花と華の違い!意味よりイメージが使い分けのポイント!


先日、熱田神宮と伊勢神宮を結ぶ全日本大学駅伝がありましたね。
リビングのテレビでずっと駅伝の放送がつけっぱなしだったのですが、ふと目に入ってきた『華の2区』というテロップに、“ん?”と違和感を覚えました。

お正月の箱根駅伝でおなじみの表現ですが、『花の2区』だったはずで、「華」という字が使われているのを初めて見ました。

それとも私が知らなかっただけで、「華の2区」も存在していて、「花の2区」と何かが違うのでしょうか?

他にも「花」と「華」を使う言葉も多いですよね。
そこにも大きな違いがあったのでしょうか。

そう思うと「花」と「華」の違いが無性に気になりだしました
そこで本日は、「花」と「華」について、意味や使われ方に違いがあるかはもちろん、「“はな”の2区」についても調べてきました!

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「花」と「華」、果たして違いはあるのか?

花華違いtop
言葉の違いとくれば、やはり辞書です!

さっそく、家にある広辞苑(中学入学に買った年代物!)を調べてみました。

するとですね、広辞苑には「はな【花・華】」とまとめて掲載されているではないですか。
しかも内容を確認していくと、使い方の例の「はな」の部分は棒線が入っていて、「花」が入るものと「華」が入るものが同じ意味のところにあったりします。

また使われ方も、私がそもそも疑問を持った冒頭の「花の2区」「華の2区」というように境界があいまいになっているものも出てきています。

うーん、違いはないってこと?と思いつつ漢和辞典を引いてみました。
すると、違う漢字なだけあって、ちゃんと意味の違いで出てきました

両方の辞書の内容を見比べた上で私がたどり着いた結論としては、

  • 言葉としての意味はほぼ同じで使われ方も混在
  • 漢字としては意味と使われ方に違いがある

の2点でした。

ただ私が出した結論だけでは根拠に乏しいので、辞書に載っている意味と使われ方を詳しくご紹介していきますね。

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漢字としての意味と使われ方に違い

通常であれば、言葉の意味とくれば国語辞書だと思うのですが、国語辞書では分かりづらいところがありますので、漢和辞典に載っていた意味と使われ方を見ていきますね。

漢和辞典からは、「花」と「華」の意味と使われ方でこんな違いがあることが浮かび上がってきました!

  • 「花」が、“花の形”や“美しさを花に例える”ことにフォーカスした意味と使われ方
  • 「華」は、“花という存在から湧き出るイメージ”を形容した意味と使われ方

こちらも広辞苑に負けず劣らず年代物の辞書、角川漢和中辞典で「花」と「華」から詳細な内容を引用していきますね。

「花」の意味と使われ方

辞書を見ていると、「花」には、漢字そのものの意味と日本だけで通じる意味である国訓というものがあることも分かりました!

  1. はな。草木の花。
  2. 洛陽の人は単に牡丹を花という。
  3. あや。すべての美しいもの。
  4. はなさく。花を開く。
  5. すべての花の形をしたもの。「火花」「狼火」
  6. 天然痘。「天花」
  7. ついやす。「花消」
  8. 眼がかすむ。「眼花」
  9. つかいへらす。

国訓
桜の花。また、梅の花。
㋺芸人などに与える祝儀。
㋩花合わせ・花くじの略。
美しいこと。はなやかなこと。「花形役者」「花嫁」

角川漢和中辞典(1980年)から

太字以外は、初めて聞くものというか、現代ではあまり使われていないと感じた意味と用例です。
9番目のの“つかいへらす”にいたっては、意味があっても用例がないので全くピンとこないですよね。

反対になるほど!と感じたのは、「花」というだけで、「桜の花」を意味するということ。

たしかに、日本で最も愛されている花が桜です。
桜の花

しかも平安時代後期には、すでに「花」といえば「桜」を指していました!
それより前の時代は、「花」というときは「梅の花」。

日本人の美意識の境目が感じられて面白いですね!

