夏の暑さは、年々厳しさを増す一方のような気がしますね。
特に都心部は、アスファルトやコンクリートが熱を持ちますし、車や空調から出る熱もあって半端ない気温です。
そんな中、都市部のヒートアイランド現象を何とかしようと、自治体が主導して始まったのが打ち水。
江戸時代に盛んに行われていた夏を涼しく過ごすための生活の知恵です。
ですが、打ち水で涼しくなるのかについては、効果あると言う人、逆効果だと言う人、賛否両論あって本当のところが分かりません。
そこで本日は、打ち水には涼しくなる効果があるのかについてお伝えしますね。
打ち水には確かに効果がありますよ
打ち水は、次の2つの大きな目的のために行われてきた江戸時代の生活の知恵です。
- 道の土ぼこりをおさえる
- 夏の暑さをやわらげる
打ち水が広く行われていた江戸時代と違って、現在はアスファルトで舗装されている道路がほとんどです。
そのため、打ち水で土ぼこりを抑える必要性は、ほぼありません。
となると、現代では打ち水をする目的はだた一つ!
夏の厳しい暑さが少しでもマシになることを期待して、打ち水をするわけですよね。
結論からいうと
- 気温が下がる
- 風が生じる
という現象が起こるので、涼しくなる効果があります。
しかし、打ち水をする面積や、打ち水をするタイミング・気象条件などで、どれぐらい涼しくなるかは大きく左右されるということも分かりました。
詳しく見ていきましょう!
打ち水は茶道の礼儀作法だった!
茶室にお客様をお迎えする際に、茶室までの道に土ぼこりが立たないようにするためと、場を清めるために行われるようになったもの。
茶道の礼儀作法が、江戸時代に世間一般に広まり、夏の暑さ対策としても行われるようになりました。
打ち水で涼しくなる仕組み
打ち水を道や庭先にまくと、
- 水が蒸発するときに接している物質の熱を奪う気化熱が発生して気温が下がる
- アスファルトやコンクリートの蓄熱が解消して気温が下がる
- 水が蒸発する場所と周囲に気圧差が生まれて風が起こる
ため、涼しく感じることができます。
実際、東京などの大都市で実施されている打ち水大作戦のデータを平均した数値がこちら。
打ち水大作戦の効果データの平均
- 打ち水によって、気温が1℃未満低下した状態が、平均23分続く
打ち水大作戦の参加者のアンケートからも
- 9割の人が涼しくなった
- 8割の人が風を感じた
という回答結果でした。
35℃を超すような高温で、1℃未満の気温低下が効果として満足できるかという問題はあります(笑)。
ですが、打ち水によって涼しくなる効果は確かにあると言えます。
打ち水の効果に多大の期待は禁物
打ち水には、大した効果がないとして反対する人も少なからずいらっしゃいます。
私も、打ち水には一定の効果はあるものの、決して大きな効果は期待できないと思いました。
確かに、打ち水のやりかた次第では打ち水で家の中と周囲を少し涼しくできます。
しかしながら、打ち水大作戦が目的としているような都心部のヒートアイランド現象対策というのは、ちょっと無理があるかなという気がします。
なぜなら、アスファルトやコンクリートは保水力が低いので打ち水の効果が消えるのが早いから。
そして、ヒートアイランド現象を解消するほど、広範囲に、しかも日常的に打ち水をするというのもあり得ないからです。
また湿度が高くて風がない天気の日は、打ち水で湿度が増えて不快指数が高くなるので効果がないということもあるようです。
打ち水は、ほんの少し周りを涼しくするけれど、それで町中が涼しくなるなんてことは期待してはいけない、と思いました。
ただ!打ち水はやり方によっては酷暑を乗りきる助けになります。
続いて見ていきましょう~。
効果的な打ち水で夏をちょっぴり涼しく過ごす
打ち水のやり方によっては、家の中の温度を下げることが可能です!
打ち水のポイント
- 打ち水をする時間帯
- 打ち水をする場所
具体的にお伝えしていきますね。
打ち水をする時間帯
打ち水は1日のどの時間に行っても効果はあります。
ただ、気温が高い真夏の昼に打ち水をしても、すぐに水が乾いてしまうので、効果が長続きしません。
気温の低い朝と夕方の時間帯の打ち水は、すぐに乾くということもなく、打ち水の効果が持続することが期待できます。
さらには、朝はこれから気温が上がる時間帯です。
また昨今の酷暑では午前の早い時間帯に早々に30℃を超すというのも当たり前になっています。
夕方は、日も暮れて気温が下がる時間帯です。
朝と夕方なら、夕方の方が打ち水の効果も持続して、熱帯夜の寝苦しさが和らぐ効果も期待できますね。
打ち水をする場所
打ち水といえば、道や庭にするものと思い込んでいましたが、次のような場所への打ち水も効果的です。
打ち水の効果が期待できる場所
- 家の壁
- ベランダや屋上
- 空調の室外機と周囲
ざーっと夕立が降った夜は、建物が冷えて眠りやすいという経験ありませんか?
壁やベランダ・屋上に打ち水することで、人工的な夕立状態にして、建物の熱を冷ますことができるわけですね。
室外機も金属で出来ていますから、熱を帯びやすいです。
打ち水で室外機を冷やすと、冷房効率が高まるので、部屋が冷えやすくなりますし、電気代も節約できますよね!
なお、涼しくしたいからといって、ベランダや室外機の周りに水たまりができるほど、たっぷり打ち水をするのはダメですよ。
水はけが悪い場所だと、いつまでも水が乾かずに虫がわくとも限りませんし、サビの心配も出てきます。
あくまで、打ち水の場所を濡らす程度でとどめてくださいね。
打ち水は雨水や生活排水を活用しましょう!
雨水を貯めることができれば雨水を。
雨水を貯めることができなければ、お風呂の残り湯や子供用プールの残り水などの生活排水を活用するといいですよ!
まとめ
打ち水は、夏を涼しく過ごすために行われてきた江戸時代の生活の知恵です。
打ち水を行うと
- 水が蒸発するときに接している物質の熱を奪う気化熱が発生して気温が下がる
- アスファルトやコンクリートの蓄熱が解消して気温が下がる
- 水が蒸発する場所と周囲に気圧差が生まれて風が起こる
ため、涼しく感じることができます。
実際、東京などの大都市で実施されている打ち水大作戦から、平均で
ですが、アスファルトやコンクリートは保水力が低いため打ち水の効果が持続しません。
そのため、打ち水によって、広い範囲の気温が下がるというような効果は期待できません。
ただ、家の壁、ベランダ、屋上などに、夕方に打ち水をすると、建物が冷やされて室温が下がる効果が期待できます。
また、室外機やその周囲への打ち水も冷房効率を上げる効果があり、部屋が速く冷える、電気代が節約できるという効果があります。
打ち水を昔からの生活の知恵として上手く取り入れれば、ほんの少し夏を涼しく過ごすことができそうですね。