8月11日の山の日は、2016年(平成28年)から施行となった16番目の国民の祝日です。
夏休み中の8月、それもお盆休みの直前という日づけのため、歓迎よりも困惑する声が多かった記憶があります。
かくいう私もその一人。
ちょうど年次のルーティン業務で忙しい時期でしたし、ハッピーマンデーでもない山の日で飛び石連休とか嬉しくないから!と真剣に思っていました(笑)。
そんなちょっとばかし肩身の狭い山の日は、そもそもどうして8月11日なんて中途半端(失礼!)な日になったのでしょうか。
なかなか深い背景がありましたので、詳しくお伝えしていきますね。
山の日はなぜ8月11日?
さて、早速、どうして8月11日が山の日に決まったのか、そこには3つの理由があります。
山の日が8月11日になった理由
- 学校の授業日数を確保しつつ労働日数を減らせる
- お盆休みと連動させたい
- 御巣鷹山慰霊の日(8月12日)では難しかった
上2つは、8月という時期が選ばれた理由で、最後の1つは11日に決まった理由と少し性格が異なります。
山の日制定のきっかけになった海の日が、明治天皇が初めて艦船で巡幸された日であるのに対し、山の日にはそうした由来がないことが分かりますね。
では、理由を一つずつ詳しく見ていきましょう。
学校の授業日数を確保しつつ労働日数を減らせる
学校教育法施行規則が改定されて、公立の小中学校・高校で週休二日制が実施されるようになったのは2002年(平成14年)のことです。
当時のゆとり施策の一環として導入されました。
8月11日の山の日がお休みになったのは2016年(平成28年)からですが、祝日法に制定されたのは施行の2年前、2014年(平成26年)です。
週休二日制の完全実施から山の日制定までの12年間の間に何が起こったかというと、ゆとり教育の見直しです。(週休二日制を廃止する動きもあったようです)
山の日を制定するにあたって、さらに授業日数を減らすわけにはいきませんでした。
一方、減らそうとしているのに一向に減らないのが日本人の労働時間です。
日本の祝日は、山の日のできる前でも15日と、欧米諸国に比べると多いものの、そうした国の有給取得率が100%近いのに対して50%と際立って低い状況にあります。
有給休暇で休まないなら(”休めない”が正解ですけど)、国民の祝日を増やして労働時間を減らすしかない。
「山の日」制定議員連盟の衛藤征四郎会長が、山の日制定が可決されたときに「山の日の制定で、人々が休みをより多く取ることに繋がれば良いと考えている」と発言していることからも労働時間短縮の意思が読み取れます。
労働時間は減らしたいけれど、授業時間は減らせない。
そこで浮上したのが、夏休み期間だったのです。
お盆休みと連動させたい
山の日制定活動の当初、山岳団体があげていた山の日の候補日は、夏山シーズンで山の緑も美しい6月上旬でした。
国会議員らによって山の日制定活動が本格化すると、6月上旬案が消えて、夏休み期間である
- 海の日の翌日
- お盆休み(8月13日から16日)の前日
で検討されるようになっていきます。
この2案が意図するところは、やはり連休化による経済効果でしょうか。
ただ、海の日はハッピーマンデー制度の祝日ですから、海の日の翌日という決め方はちょっと無理がありますよね。
消去法的に、お盆休みの前日(8月12日)案で意見が集約されていきました。
御巣鷹山慰霊の日(8月12日)では難しかった
ですが、8月12日は、1985年(昭和60年)に日航機が群馬県御巣鷹山の尾根にぶつかって墜落、乗員乗客520名もの方が亡くなった「御巣鷹山慰霊の日」です。
飛行機が山にぶつかって落ちて多くの人が亡くなった8月12日を「山の日」の祝日としては、不謹慎としか言いようがない話です。
結果、8月12日を避けて、その1日前、8月11日が山の日に選ばれたのです。
山の日が、なぜ8月11日なのかが分かったところで、山の日誕生の経緯についても見ていきます。
山の日はこうした制定された!
繰り返しになりますが、山の日は
- 2014年(平成26年)に祝日法改正により制定
- 2016年(平成28年)から施行
された戦後日本の16番目の祝日です。
祝日法にさだめられた山の日の意義は次のとおりです。
山の日の意義
- 山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。
山の日誕生のきっかけとなったのは、1995年(平成7年)から祝日となった海の日です。
日本は、四方を海に囲まれた島国であると同時に、豊かな山の自然に恵まれた国ですから、「海の日があるなら山の日があってもいいじゃないか」
そう考える人がいても不思議はありませんよね。
2008年(平成20年)に、戦後初のミリオンセラーとなった「王将」を作曲された船村徹氏が、そうした提言をされ、日本山岳協会などで山の日制定の活動が始まったのでした。
最終は、国会議員からなる「山の日」制定議員連盟が発足し、船村氏の提言から6年後に無事制定の運びとなりました。
船村氏は山の日施行の翌年2017年(平成29年)にお亡くなりになりましたが、よっぽど嬉しかったのでしょう。
山の日制定記念曲「山が、笑ってら」なるものを世に送り出されています。
おそらく多くの人が、そうした記念曲があることをご存知ないと思います(私も初めて知りましたしね)ので、YouTubeの動画をご紹介しておきますね。
よろしければ、ちら聞きされてみてください(笑)。
山の日がハッピーマンデー制度に変わる可能性は?
日にちが決まっている祝日にはなくて、ハッピーマンデー制度の祝日にあるメリットといえば、祝日が決して土曜日にならないことです。
祝日が日曜日と重なると振替休日になりますが、土曜日に重なると何も起こりませんから、損した気分になるのは私だけではないはずです(笑)。
先ほどお伝えしたように、山の日の8月11日という日に意味や由来がありません。
であれば、ハッピーマンデーにしてもいいような気がしますよね。
ですが
- お盆休みに連動させる狙いと
- 日航機墜落の「御巣鷹山慰霊の日」の8月12日は避ける
という経緯で決まった日です。
仮に、山の日を8月第2月曜日とした場合、8月8日から14日の間のどこかの日となります。
となると、その年のカレンダーによって、山の日が8月12日ということも出てきますし、お盆休み(8月13日から16日)の間にくることも出てきます。
こうなっては、山の日を8月に持ってきた意味がなくなります。
8月12日が山の日になるのはご遺族の心情的にも避けたほうがいいと思いますし、山の日がハッピーマンデー制度に変わる可能性は無いと考えるのが妥当と言えそうですね。
まとめ
8月11日の山の日ができるきっかけとなったのは、1995年(平成7年)に誕生した海の日です。
「海の日があるなら山の日があってもいいじゃないか」と考えた人たちを中心に制定の機運が高まり、戦後16番目の国民の祝日として、2016年(平成28年)から祝日になりました。
夏休み中の8月、それもお盆休みの直前ということもあり、歓迎の声が少なかった記憶があります。
山の日が、8月11日に決まった理由は次の3つです。
山の日が8月11日になった理由
- 夏休み期間であれば学校の授業日数を確保しつつ労働日数を減らせる
- お盆休みと連動させて経済効果を上げたい
- ただし、お盆休み直前の8月12日は御巣鷹山慰霊の日であり避けなければならなかった
当初は、山の緑が美しい夏山シーズンの6月上旬が候補にあがっていましたが、こうした理由で8月11日が山の日におさまりました。
海の日が、明治天皇が初めて艦船で巡幸された日であるのに対し、山の日にはそうした由来がないというのも対照的ですよね。