神社にお参りしたときに供えるお賽銭。
「ご縁がありますように」と5円を入れるのが良いなどと言いますが、そういった語呂あわせの金額は常識化していると言えます。
そういう私も大体5円だけだったり、5円を混ぜたりしてお賽銭を上げることが多いです。
ですが、そもそもお賽銭は良縁といったような御利益を願って入れるものなのか気になりますよね。
語呂合わせで縁起をかつぐのは神様も面白がられるかもしれませんが、100円にも満たない金額が神様へのお願い料や御利益の対価というのは、失礼なような気もします。
そんな素朴な疑問からお賽銭をお供えする意味を調べてみました。
お賽銭の本来の意味が分かれば、お供えするお賽銭の金額をいくらにすればいいか悩むこともなく、ピュアな気持ちで参拝できるようになりますよ。
では、始めましょう!
お賽銭は神様へのお礼
お賽銭の「賽」の字には、神仏へのお礼参りと言う意味があります。
お賽銭と書いて、神様へのお礼参りのお金。
つまり、それが、お賽銭の本来の意味でした。
そして、神様へのお礼としてお金が供えられるようになったのは中世(鎌倉・室町時代)に入ってからと、お賽銭自体の歴史も浅いことが分かりました。
では、神様へのお礼として、昔の人々が感謝のしるしとしてお供えしていたものは何なのか。
お賽銭の意味を理解するためにも歴史を紐解きたいと思います。
お賽銭になったのは室町時代から
考えてみればそうだなと思ったのですが、お金をお供えするには、お金自体が一定量流通していて誰にとっても価値があることが必要です。
日本で貨幣経済が成立したのは13世紀に入ったころと言われます。
13世紀は、ちょうど鎌倉幕府の時代ですね。
それ以前、神社ではどういったものがお供えされていたのでしょうか。
お賽銭の原型はお米を包んだ「おひねり」
貨幣経済が発達し金銭がお供えされる以前、ご神前に供えられていたのは「おひねり」と呼ばれる洗ったお米を白い紙で巻いて包んだものでした。
「おひねり」の他にお供えされていたのは、ひえやあわなどの穀類や山や海の幸。
そうした自然の恵みを与えてくださる感謝をもって神様に「おひねり」がお供えされていました。
お賽銭になったのは室町時代から
鎌倉・室町時代と貨幣経済も発展するにつれて、庶民の間でも社寺への参詣が広く行われるようになります。
同時に金銭を神社でお供えすることが、都市部で風習として根付きます。
つまり貨幣経済と庶民文化の発達したことで、お米などを供えていたものがお金に変わり「お賽銭」となったわけです。
ただ、お米であっても金銭であっても、「神様へのお礼」としてお供えされていたということには変わりはありません。
それが大切なところかなと思います。
記録によると日本で最初の賽銭箱は、1540年(天文9年)の鶴岡八幡宮に置かれました。
室町時代が1336年から1573年ですので、室町時代も終わりの時期ですね。
当時は賽銭箱ではなく、散銭櫃(さいせんびつ)と呼んだそうです。
お賽銭にはお祓いの意味もある
「お賽銭を賽銭箱に投げ入れる」という表現があります。
大きな神社だと、手を差し伸べて届く距離にお賽銭箱がないこともありますよね。
また、多くの人が同時に神社に参拝するお正月の初詣ともなると、ご神前も大混雑でお賽銭箱めがけて投げるしかないこともあります。
神様へのお供えである以上、お賽銭を「投げる」のは失礼とする一方で、お賽銭を「投げる」ことが祓い清めになるとも考えられています。
「お金」が、人の身代わりとして「穢れ(けがれ)」を引き受けると言われます。
お賽銭を「投げる」ことは穢れを「投げ捨てる」ことであり、お賽銭を供える人の祓い清めになるのです。
とはいえ、乱暴に「投げる」のではなく、「お祓いする」という意識で丁寧に投げるようにしましょう。
お賽銭の金額はいくらぐらい?
お賽銭の本来の意味が、神様へのお願い料や御利益の対価ではなく神様への感謝であるということが分かりましたが、感謝を表す金額っていくらがよいものなのか、考えますよね。
そこで、お賽銭の金額について述べておられる神社のサイトがありましのたで、ご紹介しましょう。
神社で尋ねられた際にお答えしているのは、「ご自身が出来る範囲」「ご負担のない程度」とお答えしています。
石川県金沢市大野湊神社のサイトから引用
神様は、お賽銭の額が少ない多いは問われないということでした!
つまるところ、冒頭に触れた「ご縁がありますように」で5円が良いなど、語呂で縁起をかついだ金額でも全く問題ないということです。
今回調べたら、縁起をかつぐ語呂もたくさんありましたので、そちらをご紹介して最後にしようと思います。
縁起をかつぐお賽銭の金額
縁起の担ぎ方にも、5円玉の枚数によるもの、金額の語呂によるものとありますが、語呂の良い金額を5円玉でお供えする人もあるようです。
5円玉の枚数で語呂合わせ
5円玉1枚 | ご縁がありますように |
5円玉2枚(10円) | 重ねてご縁がありますように |
5円玉4枚(20円) | よいご縁がありますように |
5円玉8枚(40円) | 末広がりのご縁がありますように |
金額で語呂合わせ
25円 | 二重にご縁がありますように(5円玉5枚は縁起が良くない) |
29円 | 福がありますように |
41円 | 始終よいご縁がありますように |
45円 | 始終ご縁がありますように |
50円 | 五重のご縁がありますように |
105円 | 十分にご縁がありますように |
115円 | いいご縁がありますように |
125円 | 十二分にご縁がありますように |
485円 | 四方八方からご縁がありますように |
この他に11円・21円・31円という金額は割り切れない数値であるため夫婦円満や恋愛に縁起が良いというそうです。
5円玉自体が明治時代以降の貨幣ですので、お賽銭の金額としてちゃんと根拠があるわけではありません。
語呂合わせのゲン担ぎとして楽しんでください(笑)
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まとめ
お賽銭には、自然の恵みを感謝して神様にお供えするという意味があります。
室町時代に貨幣経済が成立すると同時に、庶民の間で社寺参拝が広まるようになると、それまではお米などの五穀や山海の幸がお供えされていたものが、お金をお供えするように変わったものです。
「ご縁がありますように」と5円玉をお供えするなど、金額の語呂は様々ありますが、大事なのは、お賽銭を供えるときに神様にお参りできるという感謝を込めること。
また、「お金」が人の身代わりとして「穢れ(けがれ)」を引き受けるものであるとして、お賽銭を「投げる」ことで穢れを祓い清める意味もあるといいます。
初詣などで人がいっぱいで、お賽銭を投げざるを得ない場合でも、動作そのものを丁寧に行うようにしましょう。