社会人になると、契約書や領収書を作成する機会があります。
そんなときに、必要性に気づかされるのが収入印紙の存在ではないでしょうか。
収入印紙は、領収書に記載する金額や、契約金額によって貼らないといけない金額が決められています。
金額を間違えても文書としての効力には影響しませんが、印紙税の納付ミスとなるため、正確な金額の収入印紙を貼らなければいけません。
そこで本日は、作成する頻度の高い領収書・契約書に貼る収入印紙の金額を見やすい一覧表にまとめてご紹介していきますね。
収入印紙の金額
では、早速、領収書や契約書に必要な印紙の額をご紹介していきましょう。(ご紹介するのは2018年9月現在の法規に拠ります)
領収書に貼る収入印紙の金額
最も収入印紙を貼る機会が多い領収書ですが、受け取る金額が次のいずれかで印紙の金額が変わります。
- 売上代金を受け取って発行する領収書
- 売上代金以外を受け取って発行する領収書
具体例で確認してみましょう。
売上代金の領収書に必要な収入印紙の金額
ここでいう売上代金とは次のようなものになります。
売上代金になるもの
- 商品販売代金
- 不動産の賃借料
- 請負代金
- 広告料
記載金額 | 収入印紙の金額 |
5万円未満 | 不要 |
5万円以上、100万円以下 | 200円 |
100万円超、、200万円以下 | 400円 |
200万円超、300万円以下 | 600円 |
300万円超、500万円以下 | 1千円 |
500万円超、1千万円以下 | 2千円 |
1千万円超、2千万円以下 | 4千円 |
2千万円超、3千万円以下 | 6千円 |
3千万円超、5千万円以下 | 1万円 |
5千万円超、1億円以下 | 2万円 |
1億円超、2億円以下 | 4万円 |
2億円超、3億円以下 | 6万円 |
3億円超、5億円以下 | 10万円 |
5億円超、10億円以下 | 15万円 |
10億円超 | 20万円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
クレジットカード決済の領収書には収入印紙不要!
この場合、直接金銭の授受が発生していませんので、額面にかかわらず領収書に収入印紙は不要です!
ただし!領収書の但し書きに「クレジットカード利用」と明記することが必須。
この但し書きを忘れると、クレジットカード利用分なのに収入印紙の添付が必要となりますのでご注意ください。
売上代金以外の領収書に必要な収入印紙の金額
売上代金以外になるのは、次のような項目があります。
売上代金以外にあたるもの
- 貸したお金の返済金
- 保険金
- 損害賠償金
- 保証金の返還
記載金額 | 収入印紙の金額 |
5万円未満 | 不要 |
5万円以上は1通につき | 200円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
領収書の金額は税込?額面?
領収書の記載金額と収入印紙の額は分かりましたが、気になるのは多くの場合、領収書の金額には消費税が含まれていることです。
一番わかりやすい例が、税抜きでは5万円未満ですが、税込みでは5万円以上となる場合、収入印紙が要るのか要らないのか、です。
同じように、消費税が入るか入らないかで、収入印紙の添付額が変わる場合は、どっちを貼ればいいのか、重要ですよね。
この答えは、「消費税抜きの金額と消費税額が、領収書に明記されていれば、収入印紙の金額は諸費税抜きの金額が基準になる」です。
消費税抜き・消費税額の明記が認められる具体例
- 税込価格52,920円 税抜価格49,000円
- 領収金額52,920円 内消費税3,920円
- 本体価格49,000円 消費税額3,920円 合計52,920円
税込み・税抜きの両方もしくはいずれか片方の金額が何円かを記載しておけばOKということですね。
合計額を記載した領収書は論外ですが、次のような記載は消費税額がいくらか分からないとして認められません。
消費税額の明記と認められない具体例
- 領収金額52,920円 消費税額8%を含む
領収金額が少ない場合は数百円の違いですが、大きくなると数万円の差になりますから、大きいですよね。
契約書に貼る収入印紙の金額
では、続いて契約書に貼る収入印紙の金額を契約書の種類ごとにご紹介していきましょう。
売買契約や賃貸借契約の契約書に必要な収入印紙の金額
次のような契約が、売買契約・賃貸借契約と同じ基準で収入印紙が必要です。
売買契約や賃貸借契約の種類
- 不動産売買契約書など
- 土地・家屋賃貸借契約書など
- 金銭消費賃貸借契約書など
- 運送契約書など
契約金額 | 収入印紙の金額 |
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上、10万円以下 | 200円 |
10万円超、50万円以下 | 400円 |
50万円超、100万円以下 | 1千円 |
100万円超、500万円以下 | 2千円 |
500万円超、1千万円以下 | 1万円 |
1千万円超、5千万円以下 | 2万円 |
5千千万円超、1億円以下 | 6万円 |
1億円超、5億円以下 | 10万円 |
5億円超、10億円以下 | 20万円 |
10億円超、50億円以下 | 40万円 |
50億円超 | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
不動産譲渡契約の収入印紙の軽減措置
不動産譲渡契約書に貼る収入印紙について、2020年3月31日までの作成分は軽減措置が適用されます。
契約金額 | 本来の収入印紙の金額 | 軽減後の収入印紙の金額 |
10万円超、50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超、100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超、500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超、1千万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1千万円超、5千万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5千万円超、1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超、5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