他にはこんな使い方があります

はな:花が咲く、花壇、花瓶、開花、献花、生花、など
花のように美しい、美しいもの:花押(かおう)、名花、火花、など

「華」の意味と使われ方

では、続いて「華」の意味と使われ方を漢和辞典から引用しますね。

  1. はな。
  2. はながさく。
  3. いろ。つや。光沢。
  4. ひかり。かがやき。「光華」
  5. はなやか。うつくしい。うるわしい。「華麗」
  6. かざり。さいく。
  7. いろどり。もよう。
  8. うわべ。外観。
  9. おしろい。「鉛華」
  10. さかえ。さかり。「栄華」
  11. はで。おごり。「豪華」

参考:花の古字
角川漢和中辞典(1980年)から

他にはこんな使い方があります

はな:華道、蓮華(れんげ)、など
はでで、はなやかなこと:華燭(かしょく)、華美、華麗、繁華
輝き、光、栄え:月華、国華
すぐれて美しいもの: 精華

こうして辞書の意味と使われ方を見比べると、「花」が植物の花そのものや花に例えた表現なのに対して、「華」は花の美しさからさらにイメージを広げた表現になっていることがよく分かります。

では、続いて言葉としての意味と使われ方を広辞苑から引用してご紹介します!

漢字の熟語に比べて、慣用句で「花」と「華」の使い分けがあいまいになっているようなので、そのあたりもじっくり見ていきたいと思います。

「華」から「花」が生まれた!

「花」という字は、「華」から生まれたそうです!

「花」は、草木の花をあらわずが、これは新しい字で、もとは美しく咲き誇る「華」がつかわれた。
それで”花とは草の化けたもの”という説明は、成り立つはずはない字である。
「化」は、ただ音をあらわすだけである。

「成り立ちで知る漢字のおもしろ世界動物・植物編: 白川静著『字統』『字通』準拠」から引用

ちなみに、「華」の字は

花びらが美しく、その花を葉が地につくほど咲き誇っている状態である。(同上)

「花」は小学1年生で習うためか、「花」が新しい漢字ということに、かなり驚いてしまいました(笑)。

言葉としての意味と使われ方

華やか
本来、言葉の意味と言えば国語辞書ですが、今回の「花」と「華」の場合、“はな”を引いたところ「はな【花/華】 」として出てきました。

漢字も「華」から「花」が生まれていましたので、漢字で書き分けるほどには言葉として明確な違いがないということなのでしょうか。

はな【花/華】

  1. ㋑高等植物の有性生殖にあずかる器官。その各要素は葉の変形とみられる。花被(萼と花冠)は形・色とも多様で、合弁花・離弁花があり、全く花冠を欠くもの(裸花)もある。
    雄蕊(おしべ)・雌蕊(めしべ)のそろった花を両性花、いずれか一方を欠くものを単性花という。
    ㋺特に桜の花。また梅の花。
    ㋩仏に供える樒(しきみ)などの枝葉。
  2. 花のようであること。また、そのもの。
    ㋑美しいこと。盛りであること。「花の都」「今が人生の花だ」
    ㋺時めくこと。栄えること。名誉。「相手に花を持たせる」
    ㋩うわべだけで真実味のないこと。あだあだしくはかないこと。
    ㋥能楽論の用語。演技・演奏のすばらしさが観客の感動を呼び起こす状態を草木の開花にたとえた呼び方。
  3. ㋑ツユクサの花から採った絵具。
    ㋺はなだ色。はないろ。
  4. ㋑芸人などに出す当座の祝儀(しゅうぎ)。
    ㋺芸者の揚げ代の称。
  5. いけばな。
  6. 「花合わせ」「花ガルタ」の略。

広辞苑第2版(1980年)から

漢字の意味でも初めて知ることが多かったですが、こちらも3番目の意味が初めて知る内容です。

オレンジ色の太字の意味が、慣用句としてよく使われている意味になりますが、一つの慣用句に対して「花」「華」の両方が使われるケースが増えてきています。

「花」「華」が両方使われることが増えている

美しいこと・盛りであること

職場の花
2番の㋑に登場している“美しいこと・盛りであること”ですが、辞書の用例のほかにも、たとえば「社交界の花」。
この使い方は、「花の都」と同じく美しさを花に例えた慣用句です。

”盛りであること”の使われ方としては、「今が人生の花だ」という他に「花の独身時代」という言葉が浮かびます。

今あげた例は、「華」が使われることはないようですが、”美しさや明るさを添える”という意味の「”はな”を添える」は、「花を添える」「華を添える」と両方使われています。
”華やかさを増す・加える”という意味もあるので、どちらもOKということですね。

