暖かくなってきたなぁと感じるや否や、早くもツバメがスイースイーと飛ぶ姿を見かけますよね。
まだ春と呼ぶにも早い時期ですが、ツバメの姿は季節の確実な歩みを感じさせてくれます。
そんなツバメは、昔から幸運をもたらす縁起の良い鳥とされてきました。
本日は、ツバメがもたらすという幸運の意味を詳しくお伝えしていきます!
ツバメが世界各国でも吉兆の象徴として愛されていることが分かって、何だか感動してしまいました(笑)。
ツバメが意味する幸運
ツバメは、人里に巣を作る習性から幸運をもたらす縁起の良い鳥とされてきました。
ツバメの習性についてを見ていく前に、ツバメが意味する幸運を全部リストアップしましたのでご覧ください。
ツバメが意味する幸運の全て!
- 家が栄える
- 商売繁盛
- 農作物が豊作になる
- 良縁に恵まれる
- 夫婦円満・家庭円満
- 赤ちゃんができる
- 火事が出ない
- 病人が出ない
- 故郷に無事に帰ることができる
復活祭のころに戻ってくることから、ヨーロッパでは復活と再生を象徴する鳥としても扱われています!
ただ、これらの幸運は最後の”故郷に帰る”を除いては、ツバメが家に巣をつくった場合という条件つき。
単に道を歩いていてツバメを見かけただけではラッキーとは喜べないということです。
四葉のクローバーとは少し性格が違う吉兆ですね。
ちょっと残念ではありますが、気を取り直してツバメが幸運をもたらす鳥となった理由であるツバメの習性についてお伝えしていきますね。
ツバメが幸運の象徴になった理由
ツバメは、暖かい地域で暮らす渡り鳥ですが、次のような習性をもつ鳥です。
- 春になると戻ってくる
- 害虫を食べる益鳥
- 人の家の軒下に巣をつくる
- 夫婦で子育てをする
こうしたツバメの習性から、世界中にツバメを吉兆と見る言い伝えや物語が誕生しました。
詳しく見ていきましょう!
ツバメは春になると戻ってくる
ツバメは、暖かい地域で暮らす渡り鳥です。
そのため、日本をはじめ世界で春の使者とみなされてきました。
暖かく明るい陽射しと花々が咲きほこる春は希望に満ちた季節です。
その春とともに訪れるというだけでもツバメは十分に好ましい存在だったのですね。
さらに、ツバメは同じ場所に戻ってくる習性があります。
この習性から、ヨーロッパでは、「遠くに旅立っても必ず戻ってくる」と、船乗りにとって安全のシンボルとされました。
昔は航海技術も発達していませんでしたから、海に出るということは命がけだったのです。
また、ツバメが見えると陸(港)が近いことが分かったことも、無事に故郷に帰ることができたという安心と喜びにつながったことも大きかったようです。
農作物を害虫から守ってくれる益鳥
スズメは、ツバメと同じぐらい身近な野鳥ですが、お米などをついばむため嫌われてきました。
対するツバメは、農作物を食い荒らす害虫をエサとするため、人間の役に立つ益鳥にあたります。
特に農薬のなかった時代には、空中をスイースイーと飛びながら、ガやユスリカ・シロアリといった害虫を次々に食べるツバメは大切な鳥でした。
農村部では、ツバメを殺すのはもちろん、巣やヒナにいたずらすることも禁じていた地域もあったほどです。
害虫が増えると農作物がどんどん食い荒らされて収穫が減ります。
そこで、ツバメが巣をつくった家は害虫の被害にあうことがなく豊作になると考えられるようになりました。
面白いことに、ツバメのフンまで雑草駆除に役立つという迷信が江戸時代にはあったそうですよ。
人の家の軒下に巣をつくる
世界には約9,000種類の鳥が生息していますが、ツバメのように人の住む家に巣をかける鳥は他にいません。
ツバメが、人の家の軒下などに巣をつくる最大の理由は、カラスやヘビなどの天敵に襲われないため。
その目的を果たすために、ツバメが巣を作る家には明確な基準があり、その基準にツバメが幸運の象徴とみなされるようになった根拠があります。
ツバメが巣を作る基準
- 人の出入りが多いこと ⇒ 家が栄える、商売繁盛
- 日当たりが良く風通しが良いこと ⇒ 病人が出ない
要するに、ツバメは活気のある家を選んで巣をかけます。
そして、そうした家は、おうおうにして夫婦仲もよく子宝に恵まれる家でもあったのです。
さらに、中国では、ツバメには危険を避ける予知能力があり、
- 火事になりそうな家に巣をつくらない
- 運気が下り坂の家には巣をつくらない
とまで信じられてきました。
風水でもツバメは幸運の証!
