うんちく話

「宴もたけなわ」ってどういう意味?由緒正しい言葉と分かって驚くよ

飲み会や宴会を締める言葉といえば、「宴もたけなわではございますが」。

学生のコンパや飲み会では、ほぼ登場しませんが、会社の飲み会では判を押したように毎度出てきます(笑)。

そういうもんだと思っていれば、どうってことはありませんが、”たけなわ”ってどういう意味だろ?”とふと気になりました。

他に”春もたけなわ”なんて使い方もしますよね。

ということで、「宴もたけなわ」の意味と、ついでに語源なんかも詳しくお伝えしていきますね。

「宴もたけなわ」はこんな意味

宴もたけなわ
宴もたけなわ」の”宴も”の部分は、”宴会も”と分かります。

問題は後半の”たけなわ”ですが、なんと漢字があるのです。

たけなわ”は、漢字では””もしくは”と書きます。

言葉の意味は次のとおりです。

  1. 物事の一番盛んな時、最中
  2. 少し盛りを過ぎた時、衰えかけた時

ですので、「宴もたけなわ」の意味は、”宴席も大変盛り上がっているところ”となります。

「宴もたけなわではございますが」で、”宴席も大変もりあがっているところですが”となりますね。

まぁ、意外性はないというか、順当な線でしたね(笑)。

次に私が気になったのが、”たけなわ”の語源と、”宴もたけなわ”が、いつ頃から使われるようになったのか2点です。

いつ頃から使われたかは、遡れて明治ぐらいと思っていたら、とんでもなく由緒ある所にたどり着いて本当に驚いてしまいました!

”たけなわ”の語源と使われだした時期

たけなわ”は、純粋な和語、つまり大和言葉の一つで、はっきりとした語源が分かっていません。

色々と説があるのですが、その中の一つをご紹介しますね。

”たけなわ”の語源

    ”たけ” ⇒ 丈が長くなるという意味の”たける(長ける・闌ける)
    ”なわ” ⇒ 遅くなるの古語の”遅なはる”の”なは”と同じ使われ方

”長ける”は、盛りの時期・状態になることも表すため、”たけなわ”で盛んな時・最中となります。

まず、”たけなわ”という言葉があって、酣をそう読むようにしたといえそうです。

酣を漢字辞典で調べると、酒と”旨い”を意味する甘から成る漢字と説明されています。

”楽しむ”という意味もあるとあったので、「宴もたけなわ」は”楽しい宴”とも言いかえれそうですね。

日本書紀にすでに使われていた!

さて、”たけなわ”自体が、古くから日本で使われてきた大和言葉ということは分かりました。

では、「宴もたけなわ」はいつ頃から使われるようになったのか

宴会なんて、昔はそうそう無かっただろうし、明治以降からだろうと推測していたのですが、とんでもない。

なんと、日本書紀の神武紀にすでに登場していました!

日本書紀の記述が、こちらの、「酒酣之後、吾則起歌」。

現代語訳はこちら、「酒宴が盛りを過ぎたら、私が立ち上がって歌う」。

神武天皇イメージイラスト

日本書紀が完成したのは奈良時代の720年ですが、それ以前から「宴もたけなわ」は使われてきたのかもしれませんよね。

ここまで推測が外れると気持ちいいというか、発見した!という達成感があります(笑)。

ではでは、最後に「宴もたけなわ」の基本の使い方をご覧いただいて終わりにしたいと思います。

座を白けさせない「宴もたけなわ」の使い方

宴会で乾杯
宴もたけなわ」と切り出して、宴会を締めるのは、一般的に幹事の仕事です。

盛り上がっているところを時間の関係で締めるわけですから、つい気が引けるということもあるかもしれません。

それで時間ギリギリになってしまうと、バタバタとお店を出なくてはいけなくなり、宴会の楽しいムードも吹き飛んでしまいます。

結果、”仕切り下手”なんて不名誉な烙印を押されるなんてことにもなりかねません。

そうならないためにも、終了時間の10~15分前には、おもむろに立ち上がって「宴もたけなわですが」と切り出しましょう

定番の言い回しは、長いバージョンで

  • 宴もたけなわではございますが、時間の都合上お開きとなります。本日は忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました

短いバージョンなら、

  • 宴もたけなわで恐縮ですが、本日はここでお開きとなります

です。

文字どおり、盛り上がっていますから、言っている内容に注意している人は少ないです(笑)。

それよりも、余裕をもって「宴もたけなわですが」と締めることに神経を注ぎましょう!

まとめ

飲み会や宴会を締める定番の言葉、宴もたけなわ」は、”宴席ももりあがっているところ”という意味です。

たけなわ”は、古くからある大和言葉で、漢字では””もしくは””と書きます。

酣は、酒と、”旨い”を意味する甘いから成る漢字で、

  1. 物事の一番盛んな時、最中
  2. 少し盛りを過ぎた時、衰えかけた時

の他、”楽しむ”という意味もあります。

奈良時代に完成した日本書紀の神武紀にすでに、

酒酣之後、吾則起歌」
酒宴が盛りを過ぎたら、私が立ち上がって歌う)

という記述があり、かなり古くから「宴もたけなわ」は使われていたことがうかがえます。

宴もたけなわ」と宴会を締めるのは、一般的に幹事の役割

楽しい余韻を残して終えれるように終了時間の10~15分前には、「宴もたけなわで恐縮ですが、本日はここでお開きとなります」と切り出しましょうね。

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