懸賞の応募要項を見ていると「官製はがき」と指定されているときがあります。
そうかと思うと、応募要項に「郵便はがき」と書かれている懸賞もけっこうあったりします。
官製はがきというのは郵便局で売られているはがきのことだと思うのですが、郵便はがきとは違うものになるのでしょうか。
あらためて考えるとよく分からなくなってきました。
そこで本日は、そもそも官製はがきとは何なのか、そして郵便はがきとは何が違うのかについて調べてきました。
おかげで、郵便はがき・官製はがき・私製はがきの違いが分かってすっきりしました!(笑)
官製はがきとは
さっそく、官製はがきとは何なのかを見ていきたいところですが、実は官製はがきは正確には現在日本には存在していません。
官製の”官”とは行政機関のことですから、行政機関が製造している物を”官製”と呼べるわけですね。
現在、
- 郵便局で売られている
- 郵便料金がはがきの前面左上に印刷されている
という2点を備えていて、私たちが官製はがきと認識している郵便はがきを製造しているのは、日本郵便株式会社という民営会社なのです。
ということは、”官製”では無いはがきを官製はがきと呼んでいるということになります。
一体どういうことなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
官製はがきは今では存在しない
官製はがきというのは、2003年の4月1日に郵便事業が日本郵政公社に移管されるまで、郵政省が郵便はがきを発行していた時期の名残なのです。
日本で初めて郵便はがきが逓信省(ていしんしょう:当時の郵政省)から発行されたのは、1873年(明治6年)のことです。
1873年に遅れること27年、1900年(明治33年)には私製はがきの製造も認可されます。
国が発行する郵便はがきを私製はがきと区別するために、利用者の間で官製はがきという呼び名が生まれたというわけです。
2003年から郵政省の発行では無くなりましたから、厳密には官製はがきは無くなってしまったわけですね。
現在は郵便はがきと申します
では現在、日本郵便株式会社が発行するはがきはどう呼ぶのかですが、単に「郵便はがき」というのが正解になります。
ここで、郵便について定めている郵便法を見てみましょう。
郵便葉書は、会社が、郵便約款でその規格及び様式を定めて、これを発行する。
ただし、郵便約款の定める通常葉書又は往復葉書の規格及び様式を標準として、これを会社以外の者が作成することを妨げない。
条文の中に出てくる”会社”とは日本郵便株式会社のことですから、日本郵便株式会社が郵便はがきを発行すると言い換えることができます。
日本郵便株式会社が発行する郵便はがきは、
- 郵便局で売られている
- 郵便料金がはがきの前面左上に印刷されている
と従来の官製はがきと同じ特徴を備えています。
でも、ここで話を複雑にするのが、”ただし”から続く部分。いわゆる私製はがきのことが書かれているのです。
郵便はがきには私製はがきも含まれる
郵政省が郵便はがきを製造していた2003年(平成15年)3月31日までは、
- 郵政省が発行するはがき ⇒ 官製はがき
- 郵政省以外が発行するはがき ⇒ 私製はがき
と製造者によって名称がはっきり分けることができました。
郵政省から日本郵政公社へ、日本郵政公社から日本郵便株式会社へと、郵政事業が移管された現在は、
- 日本郵便株式会社が発行するはがき ⇒ 郵便はがき
- 日本郵便株式会社以外が発行するはがき ⇒ 私製はがき
となるのですが、私製はがきも郵便はがきに含まれるため区別がつけづらくなってしまいました。
もともと郵政省が発行していた郵便はがきを官製はがきと呼んでいたのも便宜上のことで、法律で定められていたということもありません。
官製はがきという言葉が、郵便局で売っている郵便はがきを指す言葉として使いやすいため、現在も使い続けられているということなのです。
懸賞の募集要項などに官製はがきとあるのも、その方が伝わりやすいからということになりますね。
ちなみに、郵便はがきと指定されている場合ですが、こちらもおそらく郵便局で売っている郵便はがきを意味していると思われます。
たくさんの応募はがきが来るわけですから、大きさや紙質がそろった郵便はがきでないと整理が大変です。懸賞には、「官製はがき」で応募してあげてくださいね(笑)。
では、最後に郵便局で売られている「官製はがき」の種類をご紹介しますね。
郵便局で売られている「官製はがき」の種類
現在、郵便局で売られている日本郵便株式会社発行の郵便はがき(官製はがき)は、大きく分けて4つの種類があります。
- 通常はがき
- 往復はがき
- くじ引番号付き郵便はがき
- 郵便書簡
郵便はがきと聞いて真っ先に思いうかべるのが、この通常はがきです。
通常はがきは、さらに次の4種類が用意されています。
デザイン | 用途など |
ヤマユリ | 普通紙対応です |
山桜 | インクジェット紙です |
胡蝶蘭 | 寒中見舞いや喪中欠礼はがきに。料額印面が緑色は普通紙、青色はインクジェット紙 |
往信用はがきと返信用はがきが、結合して1枚になっているはがきのこと。料金ははがき2枚分になります。
年賀はがきとかもめ~るが、くじ引番号付き郵便はがきに該当します。
通常はがきの3枚分の大きさがある封筒兼用の便せんですが、料金は通常はがきと同じです。25g以内であれば、写真やメモなども同封可能だそうです。
また、通常はがき・年賀はがき・かもめ~るには、次の3種類の郵便はがきも発行されています。
- エコーはがき
- くぼみ入りはがき
- 四面連刷はがき
はがきの一部が広告主の広告になっているため、1枚につき5円安く販売されます。
目の不自由な人が触ってはがきの上下・表裏が分かるよう、はがきの表面左下に半円形のくぼみが入っています。
はがき4枚が田形に配置されており、大量に印刷できるようになっています。(普通紙のみです)
まとめ
官製はがきとは、行政が発行する郵便はがきのことですが、現在、日本郵便株式会社が郵便はがきを発行しているため、厳密には日本に官製はがきは存在しません。
郵政省が郵便はがきを製造していた2003年(平成15年)3月31日までは、
- 郵政省が発行するはがき ⇒ 官製はがき
- 郵政省以外が発行するはがき ⇒ 私製はがき
と利用者が分かりやすく呼び分けていました。
日本郵便株式会社が発行する郵便はがきも
- 郵便局で売られている
- 郵便料金がはがきの前面左上に印刷されている
郵政省が発行していた時と何ら変わりありません。
そのため、郵便局で売っている郵便はがきを指す言葉として使いやすいため、官製はがきという言葉が今でもよく使われています。
私自身も、今回、郵便事業の変遷が分かって大変勉強になりました。