「とおり」と「通り」はどちらも正しい!使い分けもシンプルでOK!


文章を書くときに、よく使う『○○の“とおり”』ですが、平仮名と漢字のどちらを使えばいいか悩みませんか?

もう、ウン十年前のことなので、かなり記憶もあやふやなのですが、小学校では『○○の“とおり”』の“とおり”は漢字で書くと習ったように思います。

ですので、長らく、”その通り”・”述べた通り”と作文やレポートでは書いてきましたし、社会人になって作る書類にも”下記の通り”とワープロ(ふるっ)打ちしていました。

それがいつの頃からでしょう。
平仮名で「とおり」もしくは「どおり」と書かれていることを見るようになってきました。

特にお役所から回ってくる書類や提出書類のフォーマットが平仮名になっています。

“あれ?私の覚え間違いだった?”と思うようになり、「下記のとおり」と変換するたびに “モヤっ”としたものを感じつつも私も完全に平仮名派に転向してしまいました。

でも、先日、とあるセミナーで講師の人が「その通り」と板書されたんですよ。
“いや、間違えてはる”と思う一方で、 “モヤっ”がむくむくと大きくなってきました。

もう、これは積年の“モヤっ”を解消するしかないという意気込みのもと、“とおり”と“通り”のどちらが正しいか、使い分けはあるのか、調べてきました!

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日本語としてはどちらも正しい!

とおり通り正しいtop
もう結論としては、上のタイトルのとおりです。(あ、ここでも“とおり”が)

日本語としては、“通り”と漢字で書いても“とおり”と平仮名で書いても全く問題ありません!

念のため漢和辞典で「通」を調べると、“~と同じに”、“~のままに”という意味がきちんと出ていましたよ~。

<国訓>

  1. とおり(とほり)。
    イ)道筋。「本町通り」。
    ロ)ごとし。「右の通り」。

角川漢和中辞典より引用

ちなみに国訓というのは、漢字が生まれた中国では通じない、つまり日本語だけで持つ意味です。
意外にも、道路に「通り」とつくのも日本だけの使い方だったんですね。

漢字も平仮名もOKと分かったのはいいとして、なぜお役所関連の書類は「○○のとおり」と平仮名が多いのでしょうか。

調べてみると、“そんな決まりもあるんだ!”と感心する事実があることが分かりました!

公用文は“とおり”を使う決まり

通りの標識
いきなり公用文と言う言葉を出してしまいましたが、公用文とは国や都道府県や市区町村といった公共団体が作成する法令や公に出す文書のことです。
さきほどから、私がお役所関連の書類と平ったく表現していましたが、正式な表現が公用文ですね。

この公用文の表記を統一するために、内閣が各行政機関に対して「公用文における漢字使用等について」という通知を昭和48年、昭和56年、平成22年と過去3回出しています。

昭和56年10月に出された通知の中で、「○○のとおり」という場合には、平仮名を使うと決められていたのです!

同じ通知で、他にも次のような語句の場合も原則仮名で書くと決められています。

  • こと(許可しない“こと”)
  • とき(事故の“とき”は連絡する)
  • できる(だれでも利用できる)
  • ~ていただく(報告していただく)
  • ~でください(話してください)
  • ~てよい(連絡してよい)

この中にある“できる”は、私も毎回悩むんですよね。
前後の文章の漢字が多いときは“できる”にして、平仮名が続くときは“出来る”にしたりしていました。

ここまできめ細かく決められているなんて、さすがお役所文書です。

しかも昭和56年(1981年)の通知ということなので、けっこう昔から、「○○のとおり」は役所では平仮名だったんですね。

急に「とおり」に変わったと感じたのは、単に私が社会人になって、そういう公用文を目にする機会が増えたせいだったのですね。

そういう決まりがある以上、公務員の人が公用文を作るときや公務員でない人が役所に出す書類を作るときは、「○○のとおり」「○○どおり」は平仮名を使わなければいけません

公用文には漢字か平仮名かという選択の余地は残されていませんよね。

では、そうした公用文以外のとき、「○○の通り」を使うか、「○○のとおり」を使うか。
さて、どうしましょうか。

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公用文以外ではどう使う?

前提としては、公用文を除いては、「とおり」も「通り」も日本語として間違ってはいませんのでどちらを使ってもいいわけです。

自分の好きな方(?)を使えばいいわけですが、どちらを使うにせよ、一つ言えることは、同じ文章で「とおり」・「通り」の両方を使うのは避けた方がよいということ。
「とおり」なら「とおり」、「通り」なら「通り」を統一して使う方が文章としてブレがないです。

そう思って、あれやこれや使用例を探していたら、“あら?これはどうなの?”と思う文章を見つけましたのでご紹介しますね。

・・・新聞社・通信社の「数字の書き方」の基準・原則は次のとおりである。(中略)和語・漢語意識が強い成句や専門用語などは従来通り漢数字を用いる・・・

NHKの『平成 20 年度「放送における数字表現」に関する調査から』から抜粋

ご覧いただくとおり、「とおり」と「通り」が一つのレポートの中に混在しているのです。
(よく読むと、「とおり」は本文、「通り」は新聞社からの回答文と、作成者が違うのですが)

“従来通り”は、「どおり」ではなく漢字な気もしてきました。
こういうときは、新聞社の使用状況を調べるに限ります。

すると、これまた意外な結果が出てきたのですよ。

2016年12月3日~2017年12月2日の1年間に、全国80紙の新聞紙面で「とおり」と「通り」の使用状況が次の表です。

とおりorどおり通り
従来126件2,922件
以下の142件2,640件
次の3,401件50,499件
予定118件5,813件

*全国80紙×過去5年分の記事を検索、新聞トレンドより作成

ご覧いただいたとおり、新聞では、圧倒的に「通り」が優勢なんですよ!

こうなってくると、ますます「とおり」でも「通り」でも問題ないということが分かってきますよね。

新聞は、限られた紙面に記事を書くためには、一文字でも少ない方を選ぶのかもしれませんね。
知り合いに新聞記者がいますので、今度会ったら聞いてみようと思います!

まとめ

「とおり」と「通り」は、 “~と同じに”、“~のままに”という意味で使われますが、平仮名でも漢字でも意味も使い方も差はありません。

ただ、国や地方公共団体など行政機関が作る公用文は、昭和56年に内閣府が出した「公用文における漢字使用等について」という通知の中で、「~とおり」を使うようルールが決められていました。

ですので、公用文以外では「とおり」「通り」のどちらを使っても間違いではありません。

実際、2016年12月3日~2017年12月2日の1年間に全国の新聞80紙での使用状況を見てみると、「通り」が圧倒的に多く使われています。

「とおり」「通り」。
公用文以外では、どちらを使うと決めたら、同じ文章内では両方を使わずに、決めた表記を統一して使う。
使い方としてはそれだけを気を付ければ、文章の表記にブレが出ないので大丈夫ですね!


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