。
トマトを食べると記憶力がアップして、加齢による物忘れが減らすことが出来そうですね。
トマトを食べるこんな効果があります
ここまで、トマトに含まれている栄養の中で特に効果の高いものを見ていただきましたが、あらためて、トマトの効果を整理すると次の6項目になります。
- 高血圧や動脈硬化の予防
- 抗酸化作用によるがん・老化の予防
- 胃の粘膜を強くする健胃作用
- 食欲増進・疲労回復
- 肌を健康に美しく整える
- 記憶力アップと認知症予防
トマトは、リコピンをはじめとした抗酸化作用のある栄養素が多い野菜でしたね。また健胃作用にも優れているので、ヨーロッパでは「トマトのある家に胃病なし」とまで言うそうです。
リコピンの吸収率は朝が一番高いと言われていますので、朝食にトマトやトマトジュースを積極的にとりたいですね。
トマトと一緒に食べたい食品
ここでは、トマトと、一緒に食べると相乗効果が期待できる食品をご紹介していきますね。
トマトは、魚や肉の臭みを消して旨みを引き出す優秀な調味料という一面もあります。どんどんお料理に使っていきましょう!
アンチエイジング
- じゃがいも
- ブロッコリー
- にんにく
- 玉ねぎ
がん予防と血行促進
- キャベツ
- 唐辛子
- ほうれん草
血圧を下げて高血圧予防
- レモン
- カリフラワー
- パセリ
疲労回復、肩こりの緩和・予防
- 酢
- オレンジ
- りんご
- いちご
リコピンは皮に多く含まれるので、できれば皮をむかずに食べてほしいところですが、消化不良や胃が弱っている時は皮と種を取り除いてくださいね。
トマトの旬は6月から9月
トマトもご多分に漏れず1年中手に入る野菜ではありますが、本来は6~9月が旬の夏野菜です。
カリウムやクエン酸が豊富なトマトは、夏バテで弱った体を元気にしてくれます。やはり旬の時期こそ旬の野菜ですね!
新鮮なトマトの選び方
新鮮なトマトを見分けるポイントは5つあります
- ヘタが緑色でピンピンしている
- 丸くてずっしりと重い
- 色むらが無く、ツヤがある濃い赤色
- 皮に張りがあり実がしっかりと硬い
- お尻からヘタにむかって放射線状に筋が見える
出荷後に人工的に追熟させたものはヘタが黒色をしています。甘味は問題ありませんが、熟してから収穫した物とは栄養的にどうしても劣ります。また形が角ばっていると中がカスカスだったり、やわらかいと熟しすぎか傷んでいたりしますので、買うときには注意しましょう。
赤が濃いものほど、ミネラルやビタミン・リコピンも多く含まれますので、必ず熟して赤いものを選んでくださいね。
トマトの保存方法
赤く熟したトマトは、冷蔵庫の野菜室で1週間ほど保存できます。
野菜室に入れるときは、ヘタを下にして重ならないようにし、熟しすぎないようナイロン袋に入れて密閉します。
1週間以内に使い切れないようなら冷凍保存で1ヶ月は持ちます。その場合は、丸ごとでもいいですし、ざく切りにしても冷凍保存できます。ただし、解凍後は生食には向きませんので、加熱調理して食べるようにしましょう。
⇒トマトの保存方法を徹底解説!冷蔵庫での保存から使える保存食まで!
まとめ
サラダには必ずと言っていいほど入っているトマトですが、ジュースやケチャップなどに加工したり、トマトソースなどに調理したり、とても使い道が多い野菜です。
そのトマトには、次のような栄養が多く含まれています。
- トマトに含まれる栄養素
- カリウム
- ビタミンAに変わるβ-カロテン
- ビタミンC
- カロテノイドのリコピン
- 有機酸のクエン酸
- アミノ酸のグルタミン酸
リコピンをはじめ、トマトには抗酸化作用が期待される栄養素が数多く含まれています。
また、赤色が濃いものほど、リコピンが多く含まれています。生野菜として食べるより加熱調理すると吸収率が高くなるのもリコピンの特徴。ケチャップにも多く含まれています。
トマトを積極的に食べることで期待される健康への効果には次のようなものがあります。
- 高血圧や動脈硬化の予防
- 抗酸化作用によるがん・老化の予防
- 胃の粘膜を強くする健胃作用
- 食欲増進・疲労回復
- 肌を健康に美しく整える
- 記憶力アップと認知症予防
朝食にトマトを2切れほど食べる。
こんな取り入れ方で、日々の生活を元気に過ごしていきたいですね!
【参考図書】
もっとからだにおいしい野菜の便利帳(高橋書店)
野菜の保存&使い切りレシピ(主婦の友社)
栄養の基本がわかる図解辞典(成美堂出版)