台風一過(たいふういっか)。台風が通り過ぎた翌日で、ニュースなどで、よく使われる言葉ですよね。
ですが、ただ単に通り過ぎただけでは、「台風一過」とはなりません。
また、お天気以外のことに対しても、台風一過は使われることがあったりします。ちょっと、ややこしいですよね。
そこで、本日は、台風一過には、どういう意味があって、どういう場面で使われるのか、詳しくお伝えしていきますね!
台風一過はお天気以外にも意味がある!
言葉の意味とくれば、やはり辞書。ということで、広辞苑を引いてみました。
- 台風が過ぎ去った後にはとかく上天気が来るということ
- また、大きな事件が決着し、晴れ晴れとすること
~広辞苑(第六版)から~
あらためて辞書の意味を整理すると次の3点になります。
- 台風が通り過ぎていること
- 空が晴れて良い天気になること
- 騒動や事件を台風に例えて問題が解決した状況にも使ってもよい
つまり、台風が通り過ぎたとしても、雨が残っているようだと台風一過にはならないということですね。
個人的には、単に晴れるだけではなく、“台風が来る前のジメジメとした空気が、嘘のようにカラッと晴れ上がる”と、ここまで注釈したい気分です(笑)。
また、何か騒動が起こると、確かに台風に例えることがあります。騒動がおさまる時にも、同じように台風が過ぎ去ったことを表す「台風一過」に例えて使えるということですね。
では、この2つの意味を踏まえて、”台風一過”の使い方を見てみましょう。
台風一過の詳しい使い方
本来のお天気に対しての使い方と、騒動がおさまった時に対しての使い方に分けてご紹介しますね。
お天気に対しての使い方
最初にも触れましたが、台風一過がよく使われるのは、台風が通り過ぎて晴れた時のニュースや天気予報ですね。
「台風一過の今日、東京の空は爽やかに晴れています。」
こういう言い回しの朝のニュース、いかにもありそうな気がしません?
もちろん、普通に会話にも使えますし、手紙・メールに時候の挨拶として使うこともできます!
日常の会話に使う場合
日常の会話では、シンプルに、こんな感じで使います。(関西弁ですみません)
- 「台風一過で、今日は気持ちのいいお天気やなぁ」
- 「今日の空は、まさしく台風一過やなぁ」
台風の後、ジメジメしているとか、雨が残っているようなときには使えません。
あくまで、すこんと湿気が抜けて、爽やかに晴れている時にだけ、使ってくださいね。
では、次は手紙やメールで時候の挨拶に使う場合です。
手紙・メールの時候の挨拶文
手紙はもちろん、ビジネスメールでも改めて何かをお知らせするようなときは、時候の挨拶を入れるとグッと格式が上がりますね。
手紙やメールの時候の挨拶に、「台風一過」を使う場合も、大前提は、台風の通り過ぎた翌日です。さらに、時期が9月上旬に限定されますのでご注意を!
- 台風一過の青空に秋の気配を感じるころとなりました。
- 台風一過の青く澄んだ空が心地よい秋日和となりました。
- 台風一過の秋晴れの中、お元気でお過ごしのことと思います。
では、「台風一過」の使い方上級編とも言える、騒動に対しての使い方をご紹介しますね。
騒動・問題解決に対しての使い方
騒々しい状況や問題が過ぎ去ってホっと一息ついた気持ちや状況を表現したいときに、台風一過をこんな感じで使います。
- 孫が帰って、台風一過の静けさだ。
- 決算期が終われば、ようやく台風一過だ。
この使い方は、落ち着いた静かな状況になる前が、わちゃわちゃと落ち着きがなく目まぐるしい状況だったということがポイントですね。
騒ぎのピークは過ぎても、まだ落ち着きを取り戻せていない時には、使わないようにしましょう。
ここまでで、台風一過の言葉の意味と使い方を詳しく見てきました。
せっかくですので、続いて、台風一過がなぜ起こるのか、気象的な意味についてもお伝えしますね。
台風が通り過ぎると天気が良くなるのはナゼ?
台風は、低気圧の一種です。低気圧は、周りの湿った空気を吸い込み、雨を降らせながら動きます。その力が強い(気圧が低い)と台風と呼ばれるようになります。
湿った空気を吸い込みながら進むため、台風が通り過ぎたあとは、湿気が低く爽やかな晴れの天気となることが多くなります。ですが、毎回必ずそうなるわけではありません。
台風は、自分で動いているわけではなく、高気圧から低気圧に向かって吹き出す風に乗って動いています。これは、気圧配置が変わらないと台風は同じ場所に停滞して動けないということを意味しています。
台風が通り過ぎるというのは、つまり、高気圧が動いた結果、台風を動かしたということになるのです。
夏から秋にかけて、日本列島にやってくる高気圧は、太平洋高気圧と大陸の高気圧の2つですね。この2つには次のような特徴があります。
- 太平洋高気圧 ⇒ 夏の高気圧で、湿って暖かい空気を持つ
- 大陸の高気圧 ⇒ 秋の高気圧で、乾いた冷たい空気を持つ
夏場の台風は、太平洋高気圧によってどかされることが多くなります。そのため、台風が通り過ぎても、お天気は回復しますが、引き続き湿度は高いということが多いです。
夏の終わりから秋にかけては、大陸の高気圧が張り出してきて台風を動かすことが増えます。そうすると、台風が通り過ぎた後には、カラッと爽やかな秋の青空が広がります。
ただ、夏の終わりから秋の初めの時期でも、高気圧とともに秋雨前線が近づくと台風は過ぎたものの晴れないこともあります。
そうかと思えば、夏場の台風でも、台風がじめっとした空気を持ち去って湿度の低いカラッとした天気になることもあります。
こういう気圧が変わる仕組みを知ると台風一過は、そのときの気圧配置がもたらしてくれる幸運に思えてきますよね。
まとめ
台風一過には、次の2つの意味があります。
- 台風という気象現象が通り過ぎて良い天気になる
- 台風のように騒がしい状況や事件が収まって静かになる
台風が通り過ぎた後のニュースなどで、「台風一過の今日、爽やかな晴天となりました」というように使われることが多いです。
もちろん、普通の会話でも、台風が通り過ぎて、カラッと晴れた空を指して、「今日の空は、まさしく台風一過やなぁ」などと使うこともあります。
手紙やメールなどで、時候の挨拶に使うこともできますが、9月上旬の台風の後の晴天と時期が限られてきます。
また、騒がしい状況を台風に例えるように、騒がしい状況が収まって静かになることを「台風一過」と例えて使えます。
気象現象的に、台風が通り過ぎても必ず晴れるとは限りません。ジメジメと湿度が残ったり、雨が残ったりすることもあります。そうしたときには、台風一過は使えませんのでご注意くださいね。
「台風一過」、思い出すのは数年前の8月の暑い暑い最中に、台風が通り過ぎた翌日が嘘のように爽やかだったことです。
それ以降、台風が来るときは、雨風を警戒しつつも、翌日は過ごしやすくなる?と期待するようになりましたが、あんな絵にかいたような「台風一過」の爽やかな天気は、あの日以降記憶にないのが残念です。