人には、それぞれよく使う言葉があるものですが、自分の癖を気づいていないことがあります。
最近、「ならでは」は、私にとって、正にそうした言葉の一つと気づきました。
ところが、それに気づいた途端、「ならでは」ではなく、「ならでわ」ではないかと、急に不安になってしまいました。
日本語では、「は」を”わ”と発音するのは助詞だけのはず。となると「ならで」って何?と気になってきました。
本日は、そんな「ならでは」について今更ながらの疑問を調べた顛末をお届けしますね。
「ならでは」「ならでわ」、どちらが正しいか白黒つけましょ
「ならでは」なのか「ならでわ」なのか、結論からお伝えしますね。
結論!
良かった、間違えてなかった、と私が安心したのは言うまでもありません(笑)。
「ならでは」はこんな風に使う
ついでですから、「ならでは」の正しい(笑)使い方を見ていきましょう。
辞書によると、「○○ならではの」と連体詞として使われることが多いとのこと。
”○○”に入る物や事柄に特有の性質を表現できる言葉ですね。
「○○ならではの」(連体詞)の例文
- 日本ならではの繊細さだ
- 桜ならではの美しさだ
- 秋ならではの光景だ
- 学生ならではの気楽さだ
- スマホならではの便利さだ
最近は「○○ならでは」と体言止めのように使うことも増えています。
「○○ならでは」(体言止め)の例文
- 一斉に咲く美しさは桜ならでは
- 紅葉の見事さは秋ならでは
- すぐに検索できる便利さはスマホならでは
かつては、「○○ならでは~ない」と打ち消す言葉と一緒に使われることが多かったということです。
この用法の例を一つ上げると、「東京ならでは見ることができない公演」。
- 東京でなくては見ることができない公演
- 東京以外では見ることができない公演
という意味になります。
私だけかもしれませんが、この使い方は、近ごろでは、ほとんど見かけない気がします。
さて、一通り、「ならでは」の使い方も確認しましたので、最後に「ならでは」を文法的に解剖してみます。
「ならでは」を文法的に徹底解説
「ならでは」を文法的に解剖すると次のようになります。
「ならでは」の文法構成
- 「なら」:断定の助動詞(なり)の未然形
- 「で」:未然形に接続する打ち消しの接続助詞
- 「は」:単語や文節などについて、前の語句を強調する係助詞
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最初の「なら」の基本形である「なり」は、”~である”、”~だ”という意味です。
「なら」は、「なり」の未然形で、後ろに否定や打ち消しの助動詞や助詞が続きます。
参考に「なり」の活用形を表にしました
未然形 | なら |
連用形 | なり |
終止形 | なり(に) |
連体形 | なる |
已然形(いぜんけい) | なれ |
命令形 | なれ |
懐かしのナリ活用ですね。
次の「で」の意味は、”~しなくて”、”~しないで”。
「なら」+「で」+「は」で、”~でなくては”。
まさか、3語にも分解できるとは思っていなかったので驚きました。
まとめ
”日本ならではの伝統工芸”というように使う「ならでは」。
「ならでは」と書くのではなく、「ならでわ」が正しいのではないかと自信がなくなって確認したところ、「ならでは」で間違いありませんでした。
「ならでは」を分解すると
- 「なら」:断定の助動詞(なり)の未然形
- 「で」:未然形に接続する打ち消しの接続助詞
- 「は」:単語や文節などについて、前の語句を強調する係助詞
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という3語になり、「は」が助詞ということが分かりました。
”○○ならではの”と連体詞的に使われることが一般的です。
もともとは「東京ならでは見ることができない公演(東京でしか見ることができない公演)」のように使う言葉でした。
本来の使い方を知っていれば、”は”なのか、”わ”なのかで、私も悩まなかったかもしれません(笑)。