また、日当たりと風通しが良いというのも風水では重要視されます。
ツバメの巣が家にできることは、風水では二重三重に幸運の証なのです。
夫婦仲良く子育て
玄関などの軒下にツバメの巣があるわけですから、他の野鳥ではありえないぐらい、子育ての様子をじっくり観察できる鳥です。
ツバメの子育てからは
- ツバメは、オスも卵を抱く
- ツバメは、オスもヒナにエサを運ぶ
と、夫婦で力をあわせて子育てをするツバメの姿が見て取ることができます。
この姿から、ツバメは夫婦円満、家庭円満、子宝をもたらす象徴となったのです。
では最後に、世界に残されているツバメにまつわる神話や物語をご紹介していきますね。
ツバメは恋を運ぶ鳥
江戸時代には、渡り鳥ということからか、ツバメは恋を運んで飛ぶという言い伝えが生まれ、良縁を求めるお嬢さん方の着物の柄としても人気を集めたそうです。
ツバメにまつわる神話や物語
春になると戻ってくるツバメは、昔の人にとって、希望の存在でした。
ですが、ツバメが冬の間はどこにいるのか謎だったため、神秘的な存在でもありました。
日本に残るツバメの物語
常盤(ときわ)の国の使者
常盤の国というのは、北西の方角に位置する祖先の霊の国のこと。
中世の物語や田植歌に登場し、富や豊穣の源の国とされてきました。
ツバメは、祖先の霊の使者として常盤の国を行き来し、富をもたらす縁起の良い鳥とされてきました。
竹取物語
かぐや姫が5人の求婚者の一人、石上麻呂に出した無理難題にツバメが登場します。
難題の中身は、「ツバメが生んだ子安貝を持ってくる」というもの。
鳥が貝を生むというのがありえない話ではありますが、子安貝は安産のお守りとされていました。
ツバメが子育てを身近に見ることができた鳥だからこそ生まれた難題だったのでしょうか。
沖縄の昔話
昔々、スズメとツバメは姉妹だったのですが、母親が病気となったときにツバメは着ていく服を用意に手間取って実家に帰るのが遅くなってしまいました。
急いで帰った姉のスズメは、母親の看病をしますが、看病の甲斐なく母親は亡くなります。
ようやく身支度が整ったツバメがやってきたのは、母親の葬式も終わったあと。
この様子を見ていた神様がお怒りになり、スズメにはお米を食べることを許し、ツバメにはお米を食べることを禁じてしまわれました。
これ以降、ツバメは虫しか食べることができなくなったという昔話が沖縄に残されています。
ですが、このおかげで、ツバメは益鳥として幸運の象徴になったのですから面白いですね。
中国に伝わるツバメの話
ツバメの卵でお妃が懐妊
殷(いん:紀元前17世紀から紀元前1046年)の最初の皇帝とされる契(せつ)は、母親がツバメの卵を食べて生んだと言い伝えられています。
契(せつ)自体が伝説の存在ですが、この伝説から中国では赤ちゃんを授けてくださいとツバメに祈るのだそうです。
冬の間、ツバメはハマグリになる?
古代の中国人は、寒くなるとツバメは水に潜ってハマグリになると、何とも奇想天外なことを考えていました。
ツバメが水界とのつながりが深い繋がりがあるとされて、雨乞いの祈祷に竜を呼び出すためにツバメが用いられてきました。
エジプトに伝わるツバメの話
古代エジプトにおいて、豊穣の女神であるイシスは、夜になるとツバメに変身し、夫オシリスの棺の周りを飛び回ったという神話があり、復活と再生を象徴しています。
渡り鳥で、寒い時期には姿を消すというツバメの習性は、昔の人にはよほど神秘的だったのですね。
まとめ
ツバメは、人の生活圏に巣をつくる身近な野鳥です。
その習性から、ツバメは次のような幸運を意味する鳥とされてきました。
ツバメが意味する幸運の全て!
- 家が栄える
- 商売繁盛
- 農作物が豊作になる
- 良縁に恵まれる
- 夫婦円満・家庭円満
- 赤ちゃんができる
- 火事が出ない
- 病人が出ない
- 故郷に無事に帰ることができる
これらの幸運は最後の”故郷に帰る”を除いては、ツバメが家に巣をつくった場合という条件つきです。
人の家の軒下などに巣をつくるツバメが、
- つがいで卵をかえしヒナを育てる
- 人の出入りのある明るく通気性の良い家を選ぶ
などから、ツバメが幸運の鳥と言われるようになりました。
また、暖かい地域で過ごすツバメが冬になると姿を消すことも、昔の人には神秘的な現象だったため、世界の各地にツバメにまつわる神話や物語が残されています。
春の空にスイースイーと飛ぶツバメの姿は、見ているだけで気持ちの良いものですが、これからは一層身近に感じられる気がしますね。