ポリウレタンが入っている洋服が、気づけばクローゼットの中に増えてきました。
ポリウレタンが入っていると、綿100%のものより動きやすさがあるので嫌いではなかったのですが、先日、洗濯方法を調べてみて、劣化しやすい繊維だということを初めて知りました。
それも、何もせずに置いておくだけでも、時間の経過で劣化していくので、ポリウレタン繊維の寿命は一般的に2年から3年しかないというではないですか!
最近、ポリウレタンが使われている洋服は本当によく見かけるようになりましたが、そうしたポリウレタンの特徴はあまり知られていないように感じます。
そこで、広く使われているわりには、あまり知られていない(と思う)ポリウレタン繊維の長所と短所をまとめることにしました。
ポリウレタンの繊維の特徴を知っておけば、結果として洋服を長持ちさせることにもできますよ!
ポリウレタン繊維の特徴
ポリウレタンは、天然ゴムの代替品として1937年にドイツで開発されたものが、1959年にアメリカで実用化されたプラスチック製品の一種です。
ポリウレタンは、天然ゴムの代替品として開発されただけに、ゴムのような伸縮性があることが一番の特徴であり、そのためウレタンゴムと呼ばれることがあるほどです。
そして、ポリウレタン、ポリウレタンと色々と耳にしますが、その種類は実に100種類以上もあるのだとか!
ストレッチ素材として日本で知られているポリウレタンの繊維もその1種類で、スパンデックスと言うのが正式名称だそうです。
では、ポリウレタン繊維の長所・短所を具体的に見ていきましょう。
ポリウレタン繊維の長所
ポリウレタン繊維の長所は、次の3点です。
- ポリウレタン繊維の長所
- 5~10倍の伸縮性がある
- 他の繊維と比べて軽い
- 急激な温度や湿度の変化に強い
- 薬品に対する耐性が高い
ポリウレタンは、その開発の背景からゴムと比べて特徴が語られることも多い繊維です。
伸縮性そのものは、ゴムに似せて作られたことからも、納得の特徴ですが、天然のゴムにはない特徴があります。
- 染めることができる
- ゴムの5~8倍の強度がある
- ゴムには作れない細い繊維が作れる
ポリウレタンを2~3%混紡するだけで、十分、伸縮性のある衣類になります。
そのため、水着やレオタードといったスポーツウェアにも必ず使われていますし、包帯やサポーター、ストッキング・靴下、ブラジャーやガードルといった女性下着など、広い範囲で使われているのですよ。
ポリウレタンの短所
それだけ広範囲に使われているポリウレタン繊維ですが、短所としては、一にも二にも劣化が早いということです。
扱い方や手入れ方法によっても差は出てきますが、ポリウレタン繊維の寿命は2~3年ととても短命です。
しかも、最初に触れたとおり、使っていようが使わないでいようが、時間の経過で劣化していくから困りものです。
そして、劣化が使用状況に関係がないということは、つまり製造と同時に劣化が始まるということです。
普通、買ったときは新品で品質として問題がないと考えますが、ポリウレタンに限っては、その常識が当てはまりません。
製造されてから、日数が経過していると、すでにその日数分劣化が進んでいると考えたほうがよいということになります。
さらに、ポリウレタンが劣化する条件と言うのが、特殊な条件ではなく、日常的なものなのです。
- ポリウレタンを劣化させるもの
- 高温多湿は劣化を早める
- 水に弱く空気中の水分で徐々に分解される
- 熱と紫外線の影響でも分解が進む
そのほかにも、排気ガスやカビ、皮脂・汗、ボディオイルなどもポリウレタンを劣化させていくものにあげられます。
水分による劣化は、特に加水分解と呼ばれており、ポリウレタンには空気中の水分に反応して徐々に分解していき、最終的には溶けてしまう何とも悲しい性質があります。
ポリウレタンはストレッチ性のある繊維として以外では、バックの内側のコーティングにもよく使われています。
しばらく使っていなかったバックを出してみたら、中がベタベタしてボロボロになっていたということありませんか?
私も先日、ずっと放っておいたGUC●Iのバックがまた流行に乗ってきたので、それこそ10年ぶりに出して使ってみたんです。
外出先で財布を出したら、ベージュのカスがいっぱい付いているので、何これ?と思ったら、バックの中が見るも無残な状態で泣きました。
ちょっと話がそれてしまいました。
ポリウレタンの繊維は、糸として加工されているので、劣化してもベタベタはしません。
では、どうなるかというと、ポリウレタンの繊維が切れます。
そうすると、よれよれになったり、生地の表面に白いぽつぽつが飛び出てきたりします。
でも、ポリウレタン繊維の性質上、綿や麻の天然繊維のように長持ちすることは期待できないにしても、2~3年というのは短すぎますよね。
なんとか、劣化を最小限に抑える保存方法を続いて説明していきますね。
ポリウレタンは伸縮性のある繊維としての用途以外でも身近な製品に数多く使用されています。
さきほどもチラッと触れましたが、カバンの内側の加工と同じく生地のコーティング加工や、合成皮革や人工皮革としても使われています。
また、ゴムのような弾性や柔軟性があることから、防振効果や消音効果も高いのです。
そうした特性を活かして、防音材や車のバンパー、ヘッドホンの耳あてにも使われています。
最も身近なところでは、食器洗いのスポンジやスマホケース。
ポリウレタンは、スポンジのような形状に加工したり、ゴムのようなプラスチックに加工したりと、生活のあらゆる場面に使われています。
ポリウレタン繊維を長持ちさせるコツ
日ごろのお手入れや収納方法から、ポリウレタン繊維を長持ちさせるコツをご紹介しましょう。
劣化を進めないために意識したいのは、水分、紫外線、高温多湿を避けることです。
保管場所に適しているのは、風通しがよく湿気が少なく日光が直接当たらない場所です。
部屋にキャビネットハンガーなどで掛けている場合は、通気性のよい布地をかけて紫外線に当たらないようにしましょう。
たとえ、風通しがよく日光が当たらない場所でも、ビニール袋や箱に入れて密閉してはいけません。
冬は、ストーブなどの近くも温度が高くなりますので避けてください。
もし、雨などに濡れた場合は、そのまま放置せずに早めにタオルでたたいて水分を取り除いて陰干しで乾かします。
急いで乾かそうと部分的にアイロンをかけると、その部分がシミになることもありますので、自然乾燥を心掛けてくださいね。
まとめ
ストレッチ性のある洋服に使われるポリウレタンの繊維は、ゴムの代替品として開発されたため、伸縮性に優れた繊維であり、他の繊維と比べて軽いという長所があります。
一方で、使用状況に関係なく、時間の経過で劣化していくという弱点を持っています。
ポリウレタンの劣化を進ませるのは、空気中の湿気や水分、紫外線、高温多湿な環境とされており、これらを避けることで劣化を遅らせることになります。
雨などに濡れた場合は放置せずに水分を拭き取ることや風通しがよくて日差しの当たらない場所に保管すること。
綿や麻のような長持ちが期待できないかもしれませんが、ポリウレタンの寿命といわれる2~3年はあまりにも短いと言わざるを得ません。
せめて5年は持たせたいですよね。