4月29日の昭和の日は、ゴールデンウィーク前半を支える祝日ですよね。
その昭和の日の祝日である4月29日が、戦前・戦後を通して3回も名称が変わってきたことをご存知でしょうか。
昭和の日になったのは2007年(平成19年)から。
その前は、みどりの日(現在は5月4日ですね)の祝日だったのです。
本日は、3回も名前が変わった経緯を交えて、昭和の日の意味と由来についてわかりやすく簡単にお伝えしていきますね。
昭和の日の意味
日本のすべての祝日は、祝日法で祝日となった意味や目的が定められています。
- 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす
という意味がある祝日です。
昭和の初めは、まさに戦争の時代。
多くの若者が戦死しましたし、空襲によって国土は荒廃、多くの国民にとって暗くつらい時代でした。
第二次世界大戦の終結後は、戦災からの復興、さらには高度成長期を迎え、日本は押しも押されぬ世界の経済大国へと成長を遂げました。
昭和の日は、そうした昭和の歴史を振り返るとともに、平和と繁栄への誓いを新たにする祝日として制定されました。
昭和の日の由来
まず、昭和の日が過去にどのように変わってきたかまとめた表をご覧ください。
祝日名 | 期間 | 祝日の意味 |
天長節 | 1927年(昭和2年)↓1948年(昭和23年) | 天皇の誕生日を祝う *天長節は戦前の祭日です |
天皇誕生日 | 1949年(昭和24年)↓1988年(昭和63年) | |
みどりの日 | 1989年(平成元年)↓2006年(平成18年) | 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ |
昭和の日 | 2007年(平成19年)↓ | 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす |
最初に3回名称が変わったとお伝えしましたが、最初の天長節と天皇誕生日は、祝日法が戦後に成立したことによる名称変更で、実質的な変更はありませんでした。
ただし、昭和天皇の誕生日が昭和の日になったという点は、昭和の日の由来を理解するうえで外せないポイントです。
その上で、大切になってくるのは昭和が終わってから
- みどりの日に変更
- 昭和の日に変更
と2回の変更があったことです。
では、詳しく見ていきましょう。
みどりの日に変更
昭和天皇がお亡くなりになったのは、1983年(昭和64年)1月7日。
翌1月8日から、平成の時代がスタートしました。
と同時に、天皇誕生日は、昭和天皇の誕生日ではなく平成天皇の誕生日へと日にちが変わります。
この時点で4月29日は平日に戻るはずだったのですが、そうはならず、平成元年から4月29日は「みどりの日」の祝日として残ったわけです。
4月29日が、ご崩御から月日をおかずに祝日となった背景には、次のような事情がありました。
- ゴールデンウィークが短くなる経済と国民生活への影響が大きい
- 昭和天皇の崩御直後から昭和にちなんだ祝日として残す動きがあった
本来であれば、すぐに「昭和の日」としたかったところ、>戦争で苦労し悲しい思いをした人たちに昭和という時代にちなんだ祝日を理解してもらうことは困難だったのです。
そこで暫定的に「みどりの日」として4月29日は祝日として残され、結果としてゴールデンウィークの長さも変わることにはなりませんでした(笑)。
みどりの日の由来と意味!わかりやすく簡単解説!
みどりの日の祝日は、ゴールデンウィーク後半、5月4日です。 5月4日がみどりの日になったのは、2007年(平成19年)と比較的最近の話です。 しかし、みどりの日という祝日が制定されたのは1989年(平 ...
昭和の日に変更
昭和天皇の誕生日だった4月29日が「昭和の日」に変更されたのは2007年(平成19年)です。
先ほどもお伝えしたように、昭和天皇の崩御すぐ後には、4月29日を昭和にちなんだ祝日としたいという動きがすでにありました。
それが、昭和の日実現までに20年近くかかったわけですが、その間に2回国会で審議されて廃案になるということが起こりました。
- 1度目の国会提案は、2000年(平成12年)のことで、当時の首相から「神の国」発言が原因となり廃案
- 2度目は、2002年(平成14年)ですが、衆議院が解散となり再び廃案
3度目の再提案が、2005年(平成17年)にようやく可決されて、2007年(平成19年)から4月29日が「昭和の日」と改まったのでした。
政治的な不手際もありましたが、昭和の日の制定にかかった17年という時間は、昭和時代の戦争の悲しい記憶が要した時間だったのかもしれませんね。
- 「神の国発言」とは
- 当時の森首相による「天皇を中心とする神の国であるということを国民にしっかりと承知していただく」という発言のこと
まとめ
4月29日の昭和の日は、ゴールデンウィーク前半の核となる祝日です。
「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」ために2007年(平成19年)に制定されました。
昭和の日の由来を簡単に分かりやすくまとめると、次のようになります。
1989年(昭和64年)1月7日に昭和天皇が亡くなられ、4月29日は平日となるはずでしたが、
- ゴールデンウィークが短くなる経済と国民生活への影響が大きい
- 昭和天皇の崩御直後から昭和にちなんだ祝日として残す動きがあった
ことから、1989年(平成元年)から「みどりの日」の祝日に変更になります。
すぐに昭和にちなんだ祝日とならなかったのは、昭和は戦争による苦労や悲しみを経験した人たちの理解を得ることが難しかったためです。
その後、昭和の日を制定すべく国会へ2回提出されますが、2回とも廃案されて成立に至りませんでした。
ようやく昭和の日が国会で可決されたのは、3度目の提案となる2005年(平成17年)です。
昭和の日の制定にかかった17年という時間は、昭和時代の戦争の悲しい記憶が要した時間だったのかもしれませんね。