5億円超、10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
10億円超、50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
50億円超 | 600,000円 | 480,000円 |
うっかり軽減前の印紙を貼ることがないよう気をつけてくださいね。
請負に関する契約書に必要な収入印紙の金額
請負に関する契約書は、売買契約とは必要な収入印紙の金額が違ってきます。
請負契約の種類
- 工事請負契約書・工事注文請書
- 広告契約書
- 物品加工注文請書
契約金額 | 収入印紙の金額 |
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超、200万円以下 | 400円 |
200万円超、300万円以下 | 1千円 |
300万円超、500万円以下 | 2千円 |
500万円超、1千万円以下 | 1万円 |
1千万円超、5千万円以下 | 2万円 |
5千万円超、1億円以下 | 6万円 |
1億円超、5億円以下 | 10万円 |
5億円超、10億円以下 | 20万円 |
10億円超、50億円以下 | 40万円 |
50億円超 | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
建設工事請負契約の収入印紙の軽減措置
建設工事請負契約に関しても、不動産譲渡契約を同じく、契約書に貼る収入印紙が2020年3月31日までの作成分について軽減措置が適用されます。
契約金額 | 本来の収入印紙の金額 | 軽減後の収入印紙の金額 |
100万円超、200万円以下 | 400円 | 200円 |
200万円超、300万円以下 | 1,000円 | 500円 |
300万円超、500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超、1千万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1千万円超、5千万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5千万円超、1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超、5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
5億円超、10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
10億円超、50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
50億円超 | 600,000円 | 480,000円 |
金額が大きい分、軽減される額も大きいですね。
これで、一とおり、領収書や契約書に貼る収入印紙の金額を見てきました。
最後に、収入印紙とは何なのかについても簡単に説明していきますね。
そもそもの話、収入印紙とは
収入印紙とは、そもそも何のために貼るものなのでしょうか。
簡単に説明すると、収入印紙は税金や手数料を払うために財務省が発行している証票です。
収入印紙を通じて支払っている税金は印紙税と呼ばれるもので、経済的取引などで作成される文書(課税文書)に対して課税される税金です。
先ほど説明しました領収書や契約書は、課税文書に該当しているわけですね。
収入印紙で支払う手数料としては、次のようなものがあります。
収入印紙で支払う手数料
- 許可申請の手数料
- 訴訟費用
- 不動産・法人登記の登録免許税
手数料の場合、既定の額の収入印紙が貼られていないと、そもそも受け付けてもらえませんから貼り忘れるということはありません。
問題となるのは、領収書や契約書に収入印紙を貼り忘れた場合です。
収入印紙を貼り忘れたらどうなる?
領収書や契約書といった課税文書に収入印紙を貼り忘れるということは、納付すべき税金を納付しなかったということになってしまいます。
収入印紙が貼ってなくても文書自体は有効ですが、印紙税の納付義務者に対して過怠税が課せられます。
収入印紙添付漏れに課される過怠税
- 発覚した場合 → 本来の印紙税額① + ①の2倍の過怠税
- 自己申告した場合 → 本来の印紙税額① + ①の10%の過怠税
故意に印紙を貼らなかったと認められた場合、過怠税だけではなく「一年以下の懲役若しくは20万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」という刑事罰が下されます。
くれぐれも貼り忘れのないよう、また正しい金額の収入印紙を貼るよう気をつけましょう!
まとめ
契約書や領収書は、契約の金額や記載の領収金額によって、添付しないといけない収入印紙の金額が決められています。
領収については
- 売上代金の領収書
- 売上代金以外の領収書
によって、収入印紙の金額が変わります。
領収書の場合、税抜き価格もしくは消費税額を明記すれば、税抜き価格が収入印紙の基準になります。
契約書については
- 売買契約や賃貸借契約の契約書
- 請負契約書
によって、収入印紙の金額が変わります。
不動産譲渡契約・建設工事請負契約については、2020年3月31日までに契約書を作成すると軽減措置の適用を受けることができます。
収入印紙は、国に印紙税や許可の手数料・訴訟費用・登記の登録免許税を納めるための証票です。
領収書や契約書といった課税文書に収入印紙を貼り忘れた場合は、過怠税が課されることになります。
しっかりと正しい金額の収入印紙を貼るようにしましょう。
収入印紙の購入場所!郵便局・コンビニの違いが一目で分かる!
仕事で収入印紙を扱うということがない限り、個人で収入印紙を買い求める機会はめったにありませんよね。 何かで領収書を発行する側になったとか、家を買うことになったとか。それと、パスポート発行の手続きにも収 ...