寒露と書いて、”かんろ”と読みます。
「寒」という字から、冬という印象を受けますが、実は秋の季節の一つで、時期としては10月です。
近ごろは残暑が長引く傾向にあるので、10月に入っても日中に30度を超す日もありますね。
ですので、寒露と言われても今一つしっくりしません。
そんな秋とはいえ夏日もあるような寒露ですが2023年はいつからいつまででしょうか。
寒露の日程はもちろん、寒露とはどういう季節なのかついてもピックアップしてお届けしていきます。
寒露の由来と時期
寒露とは、日本が太陰暦だったころに、季節の移り変わりを知るために使っていた二十四節気という区分の一つです。
寒露という場合、この寒露の時期の始まる日(節入り日)のこと。
寒露という場合、節入り日の当日のみを指すこともありますが、本来は約15日間の期間を意味します。
2023年の寒露はいつ?
- 2023年の寒露の日(節入り日)は10月8日(日)
- 2023年の寒露の期間は10月8日(日)から10月23日(月)
年によって1日前後しますが、例年10月8日ごろから始まり、次の二十四節気・霜降の前日にあたる10月22日ごろまでが寒露の時期になります。
寒露の時期の七十二候
二十四節気の中で、寒露は秋が深まる季節とされます。
北の地方からは、早くも紅葉の便りが届き、収穫を終えた早朝の田んぼに冷たい露が光っていることも。
秋の長雨の時期も終わり、澄み切った秋の空気に、昼はさわやかな青空が広がり、夜は月が冴え冴えと輝きます。
1年を通じても過ごしやすい季節の訪れです。
二十四節気をさらに5日ごとの季節に分類した七十二候では、寒露は次のような季節になります。
鴻雁来(こうがんきたる)
10月8日から10月12日ごろは、日本で冬を過ごすためにシベリアから雁(がん・かり)が渡ってくる時期とされます。
秋の初めに渡ってくる雁を「初雁(はつがり)」と呼びますが、昔の人は雁が渡ってくることを特別にとらえていました。
枕草子はじめとした文芸作品によく登場することからも、雁が特別な存在だったことが分かります。
秋の空に、V字型や一列といった見事な編隊を組んで飛ぶ姿には、何か創作意欲を駆り立てるものがあるのかもしれません。
そんな情緒感じる雁ですが、「グワングワン」という大きな鳴き声が、“がん”という名前の由来とされています。
飛ぶ姿の詩情と鳴き声のやかましさが、アンバランスでおかしいですね。
菊花開(きくのはなひらく)
10月13日から10月17日ごろは、菊の花が咲き誇る時期です。
菊は、何といっても秋を代表する花です。
桜とともに、日本の国花でもありますね。
園芸用に栽培される大輪のものから、各地の野原で見られる野菊まで。
菊はその種類も大変多い花です。
園芸用に栽培される菊が、最初に日本に入ってきたのは奈良時代のこと。
それ以降も、絶え間なく、さまざまな種類が、中国を経て日本に入ってきました。
やがて、江戸時代に入ると、品種改良が進み、日本独自の菊が数多く生み出されました。
10月から11月にかけて、各地で菊の品評会が開かれて、多くの人の目を楽しませてくれます。
蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)
10月18日から10月22日ごろは、深まる秋に、野原で鳴いていた秋の虫たちが人里にやってきて戸口で鳴く季節とされています。
「蟋蟀」の読みを辞書で調べると、キリギリスではなく、「こおろぎ」と辞書と出てきます。
これは、昔、「こおろぎ」を「キリギリス」と呼んでいたからなのだそうです。
そのため、ここでいう秋の虫は、キリギリスではなくこおろぎの事。
何だかややこしいですね(笑)。
寒露にまつわる雑学
秋といえば、食べ物がおいしい季節!まさに、食欲の秋到来!ですよね(笑)。
そんな食べ物の美味しい時期ですが、寒露には、特別な行事食はありません。
ですが、寒露の時期には、旧暦9月13日のお月見、十三夜が当たることが多いです。
お芋をお供えして「芋名月」と呼ばれる十五夜に対して、十三夜は、栗や豆をお供えすることから「栗名月」・「豆名月」と呼ばれます。
ちなみに、2023年の十三夜は10月18日(月)です。
農業技術が発達して、1年中食べられるようになった野菜や果物が多い中、栗が出回るのは秋のこの時期ならではです。
栗をお供えして、秋の月を楽しむなんていうのも素敵ですね。
スポーツの日は晴れの特異日ではなかった!
2020年から、体育の日は、スポーツの日と名称が変わりました。
スポーツの日は、現在は10月の第2月曜日ですが、ハッピーマンデー制度が導入される以前は、10月10日に固定されていました。
そもそも体育の日は、1964年に開催された東京オリンピックを記念し、開会式があった10月10日に定められたという経緯があります。
10月10日は、『晴れの特異日』だから、開会式に選ばれたと聞いたことがあります。
ところが、『晴れの特異日』という考え自体が、気象学的には存在しないそうです!
そのため、もちろん気象庁からも『晴れの特異日』についての発表をしたことがないのだとか!
これも一種の都市伝説といえますね。
熊本県清和の薪(たきぎ)文楽
寒露の時期、熊本県上益城郡山都町(旧清和村)大平にある大川阿蘇神社では、秋の収穫を感謝する奉納芝居が上演されます。
清和文楽の始まりは、江戸末期。
この地に人形浄瑠璃の一座が訪れたことから、村人で構成される清和文楽が始まったと伝えられています。
一時衰退したものが昭和に入って復活し、昭和35年に文楽人形の技術保持者(2名)が熊本県無形文化財に指定されました。
かつての奉納芝居をよみがえらせようと、大川阿蘇神社の境内にて行われる「薪文楽」は、清和高原の秋の風物詩として親しまれています。
まとめ
「寒露」は、昔使われていた季節の区分、二十四節気の一つで、立秋から数えて5番目の秋の節気です。
年によって1日前後しますが、例年10月8日ごろから始まり、次の二十四節気・霜降の前日にあたる10月22日ごろまでが寒露の時期です。
ちなみに
寒露は、秋が深まる時期です。秋の長雨もおわり、本格的な秋の到来です。
とくに、秋の澄んだ空気に、夜空が美しい季節ですね。
寒露の時期は、栗やお芋がおいしい季節のためか、どうも、「甘露」と書くほうが個人的にしっくり来てしまいます(笑)。
ですが、寒露がどういう季節をあらわしているかを考えると、やっぱり「寒露」のほうが、秋のりんとした空気が伝わってきていい感じですね!
- 次の二十四節気は霜降です。
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