時めくこと・栄えること・名誉

2番目の㋺の意味、”時めくこと・栄えること・名誉”ですが、他の辞書を見ると”物事を代表する存在”という意味も含まれるようですが、この意味で使われている慣用句に「花」「華」の両方が使われているケースが多くなっています。

例えば、「火事と喧嘩は江戸の“はな”」
私は「花」だと思っていたのですが、調べてみると、江戸を代表する事象として「華」が使われていました。

同じく、「文化の“はな”が開く」も「花」が一般的でしたが、「華」も使われていました。

また、「花金(花の金曜日の略)」という言葉。
こちらも「華金」という表現もちらほら見かけます。

多くの会社が週休二日制になって、「花金」という言葉が誕生した時期を知っている身としては、「花金」が一般的だと思うのですが、「華」という字が”明日から週末!”という気持ちをより一層表すとして使いだされたのかなと思います。

そして、私がそもそも「花」と「華」の違いを調べようと思った「“はな”の2区」。
これも”名誉・代表”という意味で「はな」が使われていますよね。

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「“はな”の2区」はどっちの“はな”?

そもそも「“はな”の2区」という言葉は、各校のエースランナーが出そろう箱根駅伝の2区を指す言葉です。
まさしく、先ほどの意味でいうところの“時めく、栄誉”として「はな」ですし、“代表する”という意味もありますよね。

ですので、駅伝の大会によっては、2区以外が駅伝の勝敗を決めるエース区間の場合、「花の〇区」と2区以外を「花の」と称することもあります。
(京都である高校駅伝は「花の1区」というようです!)

ちょっと話がそれました(__)。

果たして、「“はな”の2区」は、花の2区なのか、華の2区なのか。
箱根駅伝は間違いなく「花の2区」だと思うのですが、新聞やインターネットでの「華の2区」の使用状況を調べてみました。

新聞の記事に使われている回数

まずは、新聞紙面に「華の2区」が登場した回数からご覧ください。(2017年11月25日時点)

期間華の2区花の2区
直近1年5件79件
直近5年17件404件

*全国80紙×過去5年分の記事を検索、新聞トレンドより作成

「華の2区」が使われている記事数は2012年11月25日~2017年11月24日の5年で17件でした。
そのうち、16件は神奈川新聞ですので、神奈川新聞以外では使われていないといってよいでしょう。

インターネットでは?

続いて確認してみたインターネットでは次のような検索結果でした。
はなの2区

使い分けの狙いは差別化?

ここで新聞とインターネットでの使われ方を整理すると、

  • 全日本大学駅伝では、「華の2区」が使われるようですが、新聞報道になると全日本大学駅伝でも「花の2区」が使われている
  • 新聞の中では、神奈川新聞が「華の2区」を唯一使っている

ということになりますね。

どうも私が気になった「花」と「華」という言葉の違いから「華の駅伝」を使われているわけではなく、箱根駅伝との差を出すために字を変えられているように感じました。

でも、なぜ神奈川新聞だけが「華の2区」を使用しているのかが新たな疑問として出てきました。

神奈川大学も駅伝がとても強い時期がありましたよね。
その影響もあって神奈川新聞は「華の2区」を使われているのかな?と思いましたが、神奈川大学が全日本駅伝大会で優勝したのは2017年の第49回大会が実に20年ぶりだということなので、全く予想が外れてしまいました(笑)。

まとめ

「花」と「華」、訓読みでは同じ「はな」の2つ漢字。

意味や使われ方の違いを調べてみたところ、

  • 漢字としての意味と使われ方に違いがある
  • 言葉としての意味はほぼ同じで使われ方も混在

していることが分かりました。

漢字で見た場合、「花」が、“花の形”や“美しさを花に例える”ことにフォーカスした意味と使われ方だったのに対して、「華」は、“花という存在から湧き出るイメージ”を形容する意味と使われ方という違いがありました。

また、言葉としては、「はな」として国語辞書では一つにまとめられており、”美しいこと・盛りであること”という意味と“時めくこと、名誉ある事”という意味では、一つの慣用句に対して「花」「華」の両方が使われるケースが増えてきています。

言葉は、調べてみると思いがけない発見があるのが楽しいですね。
今回の私の収穫は、本来の目的の“違い”に関してではなく、「花」が「華」という漢字から生まれたことでした。
早く習うからといって、漢字そのものも古いわけではないのですね(笑)。


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